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新設分割とは|具体的な手続きの流れ・方法も解説

2022/06/07(最終更新日:2022/06/14)

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新設分割とは|具体的な手続きの流れ・方法も解説

自社事業を他社へ譲りたいときや、不採算事業があるもののさまざまな事情で事業縮小が難しいとき、M&Aによって事業のスリム化を図ることが可能です。M&Aの一種である会社分割は、会社を新しく設立して事業を譲る新設分割と、既存の会社に事業を譲る吸収分割に大きく分かれます。

会社分割を安易に行うと株主や取引先の会社、そして会社を支えてくれる労働者などを混乱させかねないため、慎重に行うことが大切です。当記事では、新設分割の概要および新設分割による会社分割手続きのプロセスについて解説します。

 

新設分割とは

新設分割とは新しく設立した会社に事業を承継させることであり、会社分割の手法の1つです。合併と異なり、事業承継後も会社は解散しないため、法人格を保ちながら企業再生や後継者不足解消を図ることができます。会社法における新設分割の定義は、次の通りです。

●会社法 第2条の30

新設分割 一又は二以上の株式会社又は合同会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部を分割により設立する会社に承継させることをいう。

(引用:e-Gov法令検索「会社法」引用日2022/05/11)

もう1つの会社分割の手法である吸収分割は、既存の会社に事業を承継させることです。別の会社へ事業を承継させるという意味では新設分割も吸収分割も同じであるものの、承継する側の会社が新しく作られた会社かそうでないかという点で異なります。

(内部リンク:「吸収分割」)

会社分割によって組織形態や社内システムを再編することで、残った事業の生産性向上や新規事業への参入などを図りやすくなります。また、不採算事業を他社へ売って売却益を得られることも会社分割のメリットです。

 

新設分割の3つのケース

新設分割は、次の3種類に大きく分かれます。

●分社型新設分割

X社がY社を新設して自社の事業をY社に渡し、Y社はX社に対して分割の対価となる株式を渡す方法です。実質的には旧法の「物的分割」と同じであり、Y社はX社の完全子会社となります。

●分割型新設分割

X社がY社を新設して自社の事業をY社に渡し、Y社はX社そのものではなくX社の株主に株式を渡す方法です。実質的には旧法の「人的分割」と同じであり、X社とY社は兄弟会社となります。

●共同新設分割

X社とY社が合弁会社Z社を新設し、それぞれが持っている事業をZ社へ渡す方法です。Z社は自社の株式をX社とY社それぞれに渡し、X社とY社はいずれもZ社の親会社となります。

 

新設分割・吸収分割と事業譲渡の違い

会社の事業を別の会社へ譲るという点では会社分割(新設分割・吸収分割)も事業譲渡も同じですが、両者にはいくつかの違いがあります。

事業を包括的に承継する会社分割は、会社法上の組織再編に当たります。事業に関連する動産や不動産に加えて各種ノウハウ・雇用契約・取引関係なども引き継がれるため、会社分割に際して債権者や労働者から個別に同意を得る必要はありません。ただし、多くの場合は債権者や労働者の権利を守るための手続きが必要です。

一方で、事業資産を個別に売買する事業譲渡は組織再編に該当せず、譲渡の際は契約関係を個別に行う必要があります。したがって、譲渡の際は債権者や労働者一人ひとりからの承諾取得や許認可の再取得などに関する手続きが必要です。また、会社法では事業譲渡後の競業について次のように定めています。

●会社法 第21条(譲渡会社の競業の禁止)

事業を譲渡した会社(以下この章において「譲渡会社」という。)は、当事者の別段の意思表示がない限り、同一の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区又は総合区。以下この項において同じ。)の区域内及びこれに隣接する市町村の区域内においては、その事業を譲渡した日から二十年間は、同一の事業を行ってはならない。

(引用:e-Gov法令検索「会社法」引用日2022/05/11)

これに対し、会社分割では事業を渡した側の会社が必ず競業禁止義務を負うとは限りません。

 

新設分割により会社分割を行う手続き

新設分割を行う場合は、会社法で定められているさまざまな手続きが必要です。実際の手順は多少前後することもあるものの、きちんと手続きを行わないと分割が無効となったり、思わぬトラブルが生じたりしかねません。ここからは、新設分割を行う会社を「X社」とし、分割によって新設される会社を「Y社」として、会社分割の手続きの流れを解説します。

 

新設分割計画の作成・事前開示書類の備置

X社は、Y社について次のような内容を記した新設分割計画書を作成します。

  • 設立目的
  • 分割方法および期日
  • 商号
  • 所在地
  • 取締役、監査役の氏名
  • 資本金および準備金、株式数
  • 承継する権利義務 ほか

計画書作成後、計画の詳細に加えてX社・Y社それぞれの債務履行見込みなどに関する事項を事前開示書類にまとめてX社に備置します。なお、事前開示書類の備置開始日は次に掲げる日のいずれか早い日です。

  • 株主総会の2週間前の日
  • 株式買取請求や債権者の異議などに関する公告の日
  • 分割計画書作成日から2週間経過した日

(参考:e-Gov法令検索「会社法」第803条

 

債権者保護手続き

新設分割によって債権者が不利益を被る恐れがある場合、債権者は分割に対して異議を申し立てることが可能です。X社は分割の1か月前までに新設分割について官報に公告し、かつ必要に応じて債権者へ個別に通知するよう定められています。

所定期間内に債権者から異議申立てがあり、かつ分割によって債権者が不利益を被る恐れがある場合、X社は債務弁済手続きや担保提供手続きなどが必要です。所定期間内に異議申立てがなかった場合は、債権者全員が分割に賛成したものと見なされます。

(参考:e-Gov法令検索「会社法」第810条

 

労働者への通知や協議

X社が自社の事業をY社へ承継する場合、分割対象となる事業に主として従事する労働者との労働契約もY社へ承継されます。原則として労働者からの事前承諾は必要ないものの、労働環境や業務内容の変化が労働者に大きな影響を及ぼすこともあります。会社分割に際して、会社は労働者から理解と協力を得るとともに労働者の権利を守ることが欠かせません。そのため、X社は次のような手順で労働者保護手続きを行う必要があります。

分割契約の内容によっては、対象事業に主として従事するものの労働契約はX社のままとなる労働者が現れることもあります。もし当該労働者から異議申立てがあった場合、当該労働者はY社へ転籍します。

(参考:e-Gov法令検索「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」第4条4項

また、労働契約がY社へ承継されるものの対象事業に主として従事していない労働者が異議を申し立てた場合、当該労働者はX社に残留します。

(参考:e-Gov法令検索「会社分割に伴う労働契約の承継等に関する法律」第5条1項

 

株主総会決議・株式買取請求

X社は分割日の20日前までに株主に対して通知または公告を行い、株主総会の特別決議で分割について承認を得る必要があります。ただし、Y社に承継させる資産の合計額がX社の純資産額の5分の1を超えない簡易新設分割の場合はこの限りではありません。

(参考:e-Gov法令検索「会社法」第804条、第805条

分割に反対する株主や新株予約権を持つ株主がいる場合、株主はX社に対して株式買取を請求できます。買取価格は株主とX社の協議によって決まりますが、分割後30日以内に協議がまとまらない場合は裁判所へ価格決定の申立てをすることが可能です。

(参考:e-Gov法令検索「会社法」第806条、第809条

 

新設分割の登記申請・事後開示書類の備置

分割手続きの完了後2週間以内に、Y社の本社所在地を管轄する法務局でY社の設立登記とX社の変更登記を行います。近年は、会社の代表者に代わって司法書士が登記手続きを行う場合がほとんどです。

(参考:e-Gov法令検索「会社法」第924条

また、X社とY社は会社分割に関する事項をまとめた事後開示書類を共同で作成し、それぞれの本社に備置します。事後開示書類の備置期間は新設分割成立日より6か月間とし、紙面だけでなく電磁的データによる備置も可能です。

(参考:e-Gov法令検索「会社法」第811条、815条

 

まとめ

新設分割は、会社を新しく設立して自社事業の一部またはすべてを承継させる手法です。事業譲渡のように債権者や労働者一人ひとりから事前承諾を得る必要はないものの、事前説明や異議申立てへの対応などに手間がかかることもあります。

新設分割によって起こり得るトラブルのリスクを最小限に抑えるためには、個々の手続きを不足なく行いながら株主や労働者などの理解を得ることが欠かせません。新設分割をすべきかどうか迷う場合や諸手続きを確実に進めたい場合は、イマジナまでお気軽にご相談ください。また、ブランディングセミナーを始めとした、各種セミナーも実施しております。

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