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事業承継の時だからできる、新たなブランドの構築

2020/10/19(最終更新日:2021/12/09)

#ブランディング事例 #事業承継

ブランディング

近年、さらに増して問題視されている後継者不在問題。2016年度、中小企業庁が中小企業の現状について調査したところ、70歳以上の経営者は約245万人となっているが、その内約51%(127万人)が後継者不在という問題に頭を抱える状況となっている。またこれを解決できなければ、2025年ごろまでの10年間累計で約650万人の雇用、約22兆円のGDPが失われる可能性があるという。これが中小企業の「2025年問題」と呼ばれるものだ。(参考:経済産業省 中小企業・小規模事業者の生産性向上について)今回は、この問題を分析し、どのように向き合っていくべきかを考えていきたいと思う。

中小企業の後継者不在問題の背景

中小企業が抱える後継者不在問題の理由の一つとして、若年層の「大手安定志向」により大手企業に優秀な人材が流れてしまい、中小企業は必要な人数の従業員を確保しづらい状況であるからと言われている。確かに安定性という面では大手企業は魅力的に映る。しかし近年、大手企業より「ベンチャー志向」という考えを持つ若者が増えていることから安定性だけで企業選択をしているわけではないということがわかる。これは「事業将来性」という未来の可能性を見せることによって期待感を創出し、人を惹きつけているのだ。事業承継においても、「事業将来性が感じられない」「期待が持てない」という企業は後継者になろうという人が現れなくなってしまう。

事業承継×ブランディング

事業承継のときだからこそブランディングが必要なのではないだろうか。その理由は、事業承継の際に必要なのは「共感者」であるからだ。自社の製品やサービスが社会でどのような役割を果たしているかを理解し、未来に思い描く姿や企業理念などといった「想い」に心の底から共感してくれる仲間を作ることが後継者不在問題の直接的な解決策となる。すなわち、後継者とは自社の「想い」を未来へ引き継ぐ「共感者」なのだ。

共感者のつくり方

「共感者」づくりをするために、まずは共感してくれる仲間を社内で増やすことが必要不可欠である。自社の理念や事業の社会的な大義、数年後、数十年後に思い描く未来の姿を再確認する。そして社員たちがなぜこの会社で働くのか、自社の事業に関わることでどう社会に貢献できているのかという具体的なイメージを創っていく。そうすると社内で、会社に対して誇りや期待感を抱き仕事をする社員が増える。その結果、社員が企業のブランドを作り、社内はもちろん、社外まで「共感者」を増やしていく。

例えば、私たちのお客様で埼玉県に籍を置く川島製作所という包装機器メーカーの企業がある。私たちが日常生活で商品選択をする際、パッケージは重要な判断条件であるというのは理解しているが、正直包装機器といっても普段私たちが興味を持ち意識することはほとんどないだろう。そのような認識が社内でもあったため、イマジナはどのように「共感者」をつくるのかというところでお手伝いさせていただいた。進めていく中で、彼らが自社について自由に発想するとパッケージは「モノを包み、安全安心に消費者に届ける」というところから、それは最終的に私たちの仕事はモノだけではなく「人や生活を包み込むこともできる」と包装機器メーカーの枠を超えて自分たちの目指す姿が次から次へと出てきた。こういった「想い」が人の心を揺さぶり、共感を生み出していくのだ。(自動包装機のパイオニアに受け継がれるこだわりとブランド )←川島製作所のブランディングについての記事はこちらをクリック

 

このようにして自社の「想い」に共感する仲間づくりをし、人を集めるのではなく集まる魅力づくりをする。それがブランディングなのだ。ブランディングをすることで、いざ事業承継をする際、直面する可能性のある人手不足や後継者不在問題に対して、あらかじめ手を打つことができるのだ。

まとめ

今回は後継者不足問題を、ブランディングという観点で切り込んでいった。ブランディングと聞くと一見遠回りに思えてしまうが、将来自社を背負っていく「共感者」という仲間づくりをするためには一番の近道である。ブランディングは明日始めてすぐに成果が出るというものではない。そう考えて後回しにすることで、自社にとっての潜在的な優秀人材を逃してしまうことになりかねないのだ。ネガティブな話題が充満し、世間が意気消沈している今だからこそ自社の魅力に磨きをかけて日本に活気を取り戻していきたい。

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