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地域ブランディングとは、地域をブランドとして認知してもらうために、地域の価値や魅力を発信するブランディング戦略の手法です。地域ブランディングを成功させるためには企業の協力も必要不可欠です。成功すれば、地域活性化や廃れていく文化の継承にも繋がります。
当記事では、地域ブランディングの進め方と成功させるためのポイント、成功事例などを紹介します。地域活性化のアイデアを探りたい人は、ぜひ参考にしてください。
地域ブランディングとは?
地域ブランディングとは、地域の価値を高め魅力を発信し、地域をブランドとして認知してもらうためのブランディング戦略手法です。
地方都市では人口減少による過疎化や高齢化が進み、地方産業が弱まりつつあります。そこで注目されているのが地域ブランディングです。地域ブランディングによって地域全体をのブランド化する事で、企業・住民の呼び戻しや地域活性化が望めます。
地域ブランディングは、さまざまな組織がかかわるため難易度が高い取り組みです。ブランディングを成功させるためには、企業や自治体が主体となって取り組む必要があります。
地域ブランディングの進め方
地域ブランディングは、施策を実行するまでの過程を可能な限り論理的に考え、PDCAサイクルを回しやすいように進めるのが大事です。
ここでは、地域ブランディングの進め方の一例を紹介します。
1 | プロジェクトの実行チームを作る |
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実行チームは、成果に責任が取れ、互いに連携できる数名で構成するのがおすすめです。 |
2 | 優先順位を決める |
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地域ブランディングの目的を細かく洗い出し、どの目的から達成するかを決めてください。 |
3 | シミュレーションを行う |
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実行チームの中で施策までのシミュレーションを行い、必要なメンバーや自分たちでは難しいことなどを洗い出します。 |
4 | メンバーを集める |
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プロジェクトメンバーを集めましょう。幅広い年齢層を集めると意見の幅が広がります。 |
5 | スローガンを作る |
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プロジェクトの中で同じ目的を共有するためのスローガンを作ってください。 |
6 | ターゲットのニーズを探る |
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プロジェクトのターゲットを絞り、ターゲットのニーズを探し出します。 |
7 | 地域らしさを紐解く |
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その地域らしさを紐解き、地域ならではの魅力や特徴を集めましょう。 |
8 | 施策を決める |
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ターゲットのニーズを「地域が持つ価値」で満たすための具体的な施策を考えてください。 |
地域ブランディングを企業や団体内でスムーズに進められるか不安な場合は、ブランディングのセミナーを受けたり、外部のブランディング会社に助言を求めたりするとよいでしょう。
地域ブランディングを成功させるためのポイント
成功した地域の施策を真似しても、うまくいくとは限らないのが地域ブランディングの難しいところです。地域ブランディングを成功させるには、地域の特徴やターゲットとなる人々のニーズをしっかりと把握した上で、粘り強い取り組みを行うことが必要となります。
ここでは、地域ブランディングを成功させるためのポイントを6つ紹介します。
長期戦略として取り組む
地域ブランディングを成功させるには、結果を短期間で求めないことが大切です。地域ブランディングは、成功したとしても結果が出るまでには一般的に数年ほどかかります。これまでに世の中に認知されていなかったものが広まり定着するには、ある程度の時間を要するためです。
地域ブランディングは「実施して結果を待つだけ」とはいきません。コツコツとした地道な努力の積み重ねが地域ブランディングの鍵だと考え、長期戦略として取り組みましょう。
3Rを意識する
地域ブランディングを確固とした活動にするには、3Rと呼ばれる地域ブランディング特有の概念が求められます。3Rとは、下記3つの言葉の頭文字を取った用語です。
Relationship | 関係構築 |
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Relevance | ブランド認知 |
Reputation | ブランドの評判形成 |
地域ブランディングでは、行政がターゲットにブランドイメージを発信する(Relevance)とともに、住民などと関係性を構築します(Relationship)。ブランドイメージを正しく認知した住民などが発信者となり、地域外のターゲットに向けてブランドの評判を拡散してくれます(Reputation)。地域ブランディングでは、行政・住民・ターゲットが3Rの関係になるのが大切です。
地域に合った企画にする
地域ブランディングでは地域に合った企画を選ぶのが重要です。例えば、「あの地域がアニメとコラボして成功しているから、自分の地域でもコラボしよう」と考え実行しても、成功する確率はあまり高くありません。
地域ブランディングで大切なのは、成功例をまねるのではなく、地域住民との結びつきや地域の独自性を重視することです。企画先行型やプロダクト先行型の施策は避け、住民の声に耳を傾けて、地域社会に合った企画を考えましょう。
フィロソフィーを明確化する
フィロソフィーとは、ものの見方を指す言葉です。地域ブランディングにおいては、「活動によって誰に何を提供するか」を決めることを指します。例えば、「都会生活に疲れた人に地方の町の穏やかな空気を感じてもらいたい」という考え方も、フィロソフィーの一種です。
フィロソフィーを明確にすれば、地域ブランディングの方向性を固めやすくなる上、活動内容を直感的に伝えるスローガンも作りやすくなります。また、フィロソフィーに基づいたイメージカラーやロゴデザインを作ると、ターゲットに響く地域ブランディングを行いやすくなるでしょう。
アイデンティティを生かす
地域ブランディングはほかの地域との差別化を図ることが大切であるため、地域独自の特徴を洗い出しましょう。地域独自の特徴とはほかの地域にはないアイデンティティであり、見方や活用次第で大きな魅力にもなります。
地域のアイデンティティを明確にするには、チームで話し合ってなるべく多くの意見を書き出すことが大切です。
トレンドを取り入れる
地域ブランドにもトレンドがあります。地域ブランディングを行う際には、トレンドを意識して盛り込むことで、ターゲットからの注目をより集めやすくなるでしょう。
例えば「体験」を重視するトレンドの場合、ものを買うためではなく、特定の地域でしかできない体験を求めて訪れる人が増える傾向にあります。
地域ブランディングの事例
地域ブランディングは地域活性化につながるため、積極的に施策を打ち出す自治体が多くあります。また、適切な地域ブランディングの実行により、成功事例が増えている点にも注目すべきです。
ここでは、地域ブランディングに成功した代表的な事例を3つ紹介します。
くまモン(熊本県)
熊本県の人気キャラクター「くまモン」は、地域ブランディングの代表的な成功例です。くまモンが生まれたのは、九州新幹線開業の地域観光キャンペーン「くまもとサプライズ」がきっかけでした。
くまモンがご当地キャラクターとして大きな成功を収めた要因の1つは、くまモンが版権フリーであることです。通常、キャラクターを使用する際には使用料がかかりますが、くまモンは使用料なしで誰でも使用できるキャラクターとなっています。
くまモンを版権フリーにしたことで、くまモンを使用したさまざまな熊本グッズやくまモン関連商品が誕生し、全国に広まっていきました。その結果、日本中で熊本県がブランドとして認知されるようになりました。
直島(ベネッセコーポレーション)
直島は、「島×生活×アート」というテーマで地域ブランディングに成功した、香川県の離島です。直島では、アーティストが空き家になった古民家を改修し、作品として仕上げるプロジェクトを立ち上げました。その結果、離島の暮らしをアートに昇華させています。
直島が地域ブランディングに成功したのは、地域ブランディングの目的を「観光客を集めること」にしなかったためだと言われています。直島の行政があくまで島民の満足度に重きを置き、島民が誰かを招きたいと思えるような地域ブランディングに取り組んだことで、自然と島外から人が訪れるようになりました。
吉野杉の家(株式会社イムラ)
吉野杉は奈良県の名木で、日本三大美林の1つとも言われています。吉野杉は500年も前から吉野の森で育てられ木材として利用されてきましたが、吉野杉の価値の低下や吉野杉を守り育てる「山守」の高齢化や後継者不足によって文化が途絶えてしまう危機に陥っていました。
文化の存続と、吉野杉の主産地である奈良県川上村の活性化を目的の1つとした取り組みが、株式会社イムラの「吉野杉の家」による、地域循環の仕組み作りです。地元の質のよい木材で地元の職人が家を建てることで、需要を生み出し地域産業の活性化をもたらします。さらには大工の育成なども行うと共に、産官学連携も行い吉野杉の付加価値を高める取り組みも行っています。
まとめ
地域ブランディングとは、地域の価値を高め魅力を発信して地域ブランドを認知してもらうためのブランディング戦略手法です。地域ブランディングを成功させるには、長期戦略として取り組み、地域に合った企画を立てるのが大切です。複数の事例から成功の要因を分析し、地域に合った施策に落とし込みましょう。
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