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P&Gに学ぶ、愛されるブランドの作り方

2020.09.09

#イマジナ・ブランディングニュース

どんな時代でも、愛されるブランドや商品は存在する。「どうやって売れたのだろう」「どうやって他社の商品との違いを生み出したのだろう」と、思うことがあるが、背景を知ることで、何かヒントが得られるかもしれない。ヒット商品と仕掛けた人材の考え方から、強いブランドを作る背景を探ってみたい。

ヒット商品『綾鷹』の背景には明確なブランド戦略があった

みなさまは『綾鷹』というペットボトル飲料をご存知だろうか。コンビニや自動販売機でもよく目にする、日本コカ・コーラの商品である。『綾鷹』は、今となっては多くの人が知る人気商品だが、実は商品発売から3年が経っても、一向に売上が上がらなかったという。社内では、『綾鷹』を廃止して異なるブランドを作ろうという気運が高まっていたほどだ。

しかし、ブランド戦略からマーケティングまでを見直した結果、消費者調査で『綾鷹』の購入意欲を倍以上にすることに成功した。もっとも力を入れたのは、商品コンセプトの変更。次に、コンセプトを裏切らない美味しさや量といった商品力。さらには消費者が買いたいと思ったときにいつでも手に入る流通と価格であることなど。これらの改革を行うことで、売上を伸ばしていった。

多くの人が知っている「選ばれたのは、綾鷹でした」というキャッチコピーが作られたのはこの頃。『綾鷹』のポイントはお茶の濁りであり、これは差別化要素でもある。しかしこれをそのまま「本格派のお茶なので、濁りがあります」では意味がない。調査を行い、消費者に「急須で入れたお茶はどれか」と尋ねると、8割が『綾鷹』と答えた。この経緯をCMにすることで、認知度と市場シェアは急上昇。現在は売上高1,000億円を超える商品となっている。

P&Gで培ったブランド構築力を、日本コカ・コーラに転用

この『綾鷹』のリブランディングを担当したのは、2019年7月1日に日本コカ・コーラのCMO(チーフマーケティングオフィサー)に就任した和佐高志氏だ。和佐氏は日本コカ・コーラ初のアルコール飲料である『檸檬堂』の商品開発とマーケティングも手掛けており、近年、様々なメディアに登場している人物である。

和佐氏はメディアで、愛されるブランドを作る上でもっとも大切なのはプロダクトエッジ、言い換えると、「意味のある差異性」と話している。差別化がうまくできているブランドは、どんな業界のどんなセグメントのブランドでも、消費者から圧倒的な支持を受けているというのだ。

前述の『綾鷹』の例では、こう述べている。「これまでのペットボトルの緑茶とは違い、本当に急須でいれたような味わいと見た目のお茶であること。ここが差別化のポイントでした。私が入社した当時、にごりを出すという製造の難しさはクリアしていました。上林春松本店さんという老舗の茶舗とパートナーシップを組み、急須でいれたときの渋みや口当たりなども再現できていた。でも、それがうまく消費者に伝わっていなかったんです。そこで、商品コンセプトや価格、広告戦略などを変えてブランディングし直していきました」。

BtoBでもBtoCでも変わらない、普遍的な法則がある

様々なメディアで和佐氏の発言を読んでいると、大切なことはBtoBのビジネスでもBtoCのビジネスでも、変わらないのだなと思う。差別化ポイントを見つける(作る)のはブランディングにおいてもっとも大切なことであり、基本的なことだ。このことを和佐氏は前職のP&Gで学んだという。

P&Gは多くの人が知る通り、ブランディング・マーケティングにおける先進企業だ。和佐氏のようにP&Gで実績を積み、他社で挑戦を重ねる人材は「P&Gマフィア」と呼ばれているが、それほどまでに、P&Gのブランディング・マーケティングノウハウは確立されている。

ほかにもP&Gのフレームワークにおいて、業界や業種を限らず、応用できるものがある。それは「WWH」だ。「WWH」は「Who/What/How」の頭文字をとったもの。「誰に」「何を」「どのように」売るかを意味している。このフレームワークはブランドを選んでもらうという事業であれば何にでも使うことができる。

「Who(誰に)」「What(何を)」は時代が変わっても変わらないが、「How(どのように)」に関しては手法が変化する。それはかつてBtoCの事業であれば訪問販売であり、BtoBの事業であればテレアポが主流であったかもしれない。しかし現在ではネット広告であったり、オウンドメディアを運用したり、YouTubeで情報発信したりといった手法も考えられる。

しかし、このフレームワーク自体は時代が変わっても変わらない。P&Gはメガブランドを多数持つが、このような基本的なところを徹底するからこそ、普遍的なブランドを作ることができるのだと思う。

まとめ

駆け足で、現在売れている商品のブランド力、それを牽引する人材のキャリア、そして普遍的なP&Gのフレームワークを見てきた。現在は商品の特性を作ったり、差別化ポイントを生み出したりするのが難しい時代である。しかしどんな時代でもブランド力の強い商品は存在する。今一度、他社から学び、自社のブランドを見直すことで、さらなる成長を目指していきたい。

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