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「心のイメージを変える」ブランディング-キリンの事例から紐解く

2021/04/06(最終更新日:2021/04/07)

#アウターブランディング #ブランディング事例

 関東地方では例年より一足早く桜が咲き、今年は3月に満開を迎えた。4月から新入社員が加わるこのタイミングで考えたいことは、自社のブランディング。ブランディングにはアウター、インナーといった切り口があるが、新年度を迎えた今、改めて、自社やサービスのブランディングを考えてみるのはどうだろうか。

変化の時代、ブランディングはどう変わるのか?

 テレワークや時短勤務など、ニューノーマル(新常態)の働き方が根付きつつある。昨年の今頃は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が発令され入社式を急遽オンラインに切り替える、また入社時期をずらすといった措置を取る企業が多く、波乱の幕開けとなった。今年は昨年よりは落ち着いた様相となりそうだが、それでも例年とは異なる感覚を覚える人は少なくないと思う。

 もちろん変化は入社式のみならず、経営や事業においてこそ生じており、多くの企業が生き残りをかけて方針を変えたり、抜本的なブランディングに取り組んだりしている。これまでのやり方、そして成功体験が通用しなくなっている昨今において、自社のブランドをどのように変えていけばよいのか。

 

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そもそも「ブランディング」とはなにか?

 経営の根幹にも影響するブランディングだが、そもそもどのような意味を持つのか。

 ブランドという言葉は、北欧の古い言葉からきている。北欧では牛を放牧していたが、その牛が自分のものであると証明するために、体に焼印を施していた。この焼印のことを「brandr(ブランドル)」と言い、そこから転じて、商品を識別するための要素を「ブランド」と呼ぶようになった。

 だんだんと「ブランド」は一人歩きを始め、「あのブランドの野菜は新鮮だ」とか「あのブランドのスーツは丈夫で物持ちがいい」といった文脈で使われるようになった。あらゆる商品がブランドではあるが、秀でた商品を指して「ブランドもの」といったように使われるようになった背景には、このような理由がある。

 現在ブランドは、知的財産に当てはまるような外形的な識別要素の枠を超え、一人ひとりの心に生まれるイメージを指すようになった。例えば、AppleのMacを使っているとクリエイティブな自分になれる、ナイキのシューズは運動をする自分にパワーをくれるなど。性能が、ずば抜けて秀でているわけでなくとも、他の商品とは明らかに違う心象を与えるものは、優れたブランドであると言える。

 

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ブランディングとは、「心のイメージ」を変えていく取り組み

 この優れたブランドを作る取り組みをブランディングと言い、会社組織といった内部に向けて行われるものをインナーブランディング、会社外部に向けて行われるもの(広報、PRなど)をアウターブランディングと言う。

 これらは、一朝一夕で完成するものではない。自社が大切にするものは何か、なぜそれを大切にしているのか、そして、どのようにそれを表現していきたいのか。これらを整理し、メッセージ、ロゴ、ホームページ、パンフレットなど、あらゆるコミュニケーションの接点に落とし込むことにより、ブランディングの一歩を踏み出すことができる。

 ブランドは心の中にあるイメージなので、変えていくには時間のかかるもの。そのため、年度の変わり目や、事業環境が変化しているときなど、思い立ったタイミングで取り組むことが大切だ。

 特に今は、新型コロナウイルスの影響はもちろんのこと、DXの推進や、SDGs・ESGといった環境に関する配慮が見逃せなくなっている。まさにおおきな変化の潮目。ブランディングに、テコ入れすることでさらなる可能性を広げることもできる。

キリンが取り組んだ、環境に優しいブランディング戦略

 実際に現在、ブランディングに力を入れ、イメージの刷新に努めている企業に、キリングループがある。つい最近、キリンは「生茶」シリーズにおいて、商品名などを印字したプラスチック製ラベルを無くした「ラベルレス」シリーズを販売開始した。生茶のブランドHPによると、環境に配慮した100%リサイクルペットボトル​を使用。​ペットボトルがペットボトルに生まれ変わることで、​製造にかかわる石油由来樹脂使用量を90%削減、CO2排出量の50~60%を削減したとある。

 生茶もキリンもとても有名なブランドだが、将来は人口減少による需要の減少が見込まれており、将来を決して楽観視することはできない。また喫緊の課題として、ペットボトル飲料の環境への負荷が懸念されている。

 そのような中、環境問題により関心の深い「Z世代」と呼ばれる若年層に、生茶やキリンを好きになってもらおうという企画が生まれた。「Z世代」は主に、1990年代半ば以降に生まれた環境や社会課題に対する意識が高い世代を指す。

 生茶の顧客は40~50代が中心のため、10年20年先を見据えて、将来世代を取り込むために、ブランド強化を行っているという背景がある。生茶は、自然由来の生茶葉のおいしさを売りにしており、その商品価値を末長く提供するためには、環境問題は避けて通れない。気候変動、プラスチックごみなどと真正面から向き合い、問題解決に取り組むブランドであるという姿勢を伝えている。

 

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大掛かりな仕掛けがなくても、ブランドは刷新できる

 ブランディングというと大掛かりな仕掛けを想像するが、今回キリンが仕掛けたのは、パッケージデザインを変えるだけ。コミュニケーションを捉え直すことで、「悪のイメージが強い」ペットボトル飲料を、「環境に優しい」ペットボトル飲料へと変えることができることを、キリンは教えてくれた。

 中長期的に見ると、このような取り組みは採用をはじめとしたインナーブランディングにも影響してくるだろう。環境意識の高い優秀なZ世代が将来、キリンの入社試験を受ける、ということは想像に難くない。もちろんこれは偶然でなく、緻密に計算された上での取り組みのはずだ。

 今回はキリンの事例から、ブランディングとは何かを掘り下げてみた。ちょうど期が変わる今だからこそ、自社や商品のブランディングを考えてみるのはどうだろうか。

 

弊社では、社員が働くことに誇りを持ち、思わず社外にも伝えたくなる企業ブランドづくりをしている。コロナ禍で社内に向き合う時間が増えたからこそ取り組むべき、『社員も顧客も魅力的に感じるブランドづくり』について学べる無料ブランディングセミナーを対面またはオンラインで定期的に開催しているので、ぜひお越しいただきたい。

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