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【第11弾】インナーブランディングが進まない企業の特徴【新書籍発刊記念特別コラム】

2020.08.27

#イマジナ・ブランディングニュース

社内向けのブランディング、いわゆる「インナーブランディング」は、すぐに結果が出るものではありません。しかし、どんなに時間をかけても、社内のブランドに対するイメージや、会社に対する忠誠心がなかなか醸成されないという場合もあります。それは、具体的にどんな状況なのでしょうか。

もちろんさまざまな要因がありますが、ひとつ言えるのは「社員がそれぞれ別の方向を見ている企業」では、社内のブランディングが遅々として進まないことが数多くあるということです。

なぜ同じ方向を目指して進めないのか、その理由は色々と考えられますが、一番大きいのは、採用の段階で「どんなゴールを目指している会社なのか」をきちんと示していないことでしょう。

●「登る山」をはっきりさせて採用する

会社が山登りの集団なのだとしたら、ゴールを示すとは、目指すのは世界最高峰のエベレストなのか、日本一の富士山か、それとも週末の高尾山なのか、まずは、そこをはっきり示すということが重要です。

その上で、エベレストなら、「薄い空気と高山病に耐えられる体力と精神力が必要で、登頂まで何日もかかる代わりに、頂上に到達したときは、ほかの山では味わえない達成感を手にできます」というように、「ゴールは具体的にどういうものなのか」という情報を与えることで、相手に正確なイメージを伝えます。

ただし、「理解」してもらうだけでなく、「覚悟」まで確認することが大切です。そうした作業を経てから、採用の成否を判断することになります。

ここを中途半端に省いてしまうと、エベレストを目指す集団に、富士山や高尾山へのハイキングが目標の人間が入り込んでしまいかねないのです。そうした人は、みんなが空気の薄さに耐えながら必死で足を前に出しているときに、「もう歩けません、引き返しましょう!」「だいたいこんなことして意味あるんですか?」と文句を口にし始めます。

そうすると、それが「アリの一穴」となって、心が折れる人や、「本当に目指すのはこのゴールでいいのか……」と決意が揺らぐ人も出てきて、それまで一丸となっていた組織にひびが入ることにもなりかねません。そうなったら、せっかく築いたブランドの価値も一気に危険にさらされてしまいます。ブランドというのは、それくらい繊細なものなのです。

それだけではなく、辞めたあとも、「あの会社は〇〇だ」「××だ」とネガティブな情報を発信し続けるかもしれません。そうなったら、会社の受けるダメージは計り知れません。その社員の採用費だけでなく、それまでブランディングに費やしたコストと時間までが無駄になってしまうのです。

ただし、「同じゴールを目指す人を採用する」というのは、ダイバーシティ(多様性)を否定するということではありません。多様性があるほうが、組織は確実に強くなりますから、ダイバーシティは積極的に進めるべきです。だから、仕事に対する取り組み方は個性的であってかまわないし、細かい作業までいちいち指図するようなことはしないほうがいいでしょう。

ですが、個々の「ベクトルの向き」は必ず一致させておかなければなりません。歩み方はどうであれ、全員が同じ方向に迷いなく進んで行くことが、ブランディングにおいては重要なのです。

●ブランディングのアクセルになるのは、社内の「ロールモデル」

ここまでに述べたとおり、採用前に「会社が大事にしている想い」や「目指すゴール」を明確に説明するということは、会社のブランドに共感した社員に残ってもらい、離職率を下げることに確実に役立ちます。

そして、若手社員が簡単に辞めないようにするための秘策がもうひとつあります。それは、「ミドル社員の教育に力を入れる」ということです。

入社前の学生にとって、「会社の顔」dといえば社長です。社長の発言やキャラクターは、学生が抱くその会社のブランドイメージを大きく左右すると言っていいでしょう。

しかし、入社後は新入社員にとって、社長はそれほど身近な存在ではなくなります。とくに大企業では、普段は直接顔を見ることのない「雲の上の人」という場合も多くあります。そのため、社長は新入社員が働く上でのロールモデルにはなりにくいのです。役員クラスも同様に、自分とは距離が離れ過ぎています。

そうなると、自分が入社前に共感を覚えたブランドイメージを、実際の仕事ではどう生かしていけばいいのか、いちばん参考になるのは、「職場の身近な先輩」の働き方ということになります。

そこで、もし自分の1年先輩の社員が、仕事をバリバリこなしてブランドイメージを高めるようなアウトプットをしていたとしましょう。それを見た新入社員は、こう思うはずです。

「たった1年でこんなに仕事ができるようになるのか。やっぱりこの会社を選んで間違いじゃなかったんだ。よし、自分も1年後にはああなれるように頑張ろう」

ところが、近くにいる先輩が、たいした仕事もせず、ブランドに対する想いも感じられないような人だったら、「先輩があの程度なら、自分もここにいても大きな成長はできないのかな。これは失敗したかもしれない。早めに見切りをつけたほうがいいのかも……」と感じてしまうでしょう。

●ブランドに共感した新入社員が知りたいこと

入社前にブランドに共感した人が入社後に知りたいのは、会社が大切にしている想いを大事にしながら働いていったら、1年後、5年後、10年後、自分はどうなっているのだろうという具体的な姿です。

たとえば、1年後はこんな仕事をしていて、その結果、社会にこういう貢献をしている。5年後はさらに成長して、こんなことができるようになっている。10年経ったら中堅社員として会社の経営にも参画していて、そのときには会社のブランドイメージの認知も確固たるものになっている、といった具合です。

一方で、人間の想像力には限界があります。真っ白なキャンバスに「10年後の自分の姿を描きなさい」といきなり言われて、わかりましたとすぐに描き出せる人はそうはいないはずです。何とか描いたとしても、それが本当に合っているのか、確信が持てず不安になる人も多いでしょう。

自分が納得できる未来絵図を描くためには、手がかりとなるものが必要です。
会社で言えば、それが先輩社員なのです。

仕事を取り巻く環境が日々激しく変化する中、お客さまもまた様々な情報にさらされ、心が移ろいやすくなっています。そんなとき、入社間もない社員が、形のない会社の想いや、お客さまの頭にあるであろう自分たちのブランドイメージを信じ続けるのは簡単なことではありません。

このままでいいのかと、未来が不安になることだってあるでしょう。そのとき、すぐそばで働いている先輩社員が魅力的なら、何年か頑張れば、自分もあの先輩みたいになれるのだと安心することができるのです。

社内に若手社員のロールモデルとなる先輩がいる。これもインナーブランディングの大事な要素のひとつなのです。

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