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逆境をバネにするリブランディング

2020.10.23

#イマジナ・ブランディングニュース #リブランディング

コロナの影響が広範囲に及んでいる。単に売上の減少だけではなく、採用を取りやめることで、組織体制そのものを見直す企業が増えているのも事実だ。このような状況下において、企業がとるべき選択肢とは何か。ブランドイメージを刷新し、成長を果たした無印良品を例に考えたい。

新卒採用を取りやめ、組織体制の抜本的な見直しを図るANA・JAL

ANAグループとJALグループは、7月に2021年度の新卒採用を中止することを発表した。どちらも事務職員や数理・IT系、技術系、企画職やパイロット、客室乗務員などを、計600人〜700人程度を毎年採用している。エントリーも既に始まっている最中での決断だった。

背景は、新型コロナウイルスの感染拡大の収束が見えないことにある。ANAグループの2020年4~6月期の連結決算は最終損益が1088億円の赤字。JALグループは最終損益が937億円赤字。両社とも航空事業の極端な低迷により、3ヶ月で約1000億円規模の赤字という非常に厳しい結果となっている。

実際、飛行機に乗る機会があっても、本数を減らす、空港内の一部店舗を閉める、サービスを簡略化するなどしており、売上を上げる機会がないことがわかる。政府主導のGOTOキャンペーンで旅行業界を活性化しようという動きもあるが、海外旅行や出張に適用されないため、どれほどのプラスになるかは未知数だ。

しかし大変なのは、航空業界だけではない。様々な業界が一時は収束したかのように見えたが、新型コロナウイルスの影響を受けており、それがいつまで、どの程度及ぶのか把握が難しいのが現状だ。

「わけあって、安い」を掲げ、産声をあげた無印良品

まさに現在、日本全体が逆境の渦中にあると言えるだろう。このような事態において企業は何に取り組めば良いのだろうか。

集客や営業など、選択肢は様々だが、「選択と集中」に取り組む企業が多い。無駄を取り除き、効率化を図る方法だ。例えば、オンラインMTGや自宅での就業も、選択と集中の一つだろう。

そしてさらに抜本的な改革を行っている企業は、「経営資源の集中」、さらには「経営そのものの革新」に取り組んでいる。

経営資源の集中はいくつかある事業の中から、自社のコアであるもの、また今後伸びるであろうと思われるものにフォーカスし、そこに資金や人などの資源を割り当て育てていくことだ。経営革新は、従来の路線を大きく変更したり、新たな戦略を立てたりと、どちらかというと、新しいことをやるニュアンスに近い。これらの取り組みを徹底して行うことで、逆境をバネにして成長しようと目論む企業が多く存在しているのも事実だ。

かつて経営資源の集中を行い、ブランドを刷新し、成長を果たした企業がある。無印良品(良品計画)だ。

無印良品のスタートは1980年。日本がバブル経済に突き進む最中、メーカーの製品は低価格・低機能、もしくは高価格・高機能と二極化していた(機能がそのまま付加価値になった時代だ)。そんな中、無駄を省いた納得感のある価格で「良い品」を提供するブランドを目指し産声をあげたのが、無印良品である。

当時の無印良品のブランドコンセプトは「わけあって、安い」。その「わけ」は品質ではない。無駄な機能をつけず、デザインや品質や共感に資源を割り当てる。この戦略が功を奏し、成長を果たした。

ブランドコンセプトを変更することで、新たな成長を実現

しかし無印良品は、2000年代に入ると売上が低迷。常に好調なイメージのある同ブランドだが、実は2000年代初頭に経営不振に陥っていた。

この頃はちょうど、100円均一ブームの到来やファストファッションのユニクロの台頭などがあり、「安くて品質が良い」は、無印良品の専売特許ではなくなってしまった。そこで無印良品は「わけあって、安い」というブランドコンセプトの見直しを実施。時代が求めているものは何か、検討を重ねた。

そして生まれたブランドコンセプトは、「これでいい」。毎日の生活を送る上で、過剰なモノや装飾は必要ない。不純物を取り除き、必要なものだけを残したシンプルさを追求するというコンセプトだ。

この価値観は、深く社会に浸透していく。値段はともかく、自分にあった良いものがほしいという消費者の気持ちを掴んだのだ。

事実、この頃から無印良品は、値段に捉われず、安い商品だけでなく、価格の高い商品づくりにも力を入れている。値段の高低を問わず、今の自分には「これでいい」と思える商品の開発に取り組んだのだ。

ポイントは、品質とシンプルさというブランドを追求すればするほど、「これでいい」は自ずと「これがいい」に変わっていくところだ。「やっぱり無印良品がいい」と、消費者に再び思わせる(そうなるように考え抜かれた)ブランドコンセプトを掲げることで、同社は経営危機を脱出。再度の成長を実現したのだ。

まとめ

「ブランドコンセプトを掲げる」というと、成長している企業がやるものという認識が強い。もちろんそれも一つだが、ブランドの真価が問われるのは不調の時だ。

現在行われている「経営資源の集中」「経営革新」は、自社の事業コンセプトやブランドを見直すことにつながる。無印良品のように積極的に挑戦を重ねることで、逆境をバネにしていきたい。

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