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Hot HR vol.158 – 日本企業が世界ブランド価値トップ企業に学ぶ成長戦略

2014.06.16

#Hot HRメールマガジン バックナンバー

アメリカのミルウォード・ブラウン・オプティモアが先月、2014年版の世界企業ブランド価値ランキング「2014 BrandZ Top 100 Most Valuable Global Brand」を発表した。過去3年間1位を維持していたAppleを抑え、Google(前回2位)が4年ぶりに1位に返り咲いた。

 

Googleのブランド価値は、前年度比+40%の1588億4300万ドル。人々の生活や社会を変えようとする、新しい価値を生み出す企業の姿勢と革新性がブランド価値を高めたといわれている。2位のAppleは前年比-20%(1478億8000万ドル)、3位から10位までは上から順に「IBM」「Microsoft」「McDnald’s」「Coca-Cola」「VISA」「AT&T」「Marlboro」「Amazon」という結果。日本国内の企業は26位に「トヨタ」、90位に「日産」、95位に「NTTドコモ」がランクインしているが、上位はいずれも欧米の企業ばかりが名を連ねている。

 

なぜ、欧米の企業はこのような明確な「企業ブランド」を確立でき、価値として高める事ができているのであろうか。これらはもちろん自然の成りゆき任せで生まれた訳ではなく、経営トップが企業ブランドを重要な資産と捉え、従業員に教育・浸透させることを継続し、自社らしさ(カルチャー)を創り上げ、社会に強いブランドイメージを発信し続けてきたからである。

 

自分の会社は何をしたいのか。社会にどのような価値を提供したいのか。自社の商品(サービス)にはどんな特徴があるのか。「○○らしさ」とは何か。こうした企業のメッセージそのものが「企業ブランド」であり、金銭には換算されない「見えない価値」が他社との差別化要因となり、競争の激しい市場の中で優位に立ち、長期的に成長する為に欠かせないその企業の重要な資産になる。

 

前述ランキングにおいて最も企業価値が高いと評されるGoogleは「世界中の情報を整理し、世界中の人々がアクセスできて使えるようにする」ための企業理念を「10 の事実」として数年前にまとめている。経営トップは随時このリストを見直し、事実に変わりがないかどうかを確認し、また、常にそのとおりであるよう従業員に伝え広める事に努めている。変化に合わせて理念を見直す姿勢は、同社のブランドとされる「革新性」そのものを表す。さらに、Googleでは“最高”に甘んじない革新的なサービスの開発は「人しだい」であるとし、今や40,000人にも上る従業員が積極的にアイデアや意見を自由に交換できる雰囲気を失わないようなオープンな企業カルチャーを創業以来守り続けている。週 1 回の全社(TGIF)ミーティングでは、従業員が経営陣たちに直接、会社のことを何でも質問できる。オフィスやカフェは、部署を問わず従業員どうしの交流がしやすいように設計され、また、従業員同士の教育プログラム (G2G) の実践や、日々の仕事に役立つ講座・学位プログラム費の助成が受けられる福利厚生制度を設けるなど、同社のミッションである「革新性の追求」を一人ひとりが理解・共感し、行動に移すためのコミュニケーションの場と、実現の場が与えられている。そのような企業カルチャーからGoogle Glass等の斬新なアイデアが生まれ、「人々の生活や社会を変えようとする革新性のあるGoogleブランド」として、社会にも認識されているのであろう。

 

もう一社、前述企業ブランド価値ランキング58位のFedEx(170億ドル)の取り組みを紹介したい。
全米で急成長を遂げた宅配業で、今では世界中の宅配サービスではなくてはならない存在になっており、紫とオレンジで色付けされたブランドカラーは人々に強い印象を与えている。FedExは迅速で確実な配送システムだけでなく、「顧客満足」を他社と差別化する自社のブランド価値とし、その企業理念を徹底的に浸透させる取り組みを実践し、ブランド価値を高めている。顧客へは、決してNoと言わない顧客満足(CS)ルールを確立し、これを可能とする社内の仕組みがある。社内では関連部門の関係者を内部顧客(InternalCustomer)と位置付け、逆ピラミッド組織として、上司は、部下が迅速な対応を可能とするよう必要な権限の付与を徹底した。経営トップは「従業員満足こそが顧客満足のブランドを支える最も大切な存在」とするメッセージを積極的に従業員に向け発信し、公平な仕事機会の提供や、昇格試験への機会均等を約束するGFT(Guarantee of fair treatment)、部下による上司・同僚への意識調査としてのSFA(Survey of feedback action)等のユニークな制度を導入した。新しい挑戦も可能とする社内募集制度(Internal Posting)や、個人の成長を助けるトレーニングに売上の3%をかける方針もつくり、重点的な訓練・教育制度が確立された。これらが融合して自由で働き易い環境が創造されていった。また、伝統的に首切りをしない方針でも有名だ。これらのユニークな人事制度のお陰で、91%の従業員は、FedExの従業員であることに誇りをもっているという。顧客に「No」を言わないサービスを提供する為の組織づくり、そして満足度の高い従業員から、結果として顧客満足度の高い敏速で確実な配送サービスが生まれ、「FedExブランド」として多少競合より高い価格であっても、価値のあるものとして顧客に受け入れられているのであろう。

 

これらの欧米企業から学べる事は、強いブランド力のある企業は自社の使命が明確でありその企業理念を組織全体として従業員一人ひとりに理解・共感してもらう為、経営トップが率先してメッセージを発信し、従業員とのコミュニケーションを密に図り、そしてその理念に基づき、従業員の日々の実践行動に移す為の環境と制度を徹底的に整えているということである。そこから独特の「○○らしい」企業カルチャーが育まれ、組織全体としての意識・方向性が統一され、自社の強みに新たな付加価値が創造され、顧客と顧客ロイヤリティがうまれている。結果として業績向上に繋がり、企業としてのブランド価値を高める事ができているのである。

 

企業理念はまさにその会社の根幹であるが、単に経営陣が訓話したり、社員が理念を唱和するだけでは、強いブランド価値を生む組織には成長しない。日本の企業が世界の企業と同等の企業ブランド価値として評価される為には、まず経営トップが従業員に「○○らしさ」を浸透させるためのメッセージを積極的に発信し、理解してもらう為のコミュニケーションを継続して図ってゆくべきである。そして従業員がそのメッセージに共感し、自らの行動に移す事を促す為の社内の環境や制度を、徹底的に整えるべきである。

 

企業理念、経営トップのメッセージが従業員に理解・共感され、日々の行動に反映されることにより、その企業カルチャー(らしさ)がうまれ、社会に伝わっていく。そしていつしか企業ブランドそのものになる。これこそが日本企業にとって差別化を図り、世界にその価値を認められる為に必要な成長戦略と言えるのではないだろうか。

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