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PRという言葉の本来の意味を改めて認識することで、ブランディングというものの根本的概念がわかってくる

2015.06.15

#ブランディング・レビュー

アメリカのマクドナルド本社は、今月11日までにグローバルPR担当の最高総責任者として、オバマ大統領政権1期目に大統領報道官を務めたロバート・ギブズ氏を起用すると発表した。同氏はホワイトハウスを去った後は、共同創業者として2013年にスタートしたPR会社の経営に携わっていた。

 

日本の内閣には「総理報道官」というポジションは無いので正確な対比にはならないとはいえ、強いていうと、「元内閣官房長官がモスバーガーの広報部長になった」ようなイメージだ。だとすると、おそらく多くのかたが、こんなのは日本では「ありえない」人事だ、と考えるのではないだろうか。

 

ところが、アメリカでも元大統領報道官が企業のPR最高責任者になることは珍しいとはいえ、それは決っして「ありえない」ことではなく、むしろ「非常に納得のいく、ありそうな」人事である。

 

では、なぜこれが日本では「ありえない」人事であり、アメリカでは「ありそうな」人事なのか。それは、日米における「PR」という概念についての一般レベルにおける認識の大きな相違があるからだ。

 

日本では、PRは「広報」と訳される事が一般的だ。また、PR=(無料の)広告宣伝と思っている人も多い。

 

ところが、英語でいうところの本来のPR(Public Relations)は実際はそういう意味ではない。PRの本来の意味を非常にざっくりと説明すると、

 

「ある組織(企業、政治団体、政府、軍隊など、あらゆる組織)の理念、方針、戦略を組織内外に的確に伝達し、かつ、組織内外の意見、反応を、組織理念、方針、戦略に的確に反映していく活動」

 

ということである。もちろん、日本的広報活動や広告宣伝もその中に含まれるともいえるが、まずはPRありきである。いずれにしろ、日本以外でPRといえば上記のように非常に広義な組織の理念や戦略についての組織内外における効果的コミュニケーション構築プロセスのことを言うのだ。

 

日本では逆にPRが広告宣伝の一部のように考えられている側面が強い。しかし世界的には全くもってその真逆である。広告宣伝はあくまでもPR戦略を基盤にして「制作」され、その後広告枠を購入するというものにすぎない。まずPR戦略ありきなのだ。よって、PR会社と広告代理店というのも全く違う組織体であり、存在意義もそれぞれ全く違うのである。

 

よって、大統領報道官とは大統領のために「PR」活動をする責任者ということであり、そういう人が後にPR会社を創業したり、企業のPRの責任者になる、といっても全く不思議ではないというわけだ。

 

特にアメリカ(軍、政府、そして企業)はこの「PR」というものについてめっぽう強い。それはもともとPRの概念がアメリカの軍事世論形成広報、つまり「プロパガンダ」を元に発展したものだからである。軍事広報で培ってきたPRのノウハウが政治や民間企業のノウハウに反映されているのだ。実際、アメリカのPR会社の経営者や企業のPR担当者には政府や軍のプロパガンダ担当者だった人がかなりいる。

 

このようなPRの「本来」の概念を考えると、日本には厳密な意味でのPRというものが存在していないといっても過言ではない。なので、マクドナルドのような話は現状の日本では「ありえない」ということになってしまう。

 

PRという言葉の意味、広告宣伝との違い、そして世界のマーケットではどのようなことをPRと呼んでいるのか、ということを改めて確認することによって、企業理念の構築+ブランドと企業カルチャーへの反映、そして社内外への浸透という総合ブランディングの的確な進め方が体感できるようになってくるはずだ。

筆者プロフィール
野田大介
コンサルタント

 

略歴 
神奈川県生まれ 神奈川県立七里ガ浜高等学校
立教大学 理学部 数学科卒。
The University of Alabama MBA
経営大学院修了

 

14年半の米国在住後帰国。MBA修了後、米国にて建設会社でプロジェクトマネジャー、化粧品会社にて米国支社長、帰国後マーケティングリサーチ会社勤務。

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