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賛否両論を伴うような「揺らぎ」を起こす企業カルチャーをブランディングに活用する

2015.07.13

#ブランディング・レビュー

少々「古い」話題だが、4月1日に行われた楽天の入社式は全て英語で進行され、また、新入社員の服装はノーネクタイOK、スニーカーOK、お辞儀は無しという、日本企業「らしくない」入社式だったようだ。

 

みなさんご存じのとおり、楽天は数年前から社内公用語を英語としており、かつ、今年の楽天の新入社員300人のうち、2割が非日本人であることを鑑みると、楽天が全て英語の進行による入社式を敢行したことは至極もっともなこととも感じられる。

 

日本企業であるにもかかわらず社内公用語を英語にする、ということについては(当然ながら)賛否両論がある。会社がグローバル化を目指すのであれば社内公用語を英語にすることは当然で大いに奨励されるべき、という意見もあれば、日本国内で日本の顧客や取引先を相手にしている企業がなぜ社内公用語を英語にするのか、日本人同士でおかしな英語のやりとりをすると間違った英語を覚えてしまい逆効果になる等、意見はさまざまである。

 

とはいえ、たとえ顧客や取引先が日本人や日本企業のみだとしても、楽天のように非外国人社員が全社員中の2割も存在する場合、非日本人社員が日本語にかなり堪能にならないかぎり日本語のみの社内コミュニケーションについてはかなり無理が出てくることは明白であり、英語を公用語にしてしまったほうが実務上「手っ取り早い」というメリットがあることは(好みの問題があるにしても)非常に理に適っていると言える。

 

また、楽天が社内公用語を英語にした目的と効果はそのような非日本人社員とのコミュニケーションのためというような「実務的メリット」だけではない。楽天は、今回のように、進行は英語のみ、かつ、お辞儀無し、ネクタイ無しOK、スニーカーOKのような日本企業「らしくない」入社式をメディアに公開、「英語を社内公用語にした」という非常にわかりやすく、かつ、議論の的になりうる「カルチャー」を社内外へ明確に発信することで、楽天は(取引先や顧客が誰であれ)グローバル企業であり、グローバルを目指す優秀な人が活躍する場なのだ、という「企業ブランディング」を非常に上手く実行しているのである。

 

その結果、社内公用語の英語化が良いか悪いか、好きか嫌いかには全く関係なく、日本人の多くが、「楽天は社内公用語を英語にしているグローバルな会社」という企業カルチャーを明確に認知することになった。これはマーケットに対するブランド発信として効果的なだけでなく、グローバルな企業に活躍の場を求める優秀な学生を集めるためのリクルーティングに際しても多大なメリットであり、企業ブランディング効果としては絶大だ。

 

企業ブランディングにおいては、企業トップの理念と、それを基盤とする製品やサービスの特徴、社風等を明確に発信することが基本中の基本だが、楽天のように「社内公用語を英語にした」という「賛否の議論」を伴い、社内外に「揺らぎ」を起こすような企業カルチャーを意識的に発信することは企業ブランディングの効果的要素になりうるのだ。ただし、負の方向のみにブレる揺らぎを発信してしまうとブランディングにとって大きなマイナスになる可能性もあるため、事前に慎重な議論と準備が必要なことは言うまでもない。

 

ところで、楽天の社内公用語が英語なら、野球チームの楽天ゴールデンイーグルスも公用語は英語なのかと思いきや、どうやら野球の試合を見る限り、英語が公用語になっているような様子は今のところ見られない。楽天には外国人プレーヤーもいるのだからチーム内公用語を早く英語にすればいいのではないかと思うが、皆さんはどうお考えだろうか。

筆者プロフィール
野田大介
コンサルタント

 

■略歴
神奈川県生まれ 神奈川県立七里ガ浜高等学校
立教大学 理学部 数学科卒。
The University of Alabama MBA 経営大学院修了

 

14年半の米国在住後帰国。MBA修了後、米国にて建設会社でプロジェクトマネジャー、化粧品会社にて米国支社長、帰国後マーケティングリサーチ会社勤務。

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