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顧客はあなたのWHATを買うのではない。あなたのWHYを買うのだ

2015.11.30

#イマジナ・ブランディングニュース

三年ほど前に話題になったTEDの講演がある。講演者の名前はサイモン・シネック。
『WHYから始めよ!』という書籍の著者だ。
彼はアメリカでコンサルタント業を営んでおり、理念、大義を掲げることの重要性をリーダーや組織に徹底して訴えている。「何を今さら。理念が重要なのは知っているよ」と思われる方も多いかもしれない。使い古されたテーマであり、雑誌や本でたくさん見てきたから、もう説明される必要はないだろうと。
しかし筆者は、今ほど理念を重要視すべき時代はないと考えている。その理由は不況だからではない。時代が求めているからだ。あらためて、理念の重要性を考えてみたい。

シネック氏はこう話す。「顧客はあなたのWHATを買うのではない。あなたのWHYを買うのだ」と。ここでいうWHATとWHYとはなんだろうか。
会社に例えてみよう。WHATとは、その会社で販売しているモノ・サービスだ。社長から末端の社員まで、自分たちが何(=WHAT)を売っているかを知っている。
次に出てくるのは、HOW。すなわち「どのように売られているか」。これを末端の社員まで全員が知っているかと言えば、そうとは言えないだろう。どうマーケティング、販売されており、顧客に自社の商品はどう思われているか。これらを客観的に、また顧客や取引先の目線で理解している社員は少ない。
そして、HOWの上位にくるもの。それがWHYにあたる。WHYとはずばり、「自社がその商品を提供する理由」だ。なぜそれが売られているか。なぜその会社はそのサービスを行っているのか。こういったものに対する答えがWHYに属する。WHYは理念であり、大義、理想、信条である。企業活動の前提にある思想なのだ。
さて、このWHYに明確に答えを出せる社員は、貴社に何人いるだろうか。もしかしたら代表以外答えられない、という企業もあるかもしれない。(「売上をあげるため」と答える人もいるがそれは答えにならない。売上向上のためであれば、別にその商品でなくても構わない)
シネック氏は、成功している企業はWHYが明確になっていると話す。そして、顧客が買うのはWHATではなくWHYだとも。

 

WHYにフォーカスをし、成功した企業の事例を見てみよう。
まず考えられるのがApple社である。Apple社は自社の理念を繰り返し、繰り返し社会に発信している。商品の性能を訴える前に、まず自社がどういう考えを持って、商品づくりをしたのか、ストーリーを必ず盛り込む。
彼らは現状に挑戦し続けるクリエイティブな人々のために、モノを作っている。Macユーザーは、Macを買っているのではない。Apple社の理念を買っているのだ。

また企業だけでなく、個人の行動にもそれは当てはまる。例えばキング牧師。彼は自身の演説を、”I have a dream”で始めたが、これが”I have a plan”と、WHATを意識されたものであったらどうなっていただろうか。おそらくその場に居合わせた聴衆の心は動かされず、この一節が有名になることもなかっただろう。

 

これらの事例より、人々が心動かされるモノやサービスにはWHY、すなわち「理念」が前提にあることがわかる。そして私は現代ほど、このWHYが重要な時代はないと考えている。

 

BtoB、BtoC問わず類似のサービスは世の中に溢れかえっている。そんな現状に対し経営陣は「差別化」を声高に叫ぶけれど、うまく提案に反映出来ている企業は少ない。
また個人が手に入れられる情報も爆発的に増えた。スマホという小型コンピュータを持ち歩き、人々は新たな情報を恒常的に仕入れている。情報は質に関わらず、一瞬で流れる。

 

このような状況とどう対峙していけばよいのか、迷っている企業も多いだろう。企業は何を心に据えて、従業員にメッセージを発信し、商品を開発し、発信すれば良いのか……。
この問いに答えがあるとすれば、それは理念だと考える。その会社がその会社であるために、その商品がその商品であるために。代替のきかない存在として、末永く愛され続けるために、理念を中心に据えるべきなのだ。

 

その企業固有の素晴らしい理念は、顧客だけではなく、社員の判断や離職率の低下にも効果を発揮する。
社員に迷いが生じたときに、それは判断軸となり、会社として「らしくない」振る舞いの選択を抑制する。また、社員は給与で転職を決めなくなるだろう。会社の考え方を理解した上で勤めているのである。「この会社は性に合う」と在籍社員は口にするはずだ。

 

深く、そして永く、会社が顧客と社員から愛されるには、理念を明確にすることは欠かせない。そして、それを高く掲げるだけでなく、日常の業務に活かすことも。
綿密に作り上げた理念が形骸化しないよう活かし続けるためには、社員一人ひとりの努力も欠かせないし、場合によっては外部の専門会社に「刃を研ぐ」手伝いを頼むのも一つの手だ。(我々はまさにこの部分をお手伝いしている)
理念が企業文化に組み込まれるに少し時間がかかるが、その効果は30年先も続くものになる。

 

今一度、理念についてご自身で考えてみてほしい。
理念を決めることと、それを行動に落とし込むことはとても大変な作業だが、決して無駄にならないはずだ。

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