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顧客やステークホルダーの信頼を裏切らない決断をする

2015.12.14

#イマジナ・ブランディングニュース

先日、筆者は会計士や税理士等の士業が集う、小規模な飲み会に参加した。彼らは上場を考える企業向けに、セミナーやマッチングサービスを提供している講師仲間である。
筆者は会計士でも税理士でもないのだが、知り合いからお誘いがあり、その飲み会に参加させていただいた。

 

そこにいた全員は気心の知れた仲のようである。週末ということもあってか普段より和らいだ表情を見せ、和気あいあいと取りとめのない話をしていたのだが、話題はいつの間にか東芝の不適切会計問題の話になった。
途端に参加者たちの表情が真剣になる。この問題の行く末は全員が気になっているようだった。ある会計士は、Webで公開されている同事件の調査報告書(要約版)を読んだとのことだが、報告書に記載されている会計上の数字には、誰でも気づくような不自然な点が多くあったと言っていた。企業の信頼を根底から覆す問題は、長きにわたるその不自然な数字の積み重なりが引き起こした。誰もそれを未然に防ぐことはできなかったのだろうか。筆者は疑問に感じた。

ただ東芝に限らず、このようなコーポレート・ガバナンスを揺るがす出来事は、過去何度も起きている。
例えば2011年にはオリンパスの粉飾会計問題や大王製紙事件が発覚したし、2006年のライブドア事件も日本中に大きなインパクトを与えた。
そしてこれは国内だけの問題ではない。エンロンやワールドコムの件は日本でも話題になったが、どこの国でも不正・粉飾決算にまつわる問題は発生している。日本だけでなく世界中で起こっているのだ。
またこれら一連の出来事が明るみに出るまでの背景は、企業によって大きく違う。上記のケースの発生要因を調べていくと、どれ一つ同じものはないことに気づかされる。
しかし、要因の一つに経営層の考え方、そしてその企業の風土が大きく関係するのは明白だろう。もちろん、会社を取り締まる制度そのものにも改善の余地はあるだろうが、制度を変えれば全てが改善されるというわけではなさそうだ。企業のキーマンがストレスの強い場面でどのような判断をとるのか。その選択の背景に、その企業の性格をのぞき見ることができると思う。

 

東芝のケースを見てみよう。同社では歴代三社長が現場に圧力をかけるなどして、見かけ上の当期利益のかさ上げを狙い、担当者らがその目的に沿う形で不適切会計を継続的に行ってきたとされている。また前述の要約版には「上司の意向に逆らえない企業風土があった」とあり、東芝の役職員は適切な会計処理に向けての意識が欠如していたのではないかという指摘がある。
目先の利益を追うがゆえに、その場限りの判断をしていた可能性が高い。最初のうちは上司から無茶な指示があった際に、反対の声を上げた現場担当者もいたであろう。しかし、そういった担当者が社内でどのような扱いをうけたかは想像に難くない。時間が経つにつれ、反対の声をあげる社員もどんどんいなくなり、不適切な処理を行うことが常態化していったのではないだろうか。またそれを間違っていると感じた社員がいても、軽々しく口には出せない空気が蔓延していたのだと思う。

 

ここでは個別のケースに深く立ち入ることはできないが、実利を追うが故に判断を誤ってしまうことは、どんな組織にも起こりうることだろう。答えのない問いに対して決断を迫られたとき、どうしたら組織として正しい判断が行えるようになるのだろうか。

 

筆者は一つの方法として、その組織の風土にあったコーポレート・ガバナンスや判断の軸となる理念を構築し、それを経営層から現場の社員まで浸透させていくことが重要だと考える。過去の事象を見ても、判断の拠り所となる「企業としてのあるべき姿」をきちんと定め、経営層から現場の社員まで全員がそれを共有していたならば、このような事態は防げたのではないだろうかと考えさせられることも多いにあるからだ。
また不祥事とは関係なくとも、企業が判断を求められる状況は日常において無数にある。
その際、顧客やステークホルダーの信頼を裏切らない決断が出来るか。固有の文脈を加味した上で、その企業の進むべき方向として正しいものを明示できるのか。その際の判断の根本にあるのが、コーポレート・ガバナンスであり、「企業の社会に対する姿勢」を示す理念であると思う。
もちろん組織の形はそれぞれ違う。教科書的な決まりをそのまま導入しても、その組織に合致していなければ、かえって経営の非効率化につながる恐れもある。どんな組織にも独自の風土や歴史、経営体制があるので、それを考慮した上での構築が必要だろう。

 

ぜひ一度、自身が所属している組織を見渡してみてほしい。企業としてのあるべき像が、全社員に共有されているか。組織を客観的に見ることができない、もしくは改善点をわかっていても内部からの変革が難しい場合は、我々のような外部の組織に相談してみるのも手だ。全社員が企業固有の文脈をくみ取り、適切な意識を持って働く環境づくりは、企業成長には欠かせないだろう。

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