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AIにも競合にも代替されないブランドとは

2019/09/04(最終更新日:2021/12/20)

ブランディング

現代は、テクノロジーの進化であらゆる市場が激変している。一昔前までは「うちの業界はアナログだから」「社内にはシステム化できない仕事がたくさんある」という声が様々な企業から聞こえたが、産業全体で見ると「人にしかできない」仕事はどんどんなくなっているようだ。

 

ニュースでも取り上げられることが多く、とくに目覚ましい進化を遂げているのは、車の自動運転化だろう。
自動運転では技術がランク分けされており、人の手を介さない完全な自動運転は「自動運転レベル5」。現在はアメリカ、中国、日本でも自動運転レベル4の試験車が道路を走っているというから驚きだ。

しかし、本分野において日本は遅れをとっている。その危機感もあってか、トヨタは今年2月にソフトバンクと共同出資でMONET Technologiesを設立。
また8月末にはスズキともお互いの強みを補うことを目的として、資本提携を発表した。トヨタ自動車の豊田章男社長は今の時代を「100年に一度の変革期」とし、メディアで「トヨタはクルマを作る会社から人々の様々な移動を助ける会社、モビリティ・カンパニーへと変革し、すべての人に移動の自由を、喜びを与えることができるような会社になりたい」と語り、その決意を新たにしている。

また現在では、高度技術職もAIに仕事を奪われつつある。例えば一部では、証券会社のトレーディングや生命保険や損害保険の審査業務などでもAIが使われ始めているという。他の業種では、弁護士業務などもそうだ。弁護士は、過去の膨大なデータから類似の判例を見つけ、現在担当している案件と照らし合わせて決断することが求められる。この「過去の膨大なデータから必要な情報を見つけ出す」という行為はAIがもっとも得意とする領域だ。必要な条件を入力するだけで近似データを見つけ出してくれるのは便利な反面、弁護士の仕事の大半を奪ってしまうだろう。

 

競争が激しいことに加え、テクノロジーの台頭で先が見えにくい時代。活路を見出し、企業成長を実現していくには、これまで通りと同じ考え方でいいのだろうか。おそらく、多くの企業が危機感を感じているように思う。大きな時代の変化のなかで、AIにも、競合にも代替されにくい差別化要素を見つけ、オリジナリティを発揮し、愛されるブランドを作っていくにはどうすればいいのだろうか。

 

自動運転のような最先端テクノロジーを用いらずとも他社と差別化を図り、ほかにはない価値を提供することは可能だ。
それを実現している企業のひとつに、平成建設がある。【参考URL(別ウインドウ)平成建設オフィシャルサイト

平成建設は、その名の通り建設会社である。現在、建設業界は若手人材の不足、加えて工事に関する需要は増加しているものの供給過剰の状態が続いており、価格競争は熾烈を極めている。今はどうにかなっていても、人手不足や景気変動により、将来の事業継続に不安を抱えている建設会社は少なくない。
しかし同社は、そういった状況においても、「平成建設に仕事を頼みたい」と遠方から指名がくるほどの人気ぶりだ。それはなぜだろうか。
同社の成長の秘密は「内製化」にある。職人の質の低下が叫ばれている昨今、できる限り外注に頼らず、社内で優秀な職人=大工を育てているのだ。可能な限り、自社で受注から設計・施工・アフターメンテナンスまで一貫して行うことで、質の高いサービスを実現している。
「内製化」と聞くと、人件費が高騰しがちなのでは……と勘ぐりたくなってしまうが、その点もクリアしている。平成建設は基礎から足場、型枠、鉄筋工までをひとりでこなすスキルを持つ「多能工」を育成。一人の職人を何役もこなせるように育てることで、現場の効率的な人員配置が可能になり、工期の短縮も実現しているという。現在では、200名を超える大工集団を擁しており、その数は増え続けている。

このような取り組みが注目を浴び、現在同社には若手人材がこぞって集まってきているそうだ。なかには東大や京大といった国立大からも、「大工になりたい」と門を叩く学生がいるほどだというから、驚きだ。
平成建設は現在、文化・芸術とのコラボレーションを模索し、建築を「モノ」としてだけではなく「ブランド」としての価値を高めるべく奮闘しているという。どのような取り組みになるかはまだわからないが、これを見た若者や子供達は、「将来は大工になりたい」と、建設業界に憧れを持つようになるのではないだろうか。平成建設は、これからも他にはないたくさんの人々が憧れるような建設会社の像を、私たちの前に示してくれるだろう。

様々な課題が私たちを取り巻いているが、どのような時代においても、活路は見出すことができる。テクノロジーの進化や業界の競争に負けず、独自の価値を発揮し続けている企業は、たしかにあるのだ。
そのような企業から学べることは多い。私たちは今、大きな変化のなかで岐路に立たされていると言っても過言ではないが、将来を見据えて何が選択できるだろうか。技術革新にも、他社にも負けない強いブランドを育てていきたい。

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