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100年企業に学ぶ、リスクへの対応とブランドの存続

2020.06.11

#イマジナ・ブランディングニュース

景気が回復しつつある。しかしまだまだ先の見えない部分も多く、予断を許さない状況が続いていることは確かだ。「未曾有の危機」と評される昨今のビジネス環境だが、100年以上にわたり存続している企業は、どのように危機を乗り越えてきたのだろうか。

経済はこれから、ゆるやかに回復していく?

ビジネス環境が刻一刻と変わっている。緊急事態宣言解除後、日経平均株価は連続で続伸。アメリカでも株価は上昇し、景気回復の兆しが見えつつある。先行きはわからないが、実体経済に先行して株価は動くと言われていることから、今後の経済環境は明るいと多くのビジネスパーソンが判断しているのだろう。街に出ると、出勤する人や遊びに出かける人が多く見え、だんだんと暮らしが元に戻りつつあることを実感する。
しかし、まだまだ気は抜けない。現在でも外出時にはマスクを必ず着用したり、人混みを避けたりする人は多いのではないだろうか。引き続き、不要不急の外出はしないよう心掛ける人も少なくない。
このような状況に対し、企業も多くの不安を抱えている。売り上げに関してはもちろんのこと、営業体制やマーケティング体制といった抜本的な組織の見直しも場合によってはしなければいけない。今後、第二波が発生する可能性もあるため、様子を見ながら手探りで業務を行っている企業も多いだろう。

危機的な状況に対応する秘訣は、「存在意義の確認」と「伝統と革新」

このような状況で、企業はどのようにふるまうべきか。採用面接やミーティングをオンラインで行ったり、リモートワークを推進したりといった動きは可能だが、抜本的な対応策はあるのだろうか。
これまで様々な天災や人災が我々を襲ってきた。地震、豪雨、津波など。日本は世界の中でも珍しい災害大国であるが、それと同時に100年以上続く長寿企業が世界一多い国でもある。これは一見、矛盾しているようにも感じられる。予期せぬ災害は企業成長の邪魔をすることは確かだが、災害にうまく適応し、生き残ってきた企業も数多くあるということだ。
そのような企業は、どのように会社を守り、ブランドを守り、企業を成長させてきたのだろうか。
京都にある企業で、吉村酒造という会社がある。創業は1851年。吉村酒造代表の吉村正裕氏は6代目蔵元として、経営を父親から引き継いでいる。今年で170年目を迎える老舗酒造会社であり、一家代々、江戸時代から今日に至るまで、戦争や災害を生き残ってきたのだ。
吉村氏は企業存続の秘訣に関して、「存在意義の確認」と「伝統と革新」にあると、メディアで述べている。

戦争も災害も乗り越えてきた、100年企業のふるまい

吉村氏が生まれた1970年代当時、会社の年商は約10億円だったそうだ。しかしその25年後、自身が会社に入社した頃には年商が約4億円に減少。不況と日本酒の価格破壊により競争が激化し、会社は右肩下がりの状況だったが、それを立て直すべく吉村氏は自社の分析を行う。
「会社の存在意義とは『あなたの会社の価値観とは何ですか?』という問いに対する答えです。そこには創業時の商売や理念も関係してきます。よって会社の歩んできた道を遡っていくと、自社が最も大切にしている価値観が見えてきます。自社の価値観を導き出せば、今度はその延長として『今後、歩みたい未来』というものを描くことができるはずです」。
このように語る吉村氏は、会社を引き継いだ当時、自社の置かれた環境、そして強みや弱みを整理。単に価格競争に走るのではなく、何を捨てて、何を守るかを考えた。
あるデータによると、老舗企業の約50%が創業時と現在では製品の製造方法を変えていて、約80%の老舗企業が販売方法を変えているという。もちろんそれに合わせて顧客や市場は変化するが、生き残るために必要な選択なのだろう。ただその時に変えてはいけないのは、理念や歴史、価値観、また事業運営の核となる技術力だ。これは前述の「存在意義」、また「伝統と革新」にピタリと当てはまる。
老舗企業が大切にしているのは事業そのものでなく、事業を形作る能力と、それを生み出す「らしさ」である。富士フィルムがかつて、カメラフィルム市場のリソースを化粧品製造に生かし、成功を収めたことでわかるように、自社のリソースが何かをきちんと把握をしていれば、他業界での成長も可能なのである。
吉村酒造は現在も酒屋であるが、先代から受け継いできた理念と歴史と技術力に、顧客のニーズを掛け合わせて、時代にあった商品を提供している。環境が変化するのは仕方のないことかもしれない。しかし、その時に大事になるのは、守るべきものは何かを選別する力だ。

まとめ

日本は「老舗企業大国」と呼ばれている。それと同時に、技術力に磨きをかける国でもある。伝統と理念、そして技術力を重んじる日本だからこそ生まれるブランドがあるのだ。このような時代だからこそ、安易に手に入る情報に惑わされず、老舗企業の歴史から学びたい。

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