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リオデジャネイロオリンピックで垣間見た、組織におけるマネージャーの役割

2016/08/29(最終更新日:2021/12/09)

先日、日本中を熱狂させたリオデジャネイロオリンピックが閉会を迎えた。濃くも短い、4年に1度の祭典である。閉会式の中継に名残惜しさを感じつつも、東京オリンピックに思いを馳せた方は多かったのではないだろうか。

ご存知のとおり、リオオリンピックは日本勢が大活躍した大会であり、メダルの獲得数も過去最多であった。あらゆる分野で目覚ましい活躍が見られ、好調ぶりを伝えるニュースが連日流れていたのは記憶に新しい。
すべての勝負が素晴らしいものであったが、その中でも特に、チームワークが肝となる団体競技の成果には目を引くものがあった。男子新体操の団体戦や、水泳、バドミントン、陸上のリレー種目など。個々人の身体能力や体格が秀でていなくとも、仲間同士が互いを支えあい、チームの力でメダルを獲得した試合が多かったように思う。

その中でも個人的に印象深かったのは、銅メダルを取得した卓球女子団体戦であった。世界3位の日本メンバーは27歳の福原選手、23歳の石川選手、そして若干15歳の伊藤選手の3人で構成される。三姉妹とも例えられる若く小柄な選手たちが、世界を舞台に歴史に残る快挙を成し遂げた。筆者はそのひたむきに戦う姿に感動すると同時に、チームを力強く牽引する福原選手に「組織におけるマネージャーとしてのあるべき姿」を教えられたように感じた。

福原選手は同チームの主将である。3歳から卓球をはじめ「天才卓球少女」として幼少期からメディアを騒がせていた。
実力も知名度も申し分ない福原選手。だが3位決定戦の初戦のシングルスでは、敗北を喫してしまう。これで銅メダルの獲得は困難になったかに思えたが、続く2回戦では石川選手がストレート勝ち。そして3回戦は福原選手と伊藤選手のダブルスが勝利し、4回戦目も伊藤選手が勝利。無事、メダルを勝ち取った。

福原選手はチームの精神的支えであり、華々しいキャリアを持つベテラン選手でもある。主将として指示をだし、プレイヤーとしても自ら活躍するその姿は、会社におけるマネージャー職に例えられないだろうか。

小編成のグループ長である彼女には、人格とパフォーマンスを通しチームを牽引する役目を与えられているが、自身の戦いではくしくも負けてしまう。大変な負い目を感じただろう。しかしその尾を引くことなく、3回戦目のダブルスでは12歳も年下のルーキー伊藤選手を時にはリードし、時にはサポートをし、チームの勝利を手繰り寄せた。

個人で負けても、チームで勝つ。自身の活躍だけではなく、時には周りを引き立てるなど、適切な役割を演じ仲間を勝たせる。この姿に、筆者はマネージャーの本質的役割を垣間見たように思う。

当たり前だが、勝負は勝つこともあるし負けることもある。しかし自身の結果に縛られることなく、チームの士気を高く保ち、時と場合によって変化する役割を全う出来るかによってマネージャーの力量は計られるだろう。達成すべき目標やあるべき姿を伝え、個人とチームのパフォーマンスの両方を向上させる姿勢が大切になってくる。

少し、話題を変えよう。
『まず、ルールを破れ』という1冊の本がある。この本は「マネージャー職のあるべき姿」を考察しているのだが、この本によると、組織に人が定着するかどうかはマネージャーによると主張している。給与や福利厚生などではなく、マネージャーが信用に足るか、そして従業員がマネージャーに信用されていると感じるかどうかが、メンバーが定着、活躍するうえで非常に大切な指標になるのだ。

確かにそうかもしれない。給与や福利厚生といった、いわば「目の前のニンジン」は短期的にはモチベーションをあげてくれる。しかし、それが長くは続かないことは明白だろう。マネジメント層や経営層が、どれだけ従業員の自主性ややる気を引き出すか。それが大事なのではないだろうか。マネージャーの仕事は数値目標の管理だけではない。部下育成の担い手でもあり、組織の雰囲気づくりを行ことも大切である。それによって、メンバーの生産性も大きく変化するのだから。

しかし、全てのマネージャーがその役割を演じきることができるかというと、もちろん難しい。個人差が生じるのも避けられない問題なのは事実であるし、メンバーとの個人的相性などの問題も生じるだろう。

だが、なんにせよ「現場のマネジメントの質」を高めることは可能である。例えば、質の向上にITツールを使うのも1つの手だ。1つ例をあげると、弊社では「jiina(ジーナ)」という評価システムを提供している。これは理念浸透度の調査や人事評価シート、また評価履歴や、評価者と従業員のやり取りのログ等を一元管理できるツールである。評価者はこれを用いることで、業務工数を増やすことなくマネジメントの質を上げることが出来るし、従業員は自身の成長において自らの現在位置を把握することができる。

話を戻そう。前述の福原選手は、プレイヤーとしての役割を全うすると同時に、マネージャーとしての役割も積極的にこなしていた。日々プライベートを含め普段からメンバーを気にかけ「三姉妹のお姉さん」としてふるまう。伊藤選手は「キャプテンとして、先輩として、福原選手のようになりたい」とメディアに語ったそうだが、福原選手にとっては最高の褒め言葉ではないだろうか。筆者自身、メディアでの三人の様を見ていると、福原選手でなければメダルは取れなかったのではないかとさえ感じる。監督とメンバーをつなぎ、可能性を最大限引き出したのは、マネージャーでありプレイヤーでもあった福原選手だというのは、言い過ぎだろうか。

組織におけるマネージャーの役割。組織によって求められるものは千差万別だが、経営陣と距離が近いのはマネージャーであるし、従業員と距離が近いのもマネージャーである。
組織は経営陣と従業員といった二軸で、分割されがちである。しかし、それをつなぐ接着剤でもあり、現場の士気をあげる触媒ともなり得るマネージャーだと筆者は思う。今一度その役割を再考したいと感じた。

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