「意思決定の力」と聞いて、みなさんは何を思い浮かべますか?
論理的思考、冷静さ、合理性…といったイメージが強い人が多いのではないでしょうか。
ここで、感情を失った男の話をしましょう。
企業の「目的」である理念やミッションを浸透させる方法とは?
1980年代の話です。ある脳神経科学者の患者、エリオットは、脳腫瘍を切除するための手術を受け、脳の眼窩前頭皮質を切除されました。
それは五感からの情報と感情を結びつける部位だったため、術後のエリオットはなんと感情を失ってしまいます。
しかし、ここで彼は同時に、意思決定の能力も失ってしまったのです。
感情に邪魔されなくなったために論理的な意思決定の達人になった…というような事態は起きなかったわけです。
つまり、我々が時に「感情を排して」「冷静に」行っているつもりの意思決定にも、実は感情への働きかけ、感情の動きが不可欠であったということ。
「人は感情で動く」などとも言われますが、まさにその裏付けとなるような事例ではないでしょうか?
「感情なき意思決定」は存在しない
これを踏まえて、マネジメントを行う側の人間が何に気をつけて指示をする必要があるのか考えてみましょう。
我々が部下に何か指示する場合、もちろん目的はその部下に「行動をさせること」。
しかし、行動するか否かは部下の意思決定に委ねられています。
もう、おわかりでしょうか?
そうです。部下に「意思決定」をさせ、「行動」を起こしてもらうには、部下の「感情」に働きかける必要があるのです。
たとえばプロジェクトの発足した背景や大義を語り、どれほど意義のある仕事なのかをストーリーとともに魅せて、共感を生む。
たとえば、与えた仕事をやり遂げることで部下本人にとってどのようなメリットがあるのか解説し、意欲を持たせる。部下を励まし勇気付け、そっと背中を押す。
マネージャー、リーダーは、相手の感情を動かす「伝え方」を身につけるべきなのです。
全国で開催の「経営・ブランディングセミナー」では、目的を共有する際の伝え方や、その目的に向かってどのように部下を動かしていくべきかといったマネジメント手法についてお伝えいたします!