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企業のブランドを強くする「ブランデッドムービー」の可能性

2017.09.28

#イマジナ・ブランディングニュース

スマートフォンの動画コンテンツ市場が急速に伸びている。多くの人がスマホで何かしらの動画を見たことがあるだろう。普段から恒常的にインターネットを使っている人であれば、動画を視聴する行為はそう特別なことではないかもしれない。一昔前であれば、インターネットはテキストや画像で構成されたコンテンツを見ることしかできなかったが、現在はそうではないのだ。筆者自身も電車に乗っていると、周囲の人々がイヤフォンをつけて動画を楽しんでいる光景にはよく出会うため、市場の拡大を肌で感じている。
また見るだけでなく、動画配信に対するコストも大きく下がっているのがここ数年の傾向だろう。技術の発達とともに、専門知識がなくても撮影と配信が手間なく行えるようになった。ユーチューバーに代表されるように、動画配信で生計を立てる個人もいるような状況だ。

市場が伸びて行くなかでも、堅調に成長しているジャンルがある。それは「ブランデッドムービー」と呼ばれる類の動画だ。
ブランデッドムービーとは、企業が自社や商品のイメージ向上、またステークホルダーとより深いコミュニケーションの実現を目的として制作するショートフィルムのこと。商品紹介映像やCMとは違い、社名や商品名を積極的に訴えない傾向にある。尺の長さも決まりがあるわけではない。視聴者を思わず引き込まれるようなストーリーを作り込むことで、会社としての考え方や想いを効果的に伝えているのが特徴だ。

かつてはブランデッドムービーといえば、資本力のある大手企業が膨大な制作費をかけてつくるのが主流であった。しかし現在では動画の制作と配信コストが下がったため、規模を問わず数多くの企業が行っている傾向にあり、その裾野は中小企業にも広がっている。
企業が動画で情報発信するメリットは多々ある。前述の通り、ネットを通じて動画を見る行為が当たり前になりつつあるため、共感を呼ぶような動画はSNSを中心にすぐに拡散されていく。そのため、既存メディアではリーチしにくい、また自社のことに興味がない層にも到達できるのが利点だろう。また販促に限らず、採用などにも活用できるのも特徴だ。目的に応じた使い分けができるとともに、自社のことをあまり知らない層、またはさらに深く知ってほしい層に向けて、効果的に情報発信を行うことが可能なのだ。

実際にブランデッドムービーをうまく活用して、知名度やイメージを向上させている企業は存在する。静岡新聞社と静岡放送もその1つだ。
2016年7月、この2社が共同で制作した120秒のブランデッドムービー「超ドS『静岡兄弟』篇」が話題となった(タイトルからすでに興味をそそられる)。

舞台は海水浴場。2人組のおじいさんが、水着姿の若い女性をナンパするが全く相手にされない光景から映像はスタートする。断られたことにショックを受け一念発起した2人は、ジムで体を鍛え若者に変身。再度女性にアタックをするというストーリーだ。若返った2人が年齢を75歳と65歳と女性に暴露するシーンがあるのだが、これは静岡新聞創刊75周年、静岡放送開局65周年を表している。PRだけでなく、周年記念動画も兼ねているのが特筆すべき点だろう。老人が体を鍛え若者になることで「老舗企業でも勢いを持ってやっていく」という決意を、ユーモアたっぷりに表現していると思われる。
この動画は各所で話題になりYouTubeでの再生回数が16万回を突破。「面白い」「笑える」とSNS上で拡散され、ギャラクシー賞を受賞した。地方のローカル企業のWeb動画が、多大な予算をかけているCMをおさえ受賞するのは異例のことだという。

また学習塾である早稲田アカデミーが作ったブランデッドムービーも話題になった。

シリーズでいくつかの動画を配信しているのだが、この「へんな生き物」篇が一番に有名だ。へんな生き物とは子供のこと。「宇宙」に夢中になり、天真爛漫にふるまう子供の毎日を暖かく見守る母親の心情を綴った映像が共感を誘った。こちらは26万回以上の再生回数を記録し「ギャラクシー賞優秀賞」や「広告電通賞最優秀賞」を受賞。早稲田アカデミーという社名は最後にロゴで表示されるのみだが、同社の教育にかける想いが伝わるものとなっている。

ブランデッドムービーの特徴は、CMのように大きな予算をかけなくてもメッセージの核となる想いとアイディアがあれば制作ができる点にある。場合によっては自主制作のような形で、スマホのカメラ1つで撮影を行っても良いのだ。表現として洗練されていなくても視聴者の心に訴えかけるものがあれば、自社の考えを伝えられる可能性が十分にあるのだから。

企業の想いを、人々に伝える。従来であれば紙によるコミュニケーションが中心であったが、インターネットが発達した今ではその限りではない。前述したように動画コンテンツを恒常的に視聴する文化が形成されつつあるため、今まで直接的に関係のなかった人にも想いを伝えることができる。
ブランデッドムービーのような形の動画コンテンツ制作はまだ黎明期にある。しかし、今後市場が伸びていくのは明白だ。動画を活用することにより、自社のブランディングを実現していくのも1つの手段ではないだろうか。

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