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多様性を育むなかで、変えるべきもの。変えざるべきもの。

2018/05/09(最終更新日:2021/12/09)

ブランディング

今月5月6日、東京代々木公園で「東京レインボープライド2018」が催された。本イベントは日本最大級のLGBT関連イベント。「らしく、たのしく、ほこらしく」をモットーに、性的マイノリティを持つ方々の支援と、「すべての人が、より自分らしく誇りをもって、前向きに楽しく生きていくことができる社会の実現」を目指して、特定非営利活動法人東京レインボープライドが主催をしているイベントだ。
イベントそのものの知名度もさることながら、本イベントでは人気アーティストの浜崎あゆみさんがフリーライブを実施したことでも話題となった。ライブの模様が多くのメディアで取り上げられたため、ニュースを通じて本イベントを知った方も多いだろう。代々木公園のある渋谷区は全国で初めて「同性パートナーシップ条例」を成立させた区でもある。性の多様性を認める動きは、このようなイベントを通じて広範囲へと波及していくだろう。

今日本では、このような性の多様性を受け入れることと同時に「働き方」や「国籍」の多様性を受け入れる動きが進んでいる。働き方の多様性では女性活用、また性別問わず個々人のライフスタイルに合わせて就労環境の変化が進む。また出身地という点では、外国人の活用、重要ポジションへの登用など。従来の規定にとらわれず、様々な価値観、仕事環境の変革を後押しする動きが高まってきているのが現状だ。一昔前であれば画一した雇用形態、また終身雇用を前提にライフプランや生活スタイルが組まれることが多かったが、現在では働き方の選択肢が増えたり、また外国人を正社員として雇用したりすることも多く、環境は変化している。
そしてこの動きは、一部の大手企業や特殊な業界だけのものではないのも大きな特徴だ。むしろ筆者の周りでは中小企業やベンチャー企業が好景気により新卒の採用が困難になり、マレーシアやタイ、ベトナムなどの新興国から大卒の若者を直接採用するケースも増えている。今後このようなケースは多くなっていくのではないだろうか。働き方を越えて生き方のかたちは広がり、多様性を受け入れる土壌が整いつつあるのが、現在の日本の社会環境・就労環境だと言えるだろう。

しかし多様性と一口に言っても、まだまだ多くの企業が従来の制度や環境のなかで活動しているのが現状だ。また良い面ばかりではなく、これまでに挙げたような多様性を組織が受け入れることで、予期しないネガティブな変化が生まれることもあるだろう。このような時代の移り変わりを、企業はどのように受け止めればいいのか。

多様性を受け入れるなかでの懸念点のひとつは、生産性の低下だろう。ライフワークバランスの重視で時短勤務という選択肢も増えたが、果たしてそれで業務が終わるのか。また互いに違う就労環境や生活環境、また積極的な国外人材を登用するにおいて、仕事上の意思疎通がうまくいかないということも往々にして考えられる。さらには「働き方」の捉え方、価値観の違いによってすれ違いが生まれてしまうこともなかにはあるかもしれないのだ。そのような環境下で組織の意思を統一しながら個々人に合わせた働き方を実現するには、どうすれば良いのだろう。

まず、組織として生産性を落とさず、ベクトルを揃えるために必要なのは、理念や企業の哲学の統一だ。その組織が持つ固有の思想、目標、目指すべきゴールと言い換えても良いかもしれない。自分たちはなぜ今の事業を行っているのか。また商品やサービスを提要していくなかで、どのような想いを大切にしていくべきなのか。これらの価値をしっかりと熟考し、言語化。社内へと浸透させていくことが重要だ。
すでに多くの企業が理念を掲げていると思うが、それが浸透している組織とそうでない組織では、一人ひとりの就労に対する姿勢が大きく違う。例えばスターバックスコーヒー。こちらの企業は世界各国に店舗を持つが、「家でも職場(学校)でもない、サードプレイスの提供」という理念がアルバイトに至るまで浸透しているからこそ、国や地域を問わず、質高く、場に応じた接客を提供することができる。年々来場数が増加しているディズニーリゾートなども同様だ。これらの企業では、企業の姿勢を体現することに、組織メンバーの立場を問わない。

また掲げた理念、哲学を浸透させるには、人事制度もそれに応じて変化させていくことも大切だ。どれだけ理念を反映した行動をとっているか、またその行動を通じてどんな価値を社内外に与えているのか。それらを評価する指標、また動きを促す仕組みが必要になってくる。もちろん業績の評価も指標として大切なことではあるが、それだけでは企業のブランドをつくることはできない。「あの会社、なんかいいよね」という積み重ね。それが他社との差異や次の仕事、また企業イメージの向上につながり、採用や育成にも波及をしていく。

多様性という言葉が社会や多くの企業で言われるようになって久しいが、本当の意味でそれを実現するならば、変えるべきもの、そして変えざるべきものは何かを明確にする作業が不可欠だ。そうでなければ、組織の「基礎」の部分が崩壊し、単なる「まとまりのない組織」が出来上がってしまうかもしれない。自分たちが大切にしたいことは何か、事業を通じて何を提供していくのか。それらを明示し、浸透させていくことで、「多様性ある組織」の構築への一歩を踏み出す。
企業がさらなる成長を遂げていくために。単に世の中の潮流を受け入れるだけでなく、それに伴い自社の価値を再確認することが大切なのだ。

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