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通年採用で起こる、求職者の「見る目」の変化

2019/05/08(最終更新日:2021/12/09)

ブランディング

ゴールデンウィークの10連休が終わり、多くの企業が日常業務を再開している。改元に伴う異例の長期休みであったため、公私の切り替えがうまくいかない人も多いかもしれない。とくに新卒で入社した方々などキャリアが浅い方々は、仕事のペースがうまくつかめない、ということもあるだろう。「休み明けは気分が憂鬱になり、若手社員の退職者が増える」とも言われているが、ここでしっかりと踏ん張り、社会人としてのキャリアを一歩ずつ歩んでいく気概が必要だ。

さて、この「新卒」の人材に関して先日、経団連がある発表を行った。「就活の脱『横並び』合意 経団連・大学、通年採用拡大」。ある新聞記事の見出しだが、経団連が大学と協議を行い、新卒学生の通年採用を拡大することで正式に合意したという。
新卒の場合、これまでは一斉に就職活動が始まり、大学3年〜4年次に進路先を決めるという慣習があった。この「新卒一括採用」というシステムは、かつては日本の経済成長を下支えする優れたシステムだと評価されてきたが、近年では「時代の流れにそぐわない」「学業を阻害する」「外国には存在しない日本だけの慣習」ということで、そのデメリットが強調されてきた。

そのような状況のなか、経団連は特定の時期に採用活動を行うこれまでの慣習を改めるとして、「通年採用」も実施していくことを発表。「新卒一括採用に加え、(専門スキルを持つ人材や留学生などを通年採用する)ジョブ型雇用を念頭に置いた採用も含め、複線的で多様な採用形態に秩序をもって移行すべきだ」と明記し、これまでの新卒一括採用偏重を見直そうとしている。

このニュースは大きな話題となった。発表には「新卒一括採用に加え」とあるが、時代の流れに鑑みると、今後は通年採用が拡大していくと予想される。企業もこれまでとは違った採用活動や組織構築を行うことを余儀なくされるだろう。

通年採用には、企業側にも学生側にも様々なメリットがある。まず、一括採用では出会いにくい学生と出会えるということ。一括採用では募集時期、選考時期が限られているため、そもそも何らかの理由で学生がその期間内に就職活動を行わなければ、企業は選考すらできない。
また採用のクオリティをあげることも可能になるだろう。一括採用のように時期が限定されていると必ず「締め切り」が生じるため、採用担当者は選考に十分な時間を割くことができないケースもままあった。そのため、学歴や資格などの外形的な強みが評価されたり、「この中なら誰が良いか」と言った相対的な評価がされたりしがちであったが、通年採用であれば適正を十分に考慮した採用活動が可能になり、入社後のミスマッチを未然に防ぐ、またいわゆる「内定蹴り」の補完も容易にできるようになるだろう。

しかし、何と言っても大きな特徴は、「企業はごまかしや隠し事ができなくなる」ということだろう。
これまでは採用時期が限定されていたため、誤解を恐れずに言えば特定の時期だけ、「外見を良く見せる」企業も少なからずあった。新卒用の特設採用サイトやリクナビやマイナビといったポータルサイトを着飾ったり、イベントにて特定の社員だけをフォーカスして紹介していたりすれば、その企業の見せたい側面のみを学生に見せることができた。

だが通年採用となると、様々な能力を持った学生が、様々な価値観で、日々企業の情報をかき集めることになる。とくに優秀な学生ほど就職活動を意識することが早くなり、より詳細な企業情報の収集に努めるだろう。

そのような時代において、求職者にとって「本当に魅力的な企業」になるには、何が大切なのだろうか。
それは長期的な視座に立った、自社のブランド形成にある。

ブランドを作る過程そのものを、「ブランディング」と呼ぶが、採用においてもブラン1ィングがより大切になっていくことは、想像に難くない。常に「自分たちは何を目指しているのか」「それに向かって今、何をすべきなのか」を日々意識して業務を行うことで、徐々にブランドは形成、維持が成されていく。その変化と努力は、求職者などの外部には必ず伝わっていくものだ。
本当に一貫したブランディングが成されていれば、求職者の期待を裏切ることはない。「この会社、興味あるな。面白そうだな」と思って調べていったときに、内実も一貫した姿勢が保たれていれば、その企業に対する求職者の興味はより増幅されるだろう。そして、本当に自社の価値観にあったもののみが門を叩くようになり、1年を通じて「良い人材の確保」が実現可能になっていく。

もちろんこれは、あくまで理想的な流れである。採用の形態が変化しても様々な問題を乗り越えなければいけないのは確かだが、自社の姿勢をより良いもの、そして自社のブランドと呼べるまでに育てていくことは必須だ。日々ブランディングに取り組んでいくことで、求職者は自分にあった企業を見つけることができるし、企業も自社にあった求職者を採用することができるようになるのだから。
通年採用をはじめとした環境変化の波は、確実に差し迫っている。時代の潮目において、自社は今何をするべきなのか。どのような人材と働き、何を目指していくのか。今一度、考えてみてはいかがだろうか。

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