imajina

  • トップ
  • 記事
  • 炎上の先にある、ブランドイメージの回復

炎上の先にある、ブランドイメージの回復

2019.07.31

#イマジナ・ブランディングニュース

最近、エンターテイメント業界を中心にビジネスを行う、吉本興業に関する一連のニュースが話題となった。きっかけは所属芸能人の「闇営業」と呼ばれる不祥事。会社に所属しながらも、会社を通さず個人で仕事を請負。しかもその相手が反社会的企業だったことが物議を醸した。
本件に関して各メディアが真相の究明に乗り出したが、会社や対象の芸能人の発言は二転三転し、様相は混乱を極める。最終的にその芸能人と吉本興業が別々に記者会見を行い、それぞれの立場から意見や状況を明確にすることで、問題は落ち着きを見せた。

一連の騒動はいったんの終止符を打った形になるが、なんだか釈然としない気持ちになった、もしくはショックを受けた人たちも多いのではないだろうか。

時間が経つにつれて、取り上げられる内容が不祥事のことのみならず、吉本興業の企業の体質や文化にまで話が及び、それらがネガティヴな形で発信されるケースが非常に多かったのだ。吉本興業の岡本社長の記者会見も、イメージの挽回に働いたとは言い難い部分がある。真相がわからないといった不信感だけでなく、吉本工業やその芸能人に対するブランドイメージは大きく毀損されたのではないだろうか。

また最近では、かんぽ生命の不正問題も、企業の信頼を著しく損なわせたケースだ。かんぽ生命とは郵便局が販売している生命保険の名称。保険の内容もさることながら、郵便局の信頼の厚いブランドイメージも手伝って、たくさんの高齢者の契約者がいることを強みとしていた。

しかし、現実には、職員の間では過酷な販売ノルマのプレッシャーにより、不正契約や保険料の二重払いなど、顧客が不利益を被る契約が横行していたのだ。

これらの問題に対し日本郵便の横山社長が会見を行ったのだが、態度や内容が不誠実ということで、インターネット上で炎上。記者会見では記者の質問に答えなかったり、以前から問題があるのではと噂されていたにも関わらず、「最近(不正問題を)知った」と飄々と言い放ったり。何より会見中に、問題に対して反省の言葉や、責任を考える発言が聞かれなかったのだ。売上を追い求めたがゆえの今回の問題だが、社長の対応により信用がなくなり、これからもますます保険が売れなくなってしまうのでは……と、考えさせられる会見であった。

なぜ、組織の根幹を揺るがす問題が起こった後に、企業はこのような態度を取ってしまうのだろうか。問題を起こさないことが前提ではあるが、万が一何か起こってしまったとしても、その後の対応いかんでは、企業の信頼やブランドイメージをよりよくすることもできる。しかし、一歩間違えて心象の悪い対応を取ってしまえば、そのイメージは取り返しのつかないほど失墜してしまうのは確かだ。

もちろん問題を起こさないようにするのが最優先ではあるが、万が一このような問題が起きた時、企業はどのような対応をし、信頼やブランドイメージを回復していけば良いのだろうか。

ひとつ、事例となる企業が存在する。飲料販売大手のキリンビバレッジだ。同社も近年、炎上を経験。しかしそこからブランドを立て直し、組織のルールと意識を変えることで、それ以降炎上を未然に防ぐことに成功している。

1年ほど前の話だが、同社の商品「午後の紅茶」のSNS企画で、「午後ティー女子」という4つのイラストを、Twitterを通じてインターネット上に公開した。イラストは様々な種類の「午後の紅茶」を持つ女性が描かれたものだが、問題はそのキャラクター設定。それぞれ「モデル気取り自尊心高め女子」「ロリもどき自己愛沼女子」「仕切りたがり空回り女子」「ともだち依存系女子」といった名前。女性を揶揄しているとも感じられるメッセージを羅列したため、「女性を軽視している」と、批判が殺到したのだ。

「たかがTwitterのツイートで批判?」と思うかもしれない。もしかしたら企業によっては、事態を放っておいたかもしれない。しかしキリンビバレッジはこの状況を重く見て、早急に手を打った。
炎上状態となった4月30日の夜に、同社マーケティング部が状況を把握。関係者間で内容を共有する。翌日の早朝に対策会議を開いて緊急対応に当たり、同日10時に謝罪文をTwitterに投稿。同時に「午後ティー女子」の投稿を削除するというスピーディな対応を行った。その成果もあってか、問い合わせは2日間で収束し、問題が大事になることを防いだという。

また、今回の炎上を機に内部チェック体制を強化。それまでも広告表現に関しては、社内の「広告倫理事務局」が表現を逐一チェックしていたのだが、同社のなかでは「SNS独特の空気間を掴みきれていなかった」という反省があるという。
そのため、本炎上以降、インターネット関連の企画は「デジタルマーケティング部」のチェックを必須に。そうすることで、より消費者の気持ちに寄り添った企画を行っていこうと心を新たにしたのだ。
「オリエンチェックシート含めて倫理チェック体制の見直しは続けています。お客様の声は多様ですし、社会の変化も急激です。SNSの普及によりコミュニケーションも活発化・多様化しており、広告にも必ずいろいろな声があがります。企業としてはもちろん広告表現が誰にとっても不快ではなくなるよう努めていますが、そのために重要なのは日々の学習の積み重ねです」と、キリンビバレッジ担当者はメディアで語っている。

日々の積み重ねと有事の際の早急な対応。これらの判断を確かなものにするには、企業の制度や文化を根底から考えていかなければいけない。前述の闇営業やかんぽ生命に関わる問題は、この認識が甘かったのかもしれない。

これらの問題は、決して他人事ではない。問題が起きないよう、日々の取り組みができているか。また有事の際には早急な対応が取れるような組織になっているか。そのようなことを日々考えることで、企業のブランドは少しずつ強固になっていくのだろう。

無料ブランディングセミナー