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採用・自社のファンづくりにおいて、本当に大切なこと

2019.10.03

#イマジナ・ブランディングニュース

10月を迎え、新卒採用を実施する多くの企業が内定式を行った。「今年はいい人がそろった」と思う企業も、「来年の採用はもっと力を入れよう」と意気込む企業も様々だ。

現在、新卒採用市場は超売り手市場だ。実際に話を聞くと、いくつもの内定をもらったという学生も多い反面、企業が良い人材が取れないといった嘆きも聞く。
なぜこれほどまでの売り手市場になっているのだろうか。そこには様々な要因がある。
まずひとつは景気がとても良い状況にあること。普段生活している分には実感がないが、様々な数字を見ていると、現在の日本は絶好調と言っていいほど景気が良い。企業収益は史上最高に近い水準かつ、失業率もバブル期並みの低水準となっている。現状、アメリカの景気も良いので、それに引っ張られている部分も多いだろう。景気がいい→人員が足りない→新卒採用を積極的に行う、という循環が生じ、採用の競争が激しくなっているのだ。

2つ目の要因は少子化。日本の18歳人口は、1992年の約204.9万人をピークに減少に転じ、2015年には119.5万人にまで減っている。実に、ここ5年程度でピークの0.6倍弱にまで数が減っているのだ。2019年の最新の統計必然と、若手人材の数は減り、これが売り手市場に拍車をかけている。この傾向はこれからも続くだろう。

 3つ目は、大学生の卒業後の進路の多様化である。かつては、大学を卒業した後は就職をする以外になかったが、今はフリーターとして社会に羽ばたくものも少なくない。それに加えて、大学時代にスキルをつけて卒業後にフリーランスになったり、いきなり会社を起こしてしまったり、というケースもある。選択肢が広がっているのだ。これは全体への影響を見たら微々たるものかもしれないが、母数の減少の要因になっていることは確かである。とくに企業が採用したがる優秀な人材ほど、独立をしてしまうケースが多いので、「ほしい人が取れない」というミクロな視点での関連性が考えられる。
この傾向は今後も続くだろう。しかし反対に、一部の企業にとって追い風になっている側面もある。それは新卒学生の意識の変化だ。

学生に「仕事に求めるものや希望する就職先」を聞いたある調査では、ここ数年ほど、「プライドの持てる仕事」や「大企業がよい」と答える学生が減少傾向にあり、「やりがいのある仕事であれば中堅・中小企業でもよい」と考える学生が増えているという。それに加えて、2011年の東日本大震災後には「人のためになる仕事」を求めたり、「社会に貢献したい」と考えたりする学生も同様に増加。大学の進路指導においても、「目的もなく大企業志向になるのはよくない」「良い会社も多いので中小企業に目を向けて見ては」と、指導する動きが各所で起こっているのだ。
昨今の学生はやりがいを大切にしている、というのは多くの方々が聞いたことがあると思うが、それだけではなく「社会貢献性」も大切にしているのが今の学生の特徴だと言えるだろう。

社会貢献性と聞くとCSRが思い浮かぶ方も多いと思う。CSRというと、事業にプラスアルファして何か社会貢献活動を行うという側面が強かった。しかし今後は、事業と社会貢献が一本の線でつながっている、すなわち成長や商品・サービスの向上を追求しながら、それが結果的に社会貢献へとつながっている企業が評価されるような時代になっていくように思われる。

「企業成長と社会貢献性の両立なんてできるの?」と思われる方も多いかもしれない。しかしやっていることを全く変えず、見方を変えることで社会貢献への糸口を発見し、事業を捉え直している企業は多くあるのだ。
その代表企業がパタゴニアだ。パタゴニアは自社のミッション・ステートメントに「最高の製品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する。」と明記している。最高品質を目指すアパレルメーカーでありながら、環境への負荷は最小限に抑えることを目指しているのだ。

パタゴニアはこの想いを表した「Don’t Buy This Jacket(このジャケットを買わないで)」というキャッチコピーを広告に添えた。本当にこのジャケットが必要なのか。不必要な消費を、パタゴニアは歓迎しないという。この広告により、パタゴニアはより多くのファンを獲得した。

 また国内では、スノーピークなどもそうだろう。スノーピークは素晴らしい商品を作ることに加えて、アウトドアを通じた「人間性の回復」を掲げている。
社長は社員たちに、「キャンプ用品を売るだけじゃだめなんだ」と話している。もちろんそれは大切だが、キャンプを通じて都会の喧騒から離れ、自然とふれあうことで、本来持っていた人間性を回復する手伝いをする企業であろうと呼びかける。家族でキャンプをして、子どもとともに何もないところから火を起こしたり、時には雨や嵐にあうことで、自然には決して抗えないことを知ったり。そのような経験の積み重ねが、本来持っていた人間性を育んでいく。全てが管理され、コントロールできると思いがちな人間社会から離れることの大切さを説き、それを啓蒙する企業であろうと考えているのだ。

2社とも、就職の人気企業であることは言うまでもない。反則面においても、理念や想いが他社との差別化になっていることがわかるだろう。事業をゼロから変える必要はなく、今の事業がどのように社会に貢献できるか。そのようなことを考え、言語化し、事業運営の真ん中に据え置くことで、多くの人々にファンになってもらうことはできるのではないだろうか。
事業を捉え直した時、自社には何ができるだろうか。それがきっと差別化要素となり、新たな付加価値となっていくだろう。

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