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Bリーグに見るブランディングの可能性

2020/02/06(最終更新日:2021/10/26)

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ブランディング

Bリーグに見るブランディングの可能性

先日、ある衝撃的なニュースが世界中を駆け巡った。「元NBA選手、コービーブライアント氏死去 ヘリ墜落で」。
ブライアント氏は、バスケットボールのプロリーグであるNBAの大スターだ。NBAは非常に狭き門で、プロになるのがもっとも難しい競技のひとつだと言われているが、ブライアント氏は数少ない高卒選手としてチーム入団。以後、全キャリアにわたってトップレベルの活躍を見せ、リーグ最高の選手として非常に華々しい活躍を見せた。
2016年に引退。以後、様々な活動をしていくと発表していた矢先……20年1月26日に、自身と娘らが乗るヘリコプターが墜落。若干41歳でこの世を去った。近年の日本のNBA、そしてバスケットボール人気の中核にいた人物でもあったため、バスケットボールに詳しくなくとも、名前を知っていた人は多いのではないだろうか。

 

スポーツ市場が拡大するなか、リーグやチームのブランディングの必要性が高まる

近年、NBAでは日本人選手も少しずつ活躍をするようになり、日本でもバスケ人気が高まりつつある。国内でも2015年にプロリーグ「B.LEAGUE(Bリーグ)」が発足。プロ選手が誕生し、業界全体のレベルアップが期待されている状況だ。
昨年はラグビーワールドカップ、そして今年は東京オリンピックが控えているが、スポーツ庁は2025年までに、国内のスポーツ市場規模を15兆円までに拡大すると掲げていることをご存知だろうか。
スポーツそのものに注目が集まっている状況だが、それもあってか多くのリーグやチームにおいてブランディングの必要性が認識され始めている。Bリーグでもそれは同様。リーグ発足わずか数年で戦略的に様々な施策を実現し、多くのファンを生み出している。

 

緻密な戦略を描く、Bリーグのブランディング

Bリーグはチーム単独ではなく、「リーグ全体を盛り上げていこう」という非常に明確な意思を持ち、ブランディングとマーケティングに取り組んでいる。
現在、Bリーグが掲げている目標は、「2020年までに来場者数を300万人にする」こと。
これは毎年、来場者数を10%ずつ増やさなければ達成できないというから、高い目標であることがわかるだろう(他のスポーツでは2〜3%増が通常と言われる)。

この目標を達成するために、Bリーグは意識調査を実施し、コアターゲットを「若者」と「女性」に設定。さらにこのターゲットのなかでも「ひとりよりも集団観戦を好み、アクティブに行動する」「情報収集の媒体はスマホや専門誌を中心とし、流行にも敏感で、自らも積極的に発信を行う」といったペルソナを作成した。なんとなくバスケットボールに興味を持った若者が、「Bリーグ面白そうだよ」と言って、友達を誘って気軽に見にきてくれる……そんなビジョンを描き、それに向かって様々な施策を行動に移していっているのだ。

 

戦略的なSNS活用が、ファンづくりのカギに

当然だがBリーグは2015年に発足したばかりのため、ブランドイメージなどない。
そういった状況下で、若者・女性に、「Bリーグって面白そうだな」「見にいってみたいな」と思ってもらうにはどうすればいいか。リーグ広報が選択したのは、SNSの活用だった。

SNSは、Twitter、Instagram、Facebook、LINEの4つを中心に、公式サイトと連携しながら情報を発信している。
ここまでなら多くの組織が取り組んでいると思う。しかし徹底しているのは、ソーシャル上の試合来場者の反応をチェックし、
毎試合スタッフ全員にメールでフィードバックしているという点だ。とくにTwitter上の主なコメントを中心に集約して、「生の声」をきちんと組織内に共有しているという。
Twitterの特徴は、簡単にシェアできるため拡散が見込める、若年層のユーザーが多い、といった点。Bリーグは自身のアカウントで、
得点につながるようなプレーやファインプレーなど試合のハイライトを編集し、短い動画を添えて投稿。ファンが「シェアしたくなる」コンテンツづくりを重ねている。
実際にそのアカウント[B.LEAGUEの公式Twitter]を見ると、投稿の一つひとつがきちんと考えられ、精査されているのがわかる。
試合の見どころを10秒〜20秒の動画に編集。ポイントをコメントでまとめ、動画×コメントという投稿アプローチが最大限に機能するよう努めているのだ。
またInstagramも同様に活用。特にこちらでは、若い女性をターゲットにした情報発信を心がけている。Instagramアカウント[B.LEAGUE(Bリーグ)の公式Instagram]ではBリーグを知らない人々にも認知を広げるため、バスケと全く関係のないコンテンツも投稿。
「#クリスマス」「#料理」といったハッシュタグをつけ、時には「インスタ映え」を意識することで、外部からの流入機会を意図的に創出。
気に入った投稿が「たまたまBリーグのアカウントだった」というような接点づくりをすることに努めている。これらのことから非常に戦略的にSNSを活用していることがわかるだろう。

 

まとめ

駆け足で、Bリーグの取り組みを見てきた。このほかにも様々な施策を通じてブランディングとマーケティングを行っているが、その成果は着実にでていると外部からも感じている。事実、Bリーグのチケットを取ろうとサイトを見てみると、直近の試合だと売り切れていたり、動画をみるとファンが一体となって盛り上がっていたりするケースが多いのだ。前述の目標の達成度合は未知数だが、これは成果の証左にならないだろうか。
顧客作りはどんな組織にも必須の事項だ。Bリーグの取り組みから、企業も学べることはたくさんあると思う。スポーツと企業はジャンルが違うが、本質的な部分はそう変わらないはずだ。

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