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環境問題から考える企業ブランディング

2020.02.20

#イマジナ・ブランディングニュース

環境問題から考える企業ブランディング

昨年末から今年の年初にかけて、「レジ袋有料化」のニュースが様々なメディアで取りあげられた。政府はスーパーやコンビニエンスストアなどすべての小売店を対象に、東京オリンピック・パラリンピックの開催直前となる2020年7月からレジ袋の有料化を義務付ける方針だ。
すでに小売店によっては有料化を実施しているところもある。料金感は2円〜5円ほどの範囲での販売が多いようで、エコバッグや手提げ袋を持参する客も、以前にもましてちらほらと見かけるようになった。

 

環境問題に対する社会の目は、年々厳しくなっている

近年では、環境問題に積極的に取り組む企業も増えてきた。環境問題そのものは1980年代頃から叫ばれてきたが、企業が本腰を入れて取り組むようになったのはここ10年〜15年ほどであるように思う。例えば、自動車業界でエコカー減税が始まったのは2009年から。また社会の環境問題のひとつである「喫煙」関連の問題では、昨年9月1日から喫煙環境の店頭表示が義務化された。ちなみに、飛行機内でタバコが吸えないのはすでに当たり前だが、世界の多くの航空会社が全面禁煙を始めたのは1998年頃から。「意外と最近だな」という印象を受けるのではないだろうか。
この潮流は年々早まり、また強まっていっている。最近では、SDGs(2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標)も話題だが、コーポレートサイトなどでSDGsを引用し、環境問題に対する姿勢をPRしている企業も多く、環境問題に対する社会の目は一層に厳しくなっているのが現状だ。

 

企業は環境に対してどうアプローチをしていくのか

「環境に反することをしている」「環境問題は気にしていない」と主張する企業はないだろうが、そのような印象を顧客やエンドユーザーに持たれてしまっては、マイナスのブランディングになってしまうだろう。反対に、「環境問題を考えている」という姿勢を発信することができれば、イメージがよくなり、ファンは増え、最終的には企業価値の向上につながっていく。
現在では「ESG投資」という言葉が株式市場で注目を集めているのをご存知だろうか。「ESG」とは、Environment(環境)、Social(社会)、Governance(企業統治)の3つの言葉の頭文字をとったもの。これらの要素に着目して企業を分析し、3つの側面において優れた経営をしている企業に投資をする、という評価手法だ。
先ほどの喫煙のような身近な問題から、ゴミやエネルギーといった地球環境に関する問題まで、すべての企業にとって「環境」というテーマは無視できないものとなった。この傾向はより強まっていくのは確かから、「環境問題に対してどのように向き合っていくか」はすべての企業にとってより重要なものなっていくだろう。

 

ミッションステートメントを一新し、「環境経営」を地で行くパタゴニア

しかし「日々の経営が重要で、環境問題は二の次だ」「大切なことはわかっているけど、
自社の事業とどう関係あるのかわからない」と考える企業は多いように思う。だが、センシティブな環境問題に対して積極的に取り組んでいることをあえて発信することで、
価値を向上させている企業は確かに存在する。

その代表がパタゴニアだ。パタゴニアは他社に先駆けてゴミからフリースを作ったり、広告で環境問題に対するメッセージ発信したりと、
まさに前述のESGにおいて高い評価を得ている企業である。
そのパタゴニアが、2019年にミッション・ステートメントを「私たちは、故郷である地球を救うためにビジネスを営む」に一新したのをご存知だろうか。
非常に抽象的だが、強い決意を感じる文言。それまでは「最高の商品を作り、環境に与える不必要な悪影響を最小限に抑える。
そして、ビジネスを手段として環境危機に警鐘を鳴らし、解決に向けて実行する」だったものを、より洗練されたものにしたのだ。
パタゴニアは、このステートメントの体現として、「Worn Wear(新品よりもずっといい)キャンペーン」を実施。「新製品買う必要はない。
持っているものを長く使ってほしい」という思いを持って、アメリカ国内の大学キャンパスをリペア車で周り、パタゴニア製品に限らず、
修理が必要な衣服を無料でリペアする、という取り組みを行ったのだ。
オリジナルパッチで穴を塞いだり、縫い合わせて長く使えるようにしたり。そんなパタゴニアの取り組みを目の当たりにして、
「このような服の生かし方があるのか」と気づくと同時に、画一的でなくなったそのデザインを見て、
「これは掛け替えのない世界で一つの自分の服だ」と、より服に愛着を感じた若者が多くいたという。

 

まとめ

ファストファッション全盛の時代に、このような取り組みを行い、受け入れられたことは、どんな状況においても想いがブランドになることを示しているだろう。パタゴニアは環境問題を考えることの大切さを啓蒙するとともに、若者を自社のブランドのファンにした。これは、「環境問題は企業の売上につながらない」といった、これまでの思い込みを覆すのではないだろうか。
かつてCSRと呼ばれた取り組みが、今では企業経営においてなくてはならない時代となった。取り組むことに一歩を踏み出せない企業も多いかもしれないが、取り組んだ先には企業価値の向上と、地球環境への貢献が待っていることは、確かなのだ。

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