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【第10弾】「新卒採用」でわかる会社のブランド力【新書籍発刊記念特別コラム】

2020/08/27(最終更新日:2021/12/20)

「自分の会社のブランドは、世の中にどれくらい浸透しているのだろうか」
「自社のブランド力は強いのか、弱いのか?」

それを測るためのよい指標となるのが「新卒採用」です。ただし、このような話をすると、次のような反論も出てきます。

「うちみたいな中小企業には、なかなかいい学生は来てくれない」
「業績は悪くないけれど、BtoBだから知名度がない」

しかし、中小企業やBtoBの会社にも、多くの学生の人気を集めているところはたくさんあります。ましてや今は、大企業だからといって倒産しないという保証はありませんし、業績が悪化すればリストラをすることもあります。安定を求めて「猫も杓子も大企業へ」という時代ではないのですから、会社の規模や事業のターゲットは、もはや言い訳にならないのです。

●新卒採用が弱い会社はブランド力が弱い

しっかりしたブランドを構築している企業は、「どうすればお客さんに自分たちの魅力が伝わり、いいイメージを持ってくれる」かを常に考え、日夜研究しています。そのため、新卒採用に関しても同じように、「自分たちの想いをターゲットである学生、それも自分たちが必要としている層に確実に届けるにはどうしたらいいか」という心構えで臨むことができているのです。

さらに、ターゲットを自分たちのほうに振り向かせ、なおかつこちらのことを好きになってもらうには、並々ならぬ熱量の投入が不可欠だということも、きちんと理解しています。だからこそ、結果がついてきます。決して、「みんながそのブランドを知っているから、楽に採用ができている」ということではないのです。

ブランディングがきちんとできている企業は、新卒採用でも結果を残すことができる。ひるがえって、新卒学生が採れないということは、「ブランド力が弱い」ということに他ならないのです。

●企業側の一方的な想いを語ってはいけない

本業で「ブランド構築」という概念がない、もしくはそうした意識の低い企業というのは、新卒採用においても、自分たちの「実績」や「想い」ばかりに気を取られてしまっていることで、肝心の学生の気持ちが置き去りにされてしまいがちなのです。これでは、最初からうまくいくはずがありません。

ある企業がブランディングを踏まえた採用活動をできているかどうか判断するのは、とても簡単なことです。新卒の学生向けの合同企業説明会などで、社長や人事担当者がする話に耳を傾けてみればいいのです。

たとえば、業績好調の企業の多くは、新卒学生に向けて話す場でも、パワーポイントで売上推移のグラフを見せながら、「今期の売上は50億円を突破する予定です。来期は55億円、そして5年後には70億円を目指します」といったことを、つい語りたがってしまいます。

彼らは、売上50億円や70億円という数字が、新卒学生に対して効果的なアピールになると思っているからそうするのでしょうが、実際には売上や利益の話は、企業側が思っているほどは学生に刺さらないものです。

学生は、株主総会に出席している株主とは立場がまったく異なります。「売上が50億円に達しているからこの会社で働きたい」「売上48億円の会社よりも2億円分魅力がある」というようなことを考えながら話を聞いている学生がいるわけがありません。むしろ、説明会で自分にとって実感のない数字ばかりを使って説明をされたら、「この会社に入ると、こういう話を度々聞かされるのか。きっと仕事も退屈なんだろうな……」と、かえって悪い企業イメージが学生の中につくり上げられてしまいかねないのです。

老舗企業の長い社史の話も同様です。その会社の歴史と伝統に惹かれる学生も、確かに何人かはいるかもしれません。しかし、もしそうだとしても、前提として「ある程度その会社に興味を持っている」必要があります。まずは会社自体に興味を持ってもらうことや、その会社の社史を知りたくなるような打ち出し方こそが重要なのです。

新卒採用の学生が知りたいのは、細かい数字や歴史ではないはずです。この会社は何を大事にしていて、それはお客さんや市場からどんな評価を受けているのか。あるいは、ここに入社して、こういう想いを持った人たちと一緒に働いたら、自分は何が学べて、どんなふうに成長できるのか。そして、その結果、自分の人生はどのようになるのか。そういうことを彼らは「自分ごと」として知りたいと思っているのです。

「異性にモテる人」を考えてみてください。「ありきたりで無難な話しかしない人」や「会ってすぐに自分語りを始める人」はモテないというのは、想像に難くないはずです。モテるためには、異性の気持ちを惹きつけ、ハートをつかむ工夫と情熱がなくてはなりません。新卒採用でも、ブランディングでも、心をつかむために大切なことの本質は同じなのです。

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