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環境対応が、新たなブランド価値を創造する

2021.05.06

#イマジナ・ブランディングニュース

現在、多くの企業が環境対応を表明しているが、これは単なるポーズではない。「エコを取り入れる」は一昔前のテーマで、「エコをどのように取り入れ、自社の戦略と結びつけるか」が、現在大きなテーマとなっているのだ。

それはブランディングに大きく通じる。ナイキをはじめとした企業の取り組みを見て、トレンドの変化を考えてみたい。

環境対応への積極性が、国と企業に問われている

日々、感染症やオリンピックについて様々な情報が飛び交っており、せわしない毎日が続いている。そんな中で、現在ひときわ注目を集めているのが、企業の環境対応に関するニュースだ。

 先日、菅総理大臣は気候変動サミットで、「日本は2030年度において、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す」と掲げた。

 これまでは2030年度までに「26%削減」を目標にしてきたから、大幅なアップである。アメリカは2005年に比べ50%から52%の削減、中国も二酸化炭素の排出量を2030年までに減少に転じさせ、2060年までに実質ゼロにすると改めて決意を示した。

 また、企業もSDGsをはじめとして環境問題に関する目標を掲げるケースが増えている。ユニクロを展開するファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、「消費者の意識が変わり、本業がサステナブルでないと生き残れない時代」と指摘し、「RE.UNIQLO(リユニクロ)」という不要になった同社の服を回収し再生利用するプロジェクトを2020年9月に立ち上げた。半年経過した現在、このキャンペーンは好調で、原料をリサイクルした再生衣料が店頭に並んでいる。

 また百貨店の大丸は、今年5月から「大丸有 SDGs ACT5」というキャンペーンをスタートする。大手町、丸の内、有楽町を中心として、「サステナブルフード」「気候変動と資源循環」「WELL-BEING」「ダイバーシティ」「コミュニケーション」の5つのACT(テーマ)に設定し、サステナブルなアクションを展開する方針である。

ブランドにエコを取り入れることがトレンドに

これまで、環境問題は企業にとって耳の痛い問題であった。しかし、現在は大手企業を中心に多くの企業が、こぞって環境に対するアクションを表明している。この背景には何があるのだろうか。

 もっとも大きいのは、環境対応をしていないこと自体が、現在では大きなブランド棄損になることが挙げられるだろう。海外のグローバル企業の一部では、生産工程で環境を考えていない企業とは取引をしないと掲げているほどだ。反対に言えば、環境を考えることが自社のブランド価値を上げ、ひいては株主価値やステークホルダーに対する価値を高めることにつながる。

また個人の購買行動にも意識の変化は現れている。ここ数年で、例えば「エコを考えている」というと、「なんだかむずかしい、こうるさい人」ではなく、「自分都合だけで物事を見ていない、スマートな思考を持つ人」というふうにプラスに受け取られる風潮になりつつある。これは、環境に配慮した商品、企業に対するイメージが良い方向に変化している、と言えるだろう。

 この意識の変化を、10代や20代の若者は敏感に感じ取っている。例えば、マイストローやマイボトルを持ち歩く人が増えてきているが、その行動を、SNSに写真付きでアップするケースも少なくない。世間のエコ意識が強まってきている今、頑張りすぎず、さりげなく環境意識が高いと思われることが、一種の自己表現になっているのだ。

エコを取り入れることで、ブランド価値を変えつつあるナイキ

このようなエコの視点を商品開発に取り入れ、うまく若者の心を掴み、新しい企業イメージを作りつつある企業がある。スポーツブランドのナイキだ。

 ナイキはこれまで、中国での大量生産を図ってきたが、現在は環境を考える企業としてのブランディングを強めている。その「新たなるナイキ像」を作る一環として、昨年、「スペースヒッピー」というスニーカーを販売したのだが、これがアメリカをはじめとして多くの消費者の心を掴んだ。

スペースヒッピーは、見た目は普通の運動靴だが、ペットボトル、Tシャツ、糸くずをリサイクルした再生素材を85%以上使用。資源が限られ、補給ミッションのない火星での生活をヒントにして生まれたという。

 再生素材というと、「ダサい」という印象を持たれがちだが、スペースヒッピーは、あえて粗雑な見た目をデザインに昇華することで、かえっておしゃれなスニーカーとしての地位を高めた。ナイキはこれまで機能性を中心とした価値が評価されてきたが、そこにエコのイメージを付加して、新たなブランドイメージを作ろうとしているのがわかるだろう。その取り組みは現在、成功しているように思う。

 現在はエコとともに、サステナブル、エシカルという言葉の認知度が高まっているが、環境対応に沿ったブランド戦略は、企業にとって大きくプラスに働くことは間違いない。これはナイキだけでなく、すべての企業が取り入れられるトレンドではないだろうか。

おわりに

環境関連市場は、2018年度には105兆円を超えており、2030年には130兆円を超えると言われている。技術が進み、産廃処理やリサイクルの技術が進んだことで、企業の負担が減りつつあるのだ。

これまでは環境対応というと、「企業成長を妨げるもの」という認識だったが、すでにそれは古く、現在は「環境対応に率先して参加することが企業成長を促す」ことにつながっている。環境への取り組みをどう自社の成長、ブランディングに生かせるか、一度考えてみたい。

 

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