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オウンドメディア運用から考える、本質的な採用ブランディング

2020/11/05(最終更新日:2021/12/20)

#採用ブランディング

ブランディング

年々、採用が難しくなっている。新型コロナウイルスの影響もあり、採用を見直す企業も多いが、中長期的には採用市場は回復していくだろう。採用に成功する企業は、どのような活動を行っているのだろうか。

ニューノーマル時代も、採用は企業の重要課題となる

2019年末頃までは採用市場全体は活況であった。その様相は今年に入り一変したが、景気は循環するもの。ニューノーマルと言われる時代を迎え、人々の生活様式や働き方は大きく変化しているが、経済活動が止まっているわけではない。現在は多くの企業が採用について様子を見ているが、だんだんと元に戻っていくと考えられるだろう。

日本では今後、少子化により労働人口が減少していく。このような状況を受けてAI活用も叫ばれているが、すべてがAIで代替できるわけではないので、やはり最後は人の手が必要になるのではないだろうか。すなわち、いつの時代も採用は企業にとって必須事項なのだ。

採用向けサービスは多岐にわたるが、競合や他社と比較したときに、いまいち自社らしさや魅力が伝えられず、採用に至らないケースも散見される。知名度や給料だけでは求職者の心をつかめない時代、どのように価値や魅力を伝えていけばいいのだろうか。

 

現在注目を集めている採用向けオウンドメディア

このような中、注目を集めているのが、コンテンツマーケティングを中心とした採用向けオウンドメディアの運用だ。

コンテンツマーケティングとは、Web上でブログや記事、動画といったコンテンツを発信。継続的にコンテンツに触れてもらうことで、最終的には自社のファンになってもらうことを目指すマーケティング手法を指す。企業は継続的なコンテンツの投下が必要になるが、自社のことを知らない層に知ってもらうことができたり、広告と比較した際に低コストでファンづくりが行えたりするという特徴がある。

コンテンツマーケティングは、これまで主に顧客育成に用いられていたが、近年は採用にも活用されるケースが増えてきた。当たり前だが、求職者に応募してもらうために必要なのは、求職者に自社を好きになってもらうこと。そういった意味では、顧客育成においても採用においても、「ファンづくり」という根幹では共通しているのだ。

「よもやま噺」で想いを発信する木村石鹸

実際に、コンテンツマーケティングを実践し魅力を発信している企業に、木村石鹸がある。木村石鹸は大正13年創業の老舗石鹸メーカー。現在も当時と同様の「お釜焚き製法」という製法で、天然由来の純石鹸を作り続けている企業だ。

木村石鹸は自社のコーポレートサイトブログ「よもやま噺」で、日々情報を発信している(https://www.kimurasoap.co.jp/blog/)。コンテンツマーケティングというと、外部に新たにサイトを作る必要があると思われがちだが、木村石鹸はあくまで自社ブログという形式をとっているのが特徴だ。

しかし、内容はただの企業ブログではない。「新卒採用について/若い人が活躍できる会社でありたい(https://www.kimurasoap.co.jp/blog/management/post-35407)」や「新入社員と親孝行強化月間(https://www.kimurasoap.co.jp/blog/management/2018parentsmonth)」といった記事からわかるように、会社が採用において何を考えているのか、また新入社員にはどんな社会人になって欲しいのかといった、深いメッセージを含む記事となっていることがわかる。

「よもやま噺」には、面白い企画はあっても、決して格好をつけた記事、もしくは自社を大きく見せようといった記事はない。あくまで素朴な、飾らない会社像を発信しつつ、ファンを作り続け、ブランディングにつなげているのが木村石鹸なのだ。

顧客育成と採用、その両方を実現する理想的な取り組み

木村石鹸がメディアで語ったところによると、定期的に「ブログを読んでファンになった」「ここで働きたいと思った」と、直接応募者から連絡が来ると言う。しかし、スタートした当時から今に至るまで、採用のみを目的として「よもやま噺」を運営しているわけではないというから驚きだ。いわゆるターゲットが、厳密に決められていないのである。

言ってしまえばこれは、コンテンツマーケティングを通じて、本質的な意味での「ブランディング=ファンづくり」が実現できているということ。ブログの数はひとつでも、顧客が読めば「人材育成とものづくりに対して一生懸命な会社なんだ」と感じるし、求職者が読めば「こんな会社で働きたいな」と感じる。受け手の立場は千差万別だが、その壁を軽々と超えてしまうところが、「よもやま噺」の魅力である。あらゆる人に「良い」と思ってもらえる行動をする、ブランドづくりの本質だと言えるだろう。

まとめ

通常、採用向けコンテンツマーケティングをやろうと考えると、採用に特化した形で物事を考えてしまうが、根幹は顧客育成でも採用でも変わらない。想いを丁寧に発信すること。どんな言葉で発信すれば、自社らしさが伝わるかを考えること。これらをしっかり行うことで、垣根を超えたブランディングが実現できるのではないだろうか。コンテンツマーケティングを使った採用ブランディング、ファンづくりについて考えてきたが、成功において大切なことは、手法にとらわれて、本質を見誤らないことではないかと感じる。

時代は刻々と変化している。このような時代に、自社の魅力はどのように発信していくべきなのか。今一度、考えてみたい。

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