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優秀な人材の獲得へ、企業の必死な取り組み<Hot HR ニュース7月号>

2014/07/23(最終更新日:2020/09/30)

優秀な人材の獲得へ、企業の必死な取り組み

景気回復に伴い、失業率は3.5%となる(総務省「労働力調査 平成26年度5月分」より)など2008年のリーマンショック前の水準まで回復した。しかし、この景気回復の裏側では多くの企業が人材不足という問題に悩まされている。
そのため、最近は企業の人材確保に関する取り組みが多くニュースで見られる。今回は、非正規雇用から正規雇用への転換という現象について、背景や目的を考察してみたいと思う。

 

▼非正規雇用者が全労働力の約40%を占めるという現状
リーマンショックを境にして語られることの多い、景気の低迷時代。企業は基本給など、雇用に関するコストを減らすために非正規雇用へ頼っていた。正社員の基本給などは固定給であり、また解雇がしづらいため、固定費となる。しかし、非正規社員の場合は給与と人員数において簡単に調整することができるなど、人件費に関する固定費を変動費化することによって、企業は不況を乗り切ろうと考えた。その結果非正規の比率は、20%(1990)⇒36%(2013)となった。

 

▼非正規の正社員登用が進められる理由とは?
しかし、景気の回復が見える現在、多くの非正規社員を抱えたことが、人件費の増加につながっている。それは、なぜだろうか?その答えは賃金の決まり方にある。「正社員」は年功や成果によって賃金が決まるが、「非正規社員」は市場の需給によって賃金が決まるのだ。人件費を下げるために取り組まれた変動費化は、景気が上向いている現在、狙いとは逆に人件費の増加へとつながっている。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は「時給1000円で人が集まる時代は終わりを告げた」という内容を記者会見で語ったなど、今後変動費である時給がどんどん増加していくことは避けられないだろう。実際、アルバイト・パートの三大都市圏(首都圏・東海・関西)の6月度平均時給は前年同月より8円増加の957円であり、12カ月連続の前年同月比プラスとなった。

▼人材確保のための正社員化
グルメ杵屋、スターバックスコーヒージャパン、全日空、トヨタ自動車、ファーストリテイリング(五十音順)などいくつかの有名企業が非正規社員の正社員登用を開始もしくは人数を増やしていることで話題となった。
この正社員化の背景には、前述したとおり景気回復に伴う人手不足を解消するというものがあるが、それだけではなく、将来的な若年労働力人口の減少という課題( 2040年までに生産年齢人口は40%減少する OECD「(Going for Growth)」)に向けて人材を確保するという狙いもある。上図にて、正社員登用に取り組んだ主な企業の狙いをまとめている。

 

▼その他の取り組み
非正規社員の正社員化だけではなく、企業は様々な取組みを行っている。限定社員制度や短時間勤務、テレワークの導入など雇用形態の工夫をしている。また、住宅事業を手がけるポラスグループでは、傘下の建築技術訓練校で、高い技術をもつ人材を育成するなど、自社で育てるという仕組みを持っている。ただ数で人を雇うだけではなく、今後はいかに優秀な人材を確保するかが重要になっており、これはITや建築、飲食業など人材不足が嘆かれることの多い業種に限らず、ほとんどの企業の経営者が望んでいる。これからは、労働者人口が一気に減少する。ここで優秀な人材を獲得し、人材を活かすことができるかが企業の事業継続の分かれ道になる。

 

 

 

編集長プロフィール
加藤啓太(かとうけいた) 法政大学キャリアデザイン大学2年生。
1年間大学を休学し、2013年6月からイマジナにてインターンとして活動。2014年4月から復学している。
イマジナでは主に資料作成やHotHRメルマガの記事を作成している。学生としてアジア最貧国の一つである東ティモールの支援を行うNPO法人LoRoSHIPで活動を行っており、「タイス」という現地伝統の織物を生産するコミュニティーの支援活動と交流活動を行う。今年の夏に2度目の東ティモール渡航予定。

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