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人事制度や広報の『工夫』で、企業のイメージアップを実現する

2016/05/30(最終更新日:2021/12/09)

先日、テレビを見ていたら「足クサ川柳」という企画を特集していた。筆者ははじめて知ったのだが、岡本という靴下の製造卸を営む会社が毎年「足」にまつわる川柳を一般公募し、発表、表彰しているらしい。なんと今年で10年目になるのだとか。筆者は普段あまりテレビを見ないのだが、企画の面白さもあり思わず見入ってしまった。

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応募総数はなんと24,920句。栄えある最優「臭」賞に選ばれたのは「電力に 変えられないか このニオイ」という句だった。電力自由化のニュースと相まって、世相を表した作品が選ばれたようである。他にも「女子会で 犯人探しに 鼻が咲く」「蒸れる日は 群れたくないと 気取る俺」といった、思わず「うまい!」と膝を打つようなものが目立つ。24,920という応募数もさることながら、量だけではなく質も高い(選考委員はさぞかし面白かっただろうなぁ)。

 

ここ数年、自社の事業との関連領域において、このような「おもしろ企画」を行う企業が増えている。上記のような応募型企画もあれば、実際にイベントを催す企業もあるようだ。

 

先日、Facebookを活用した婚活アプリ「マッチアラーム」を運営・開発するマッチアラームと、DEFアニバーサリーという結婚式等のイベントを手掛ける会社が共同で「マスクdeお見合い」という企画を立ち上げた。30代男女限定の婚活パーティのようなイベントとのことだが「見た目にとらわれない」をテーマとし、なんと参加者は全員マスク着用での参加が義務付けられている。男女の出会いを求めるイベントにも関わらず、顔半分を見えなくするとは逆転の発想で面白い。それに加え、参加者の視点からすると「婚活」という言葉が前面に出てしまうと重みを感じるが、このようなタイトルであれば遊び感覚で参加出来るため心理的ハードルを下げる効果もありそうだ。話題性だけなく、何より参加者が楽しめる企画となっているだろう。

 

これらのイベントは企業の認知度向上やブランディングに用いられることが多い。「足クサ川柳」を企画する岡本株式会社もニュースで取り上げられていたため筆者は知ったのだが、販促費をかけ、広告代理店やPR会社に発注する順当なやり方で同様の広告効果を求めると、膨大な費用がかかってしまうのは想像に難くない。自社のサービスと参加者の好奇心をくすぐる領域の重なりにおいて「面白く」「楽しい」ことを考えると、オリジナリティあふれる企画が考えられるだろう。また最近ではSNSが発達しており、気に入ったものはシェアする文化が広がっている。うまく企画をディレクションすることで、話題性を生み出すことは可能だ。

 

しかし、全ての企業がこのような企画を行うことは難しいのも現実である。特に上記はBtoCの事例であるため、BtoBは参考にしにくい側面があるだろう。それに社内の人的リソースの部分でもイベント企画に人をまわすことは難しいかもしれない。

 

ただこのような大規模企画でなくとも、人事制度や福利厚生に「自社ならではの仕組み」を組み込むことで、社内外の人間に対しPRや印象付けを行うことは可能である。既に貴社にある枠組みの中で「ちょっとした工夫」を行うことで、組織のイメージアップにつながる施策を打つことも可能なのだ。

 

例えば旅行会社のエイチ・アイ・エスでは「ママチョイス」という人事制度を設けている。これは「子育てをしながら働きたい」という社員の想いを実現するための制度で、勤務時間に応じ勤務形態を選択出来たり休暇をとれたりするものだ。「そのくらいならやっている企業は多いよ」と思うかもしれないが、同社は休暇の取得期間に関して一般より大幅に長く、子どもの生まれた日から小学校に入学する年の4月末までの期間に改定したのだとか。

 

そのほかにも延長保育代の一部負担等、働きやすさを後押しするような制度が充実している。これだけのことを行うと業務に支障が出そうだが、取得者が活躍している事例も多く、むしろそれが制度定着に一役買っているらしい。また投資対効果も気になるところだが、育児休業後の復職率も年々増加し現在では9割弱となっているというから驚きだ。十分すぎるのほどの支援体制を提供する同社には、求職者も多く集まることだろう。

 

またこのように社員の満足度のみに焦点を当てたものでなく、会社と社員双方のためになる制度も存在する。株式会社アワーズが実践している「業務改善のアイディアを出したら500円、採用されたら1,000円」と言う制度だ。これはもうそのまま。社員が今よりもいい会社にできるアイディアを提案すれば500円、採用されれば1,000円を贈呈する制度だ。過去にはネットショッピングの送料改善から社内掃除の順番など、多分野に渡り提案、採用されているらしい。

 

この取り組みは大きな予算をとることもなく、すぐに実践が可能だ。また現場の声を重んじる経営陣の姿勢が感じられるので、社員も「自分の意見を聞いてくれている」という喜びにつながる。改善にも積極的になれるだろう。

 

企業が催す取り組みを紹介してきたが、重要なのは予算の大きさでなく「自社に合ったものかどうか」という視点だ。アワーズの取り組みも、常に「なぜ」を考える、もっと良い方法がないかと考える意識を根付かせるために取り入れたとのこと。またエイチ・アイ・エスも日本を代表する旅行会社としての姿勢から、時代の先を行く労働環境の提供を目指したのだろう。岡本の企画も低コストだが話題性は抜群。自社のPRには最適な施策だ。

 

良い制度は社員のモチベーションアップにもつながるし、社外の人間に対する認知度向上やイメージアップにもつながる。現在景気が上向きになってきており、採用や社員の離職率低下に力を入れている企業は多いと思うが、こういった他社の事例を参考にしつつ、自社ならではの施策を考えてみるのも面白いのではないか。

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