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Hot HR vol.146 – 「素晴らしいキャリアをつくるために(後編)」

2014/03/17(最終更新日:2021/11/12)

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素晴らしいキャリアをつくるために(後編)
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前回は、Facebook社の最高執行責任者(COO)
シェリル・サンドバーグのキャリアパス創造における
示唆に富むスピーチをもとに、
日本を巻き込み大きな潮流となっている
価値観・キャリア像についての多様化という変化を見てきた。
そこには、これまでの梯子のようなイメージである
キャリアパス創造から、ジャングルジムのように
自由に、身軽にキャリアチェンジを図っていく人材層の
動きがあった。
後編となる今回は、これら多様化していく価値観を持つ
優秀な人材層を、いかに獲得し、育成し、そして定着させていく
環境を生み出すか、人事評価制度の面から見ていきたい。

 

私たちは20年で2000社以上の日本企業における人事評価制度構築の
お手伝いをさせていただいてきた。
事業をスタートさせた時から現在まで、日本企業が運用している
人事制度は、全くと言っていいほど変わっていない現状がある。
20年前のビジネス環境、IT環境、そして人々の価値観や
働き方がこれほど変わってきているのに、である。
それらの旧態依然とした人事制度は、古き良き日本の
高度成長期の思想をそのまま受け継ぎ、マネジメントコース
単線での運用、年功的な運用、人材の内部調達に
頼り切ったものである。
優秀な若手人材を登用しづらい、あるいはスキルとノウハウを
持った外部人材を適切に流入、活用できないこれらの人事制度を
もつ企業では、新規事業の立ち上げや海外への事業進出など、
これまで社内に存在しないノウハウや技術が必要な場合にも
内部からの人材登用しか選択肢が持てず、結果その事業が
とん挫してしまうケースが散見される。
やる気のある若手社員は、何も変わらない、
そして将来に希望を見いだせない、その閉塞感から社外へ
流出していってしまう。

 

前回見てきたように、今価値観とキャリア像は大きく変化している。
彼らはいとも容易く、身軽に、自由に、自分自身のキャリアを
選択できるのである。

 

この変化は日本企業にとって大きな危機であるとともに、大きなチャンスでもある。

 

キャリアパスが梯子型からジャングルジム型に
変わったように、人事制度もジャングルジムの様に
「動いて」キャリアを積むことができるようにすれば
いいのである。

 

これまでのマネジメントコース単線での運用ではなく、
専門職、技術職コースを設け、「複線型の人事制度」
を設ける動きが大きくなっている。
それぞれのコースを、要所々々で往来が可能に設計することで、
この複線型人事制度は、内部人材の価値観の多様化を受け止め、
社員の多様な働き方を可能にする。
また、それぞれのグレード、各階層における
「期待される役割」、そして各ポジションでの「求められる職務」
を明確化することで、スキルマッチが見えにくい
外部人材の獲得と運用が容易になるのである。
そして最終的にこれらの人事評価制度は、経験の長さや
年齢だけではなく、スキルによる人材登用と多様な働き方を
受け入れ、ミッションにもとづいた適切な評価(報酬)を
可能にするシステムとなる。

 

これらの人事評価制度を運用し続けることで強化される
「戦略的人事」は、今後の激変するグローバルマーケットに
おける日本企業の事業成長には欠かすことができないものである。
日本企業にはいま起こっているこの変化を、敏感に捉え、
身近に迫る危機であるとともに、チャンスと捉えて、
次の飛躍につなげて欲しいと切に願うばかりである。

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