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Hot HR vol.145 – 「素晴らしいキャリアをつくるために(前編)」

2014/03/10(最終更新日:2021/11/12)

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素晴らしいキャリアをつくるために(前編)
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企業にとって、自社にとっての「優秀な人材」
「成果をあげられる人材」の獲得と育成、そして定着
という課題は、いつの時代でも最も重要なテーマである。
このテーマに対して、人事評価制度のあるべき姿という観点から、
今週と来週の2週にわたって日本企業が直面する課題を掘り下げて
いく。
初回である今週は、「キャリアパスをいかに作っていくか」
という示唆に富むトピックスから「現在の変わりゆくキャリア像」を検証し、
次号では、その多様化している変化に、対応した環境をいかに
構築していくか、話を進めていきたいと思う。

 

2013年3月に米国で発売され即座にベストセラーとなった

『Lean In: Women, Work, and the Will to Lead 』

でご存知の方も多いと思われるが、その著者シェリル・サンドバーグは、
Facebook社の最高執行責任者(COO)である。

彼女は21世紀アメリカ女性のリーダーである、と賞賛され、
2012年には『タイム』誌の「世界でもっとも影響力をもつ女性100人」
のひとりにも選ばれている。
彼女はまさに「エリート」としてそのキャリアをスタートさせた。
ハーバード大学を首席で卒業し、世界銀行でのプロジェクトを経験、
またハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得したのちは、
マッキンゼー・アンド・カンパニーで経営コンサルタントを1年ほど務めたが、
その後1996年から5年間にわたり、クリントン政権下で財務長官となった
サマーズの首席補佐官となり、アジア諸国の金融危機における負債の取り扱いに
かかわった。そして2001年にGoogle社に入社し、副社長の地位にまで
上り詰めたのである。
しかし、彼女のキャリアという物語はここで終わらない。
その後2008年3月にFacebook社へ入社する。Facebook社は2004年に数人の
大学生によって設立されたばかりの企業であり、彼女にとって大きなリスクを
伴う決断であった。
サンドバーグがこれからまさにキャリアを創っていこうとする
学生に向けてのスピーチに、これからの多様化するキャリア像を
示唆するコメントがある。

 

 

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2001年シリコンバレーに職を求めてやってきたとき、ネットバブルは
次々に崩壊し、小さな会社は次々に廃業していました。
どの会社に入るかを決める時に、スプレッドシートを作りました。
縦の列に「仕事」横の行に「私の求める条件」を書きだしました。
その中にGoogleの事業部マネジャーという職がありました。
今では、良いじゃないかと思われるかと思いますが、当時は、
消費者向けインターネット企業が利益を出せるとは誰も思っていませんでした。
CEOに着任したばかりのエリック・シュミットに会い、
このスプレッドシートを見せ、この仕事は私の条件の一つも満たしていない
と話したんです。彼は私を見てこう言いました。
「馬鹿なことを言うもんじゃない。ロケットに乗り込むんだ。
会社が急成長して大きな影響力を発揮しているとき、キャリアは
ほっといてもついてくる。ロケットに乗らないかと誘われているときに、
『どの席ですか』なんて聞いてはいけない。とにかく乗るんだ。」
これは素晴らしいアドバイスでした。

 

それから6年半後にGoogleを退職し、COOとしてFacebookへ
行くことを選びました。なぜ23歳の若者の下で働こうとするのか
不思議がられました。キャリアは伝統的には梯子のイメージですが、
それは時代遅れです。Facebookで人事を務めているローリー・ゴーラーは
「キャリアは梯子ではなく、ジャングルジムだ」と言います。
横へ、下へ、前へ、一直線ではなく、肩書ではなく、動くのです。
もし、一直線に上だけを目指していたら今のようなキャリアは
積むことはできなかったのです。
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この変化は、グローバル化を迫られる日本を巻き込み、
今大きな潮流として、動き出している。
優秀な人材はこれまでの梯子のようなキャリアパスから、
まさに自由に身軽に、ジャングルジムのようなキャリアパスを
選択しているのである。若者たちは今また世界に目を向け、
日本の大手企業への入社だけを目指すのではなく、海外就職や
ギャップイヤーを活かし自分を高めようとしている。
大手企業をスピンアウトし、自らを高められるベンチャー企業へ
身を投じる動きも大きくなってきている。
昨日までその栄華を誇っていた大手企業が、一夜にして坂道を
転がり落ちる現実を見て、まさに優秀な人材層では価値観・キャリア像の
多様化から人材の流動化が始まっているのである。

 

次回はこの多様化している価値観変化に、対応した環境いかに
構築していくか、人事評価制度の観点から見つめてみたい。

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