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Hot HR vol.139 「ある米国企業が『多様性』を活かし、成果をあげ続けることができた秘訣とは」

2014/03/06(最終更新日:2021/11/12)

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5分でわかる最新人事トレンド
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「ある米国企業が『多様性』を活かし、成果をあげ続けることができた秘訣とは」
グローバル化が進む中で、多様性を取り込む企業は増えてきているが、それを活かすことができて
いる企業は多くない。今回は、あのAmazonさえも恐れたある米国のオンライン企業を例にとり、
どのように多様性を取り入れることに成功したか、またその結果どれほどのインパクトを与えたかを
紹介したいとおもう。

 

■「多様性」という言葉が示す意味とは
グローバル化が進む現在、「多様性」という言葉が私たちの身の回りでも多く聞かれるようになった。
しかし、正確に「多様性」という言葉の意味を理解できているだろうか。「多様性」という言葉の意味
は幅広く、すべてを正確に理解するのは困難である。
多様性という言葉は一般的には年齢、性別という意味で述べられることが多い。しかし、多様性の
持つ意味とは氷山のようなもので、目に見える外面的な要素と、水面下の見えない内面的な要素が
ある。ちなみに、外面的な要素としては先ほどの二つに加え、国籍や人種、障害、性的嗜好なども
含まれる。一方、内面的な要素として雇用形態、婚姻状況、趣味などがある。また、これらすべて
の要素によって変化する価値観も後者に含まれる。

 

■アメリカと多様性
企業と多様性の関わりについての歴史は、アメリカにおいて性別や人種の違いによる雇用機会や待遇の
差別をなくすために取り入れられたのがはじまりである。ただし、多様性を取り入れることによって、
差別の撤廃だけではなく業績自体をあげる効果があるということが認識され、その効果を狙って多くの
企業が取り組みをはじめた。
さまざまな異なる意見を取り入れ、活用することは新たな発見を生み出し、相乗効果を生み出す。
ただし、多様性を取り入れることはできても、活用することは簡単なことではない。従業員同士が同じ
ベクトルを向くことによって、初めて多様性による効果が出始める。
そこで、多くのアメリカの企業では、企業カルチャーというものを提示しこれらを浸透させることを
通して、多様性の活用を目指している。

 

■最強の顧客サービス企業
アメリカのロサンゼルスにZapposという靴などのオンライン販売をおこなう企業がある。
この企業は自らを「靴を売っている顧客サービス企業」と称すなど、顧客サービスに力を
入れており、顧客のためなら「ほとんどなにをしても良い」とするなど従業員に決定権を与えている。
マニュアルなども作られていない。
Zapposといえば一番有名なのがテレフォンオペレーターであり、カスタマー・ロイヤルティ・チーム
(CLT)と呼ばれている。欲しい靴が在庫切れであった顧客のために、同じ靴を他社のサイトから見つけ
案内したり、「今空いているレストランを調べてくれないか」という自社とは関係のない電話に答え、
案内するなどとてもユニークな顧客サービスを行っている。
これらの顧客サービスが愛された結果、多くのZapposファンができた。リピート率が75%というだけ
ではなく、新規顧客の44%がクチコミという驚異的な数字である。
ファンができただけではなく、Zapposで働きたいという人もとても多い。2011年にはフォーチューン紙の
「最も働きたい企業100」のなかでベスト6位に選ばれた。就職できる割合はハーバード大学の合格者並みである。
テレフォンオペレーターとは、業務内容や賃金水準からもともとは不人気な職業であったが、これほどの希望者を集める
というのは異例である。

 

■Zapposと企業カルチャー
Zapposが人気を集めた要因として、企業カルチャーがある。
企業カルチャーはZapposにとってFirst priority(最優先事項)であり、すべての基礎となるものである。
顧客サービスはもちろんの事、飾り付けられたデスクなど、遊び心にあふれた職場の雰囲気はすべて企業
カルチャーに基づいている。
また、Zapposでは採用基準に「この人とはプライベートでも一緒にいたいか」というポイントがあり、
オフィスの内外を問わず、自然な状態で人々が接することができる企業を目指している。
このように、多様な価値観を持った従業員同士がありのままの姿で楽しみながら働くことで、すばらしい
仕事ができるのだ。

 

Zapposが従業員に対し企業カルチャーを浸透させるツールとして、毎年カルチャーブックが発行されている
。その本の中では、企業カルチャーに対する従業員の考えや10のコアバリュー、写真などがたくさん盛り
込まれている。
カルチャーブックは、職業規則のような従業員に対する消極的な規定書ではなく、それ自体が人を楽しませる
ものである。そして、カルチャーを自然と浸透させることができ、結果的に業績のアップと顧客の満足を
同時に達成させるようになるなど、欠かせないツールなのだ。アメリカでは多くの企業がこのカルチャー
ブックのように、何かしらのツールを通じて企業カルチャーを従業員の間に浸透をさせている。

 

これからは日本でもグローバル化が進んでいき、多様化のペースがどんどん進んでいく。その中で、世界の
競争相手たちから勝ち抜くためには、従業員に企業カルチャーを浸透させる対策が必要になってくる。

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