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Hot HR vol.72 人事制度もガラパゴス化!?

2013.12.18

#Hot HRメールマガジン バックナンバー

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5分で分かる最新人事トレンド
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ガラパゴス化(Galapagos Syndrome)…

 

生物の世界で言うガラパゴス諸島における現象のように、
文化・制度・技術・サービスなどが日本の市場において独自の進化を遂げ、
世界標準から掛け離れてしまう現象のことである。
技術的には世界の最先端を行きながら、諸外国では全く普及していない
日本の携帯電話の特異性を表現するために登場した新語である。
転じて、日本に限らず世界標準からかけ離れた市場を指す場合もある。
(Wikipediaより)

 

 

 

◆◆外国へ行きたがらないニッポンの若者達◆◆

 

こんなデータがあります。
厚生労働省の調査によると1996年、日本から米国への留学生は4万6292人でしたが、
2008年の日本からの米国への留学生は、2万9264人と大きく減少しています。
一方、韓国では1996年では米国への留学生は4万2890人と日本と変わらなかったものの、
2008年にその数は7万5065人、日本の約2.5倍になっているのです。
また社会人ではどうなのかと言うと2010年の産業能率大学の調査では
20代の会社員達の実に70.7%が”海外勤務をしたくない”などの否定的な回答をしています。
どうしてこのような現象が起こっているのでしょうか?

 

 

◆◆外国で人材を探さないニッポンの企業達◆◆

 

欧米のトップクラスのビジネススクールの就職フォーラムでは
人事担当者達が未来の幹部候補の学生とコネクションを作るべく毎年やってきます。
そこにはマッキンゼーやゴールドマン・サックスなどの大手の人事担当者が集まって、
様々な好条件を提示して人材獲得に励んでいるのです。
近年ではサムスンやLG電子がそれらトップクラスの新卒の学生を年収1000万~2000万の
破格の報酬で獲得しようとするなど隣国韓国でも力を入れて活動を行っています。
ところが日本の企業ではそれらのフォーラムで人材を獲得するという
ことはまずありません。それはどうしてでしょうか?

 

 

◆◆国際的人材を受け入れる器◆◆

 

上の2つの現象があらわしていることは、中身と器の問題です。
中身は人材、器は企業を表します。

 

国際的な人材は、そのポテンシャルを発揮できる企業を求めます。
日本企業の生み出すモノ・サービスが諸外国と比べてレベルが低いということではありません。
日本企業はガラパゴス化してしまった自国市場に注力するケースが多く
グローバル・スタンダードとは違ったモノ・サービスを生み出しています。
必然的に日本企業で働くことで育つスキルや知識はガラパゴスとなったスキルや知識に
なってしまっています。さらに加えうるには、企業の要となる人事制度もガラパゴス化した
日本独自のものとなってしまっているのです。

 

それでは実際には諸外国と日本の人事制度ではどのような差異があるのでしょうか?
人事制度の違いを下記にまとめてみました。

 

 

┏┓ 日本
┗★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

人事制度   : 職能制度
採用     : 職務を決めずに採用
配置     : 企業内ローテーション
キャリア開発 : ゼネラリスト志向

 

┏┓ 諸外国
┗★━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

人事制度   : 職務制度
採用     : 職務ごとの採用
配置     : 職務ごとの配置
キャリア開発 : スペシャリスト志向

 

職能制度では、「どのような仕事に携わるのかは会社が決める」という
意識が強くなりやすく、自分で「この仕事を目標しよう」という意識は形成されにくくなります。
一方、多くの外国企業では職務制度が採用されており、スペシャリスト育成を目的として
採用時点において自分が従事する職務やキャリアプランが明らかにされて採用されています。
基本的に採用された職務が変更されることはなく、同一職務内で職位が上がっていく人事制度です。

 

この2つの人事制度における社員にとっての違いとしては、キャリアプランに具体性を抱けるか、
どんな仕事を期待されているのか?という点にあります。
職能制度では自分がいつどのくらいの年収を稼ぎたいのか?どんなポジションでどんな仕事を
していきたいのか?そういったこと自ら決めていくことは難しいでしょう。
ところが職務制度では明確にキャリアプランと仕事内容を企業側が提示し、
それに沿ってキャリアを積み重ねるべく、具体的で細かい目標を社員が作れるよう配慮されています。
優秀な人材であればあるほど、一定のスパンできちんと目標を立てて
それを達成していくことで自らを向上させることに熱心だからです。

 

こうしたバックボーンを考えていくと、日本企業での人事制度が国際的人材にとって
働きづらい職場になっていることが考えられるのではないでしょうか?
仮に日本の学生達が海外留学をして、国際的な知識を獲得したとしても
そのような能力を発揮でき、見合った報酬を手に入れることが日本企業では難しいのです。
留学するよりも普通に日本の大学に行く方が日本の人事担当者のウケが良く、
ベターな選択肢となってしまっているため留学生が減っているのです。
そして企業としても、国際的人材に働いてもらいづらい人事制度となってしまい
日本人の人材を多く求めてしまっている状況となっているのです。

 

 

◆◆中国での人事制度は?◆◆

 

連日ニュースを賑わしている国、中国では人事制度はどのようになっているのでしょうか?
中国ではかつて、日本と同じく職能制度を用いていました。
それは中国人が日本と同じく暗黙知と属人的な組織構造を擁していたからという理由があります。
ところが近年、急速な成長に目をつけた多くの外資系企業が中国市場に参入すると共に
中国人もそれに適応するように職務制度をベースとした人事制度へ変遷しつつあります。
IT系などの先端企業では既に職務制度が主流になっており、職務制度のキーとなる
『職務記述書』を持っている企業が一般的となっているのです。

 

 

◆◆ガラパゴス化への歯止めを◆◆

 

ガラパゴス化することそれ自体には、悪い意味あいはありません。
冒頭の解説にある通りそれは「独自の進化」をしたことなのです。
しかし、ビジネスという観点で語るのであればグローバルであることはすなわち
儲かるということに直結し、ガラパゴスという閉鎖した状況は目の前にある
旨味を見逃し続けていることになります。

 

隣国の中国では、グローバルスタンダードである職務ベースの人事制度へ
変遷をしています。経済においては中国が今なお成長を続けている一方、
日本は不況が未だ続いています。企業としては若者達が海外で得た知識や
経験を活かすことが出来る組織作りを焦って行っていかなければ
ならないはずです。

 

ガラパゴス諸島で様々な発見をしたチャールズ・ダーウィンは
survival of the fittestと言い、強いもの、賢いものではなく変化するものが
生き残るという示唆をしました。果たして日本はこのまま変わることが無かったら、
生き残ることができるのでしょうか?

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