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Hot HR vol.69 日本企業はまだ新卒一括採用を続けるべきなのか?

2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)

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5分で分かる最新人事トレンド
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┏┓    日本企業はまだ新卒一括採用を続けるべきなのか?   ┏┓
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1. 日本の就活事情
2. 海外の就活事情
3. これからの採用の行方

 

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◆◇◆ 1. 日本の就活事情 ◆◇◆

 

文部科学省が今年の8月に発表した調査結果によれば、今春大学を卒業し
たが就職も進学もしなかった「進路未定者」が約57万人中、10万人を突破
したことが明らかになりました。企業の根強い「新卒一括採用」を背景に、
就職が決まらず翌年に再び「新卒」として就職活動(就活)に臨む
学生が急増しているのです。

 

また、青山学院大学や学習院大学などが、就職難を理由にした留年者に
対して授業料を減免するといった新制度を創設するなど、大学側も就職
難の留年者増に対応せざるをえない状況になってしまっています。

 

ところで、なぜ「新卒」という肩書きに就活生や企業の採用担当者が
非常にこだわっているのでしょうか。

 

「新卒」であれ「既卒」であれ、社会人経験がなければ能力に大きな
違いはないはずです。とある就職活動中の学生が「新卒」の時には書類
選考通過率が50%を超えていたものの、「既卒」になった途端に10%台
まで落ち込んでしまったという話があります。

 

つまり、この話が意味するところは、日本においては地位や肩書という
”看板”が非常に重要視されており、それに該当しない人達へは採用の
機会を閉ざしてしまっているのです。

 

これは非常にもったいないことではないでしょうか?

 

◆◇◆ 2. 海外の就活事情 ◆◇◆

 

一方、海外では新卒の採用をどのように行っているのでしょうか。
中国・アメリカ・フランスの採用事情を日本と比較しました。

 

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A. 中国 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

☆☆「辞める」ことが前提☆☆

 

まず中国では「労働契約制」に基づく採用が一般的です。労働契約制とは
企業と社員が有期限の雇用契約を指します。つまり、社員が「辞める」こと
を前提に雇用が行われています。期限の定めがない契約が一般的な日本と
は大きく雇用形態が異なります。

 

実際、中国では1年~2年の内に会社を辞めて転職する人が多く、人材の
流動化が非常に活発です。その背景には好景気や通貨高などの影響で外国
企業が多数進出してきており、雇用の場がたくさんあることが挙げられます。
よって、即戦力になりづらい新卒採用よりも中途採用が主流となっています。
そのため、600万人以上の新卒生は夏休みを使って企業でインターンシップを
行い、就業経験をつみます。そこで就業経験を積んで、能力を評価されて初
めて内定を得ることができるのです。

 

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B. アメリカ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

☆☆新卒、中途関係になく「即戦力!」☆☆

 

アメリカでは新卒採用よりも中途採用が主流となっています。アメリカの
雇用では「職務給」というのが一般的であり、技能を持ち合わせていれば
転職が行いやすいという成熟した雇用市場が存在することが背景にあります。

 

職務給であるため、新卒であろうと中途であろうと求められる人材は『即戦
力』です。企業側は日本のように手厚い研修やOJTによって人材を育てる文化
はありません。そのため新卒の学生は在学中からインターンシップを活用して、
実務を学び自分自身を売り込んで内定を得なければならないのです。

 

また、大学の学部と就職が直結しており、高等教育の仕組みが雇用の連携し
ています。アメリカの採用事情を理解するにはこのような背景にも
着目する必要があります。

 

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C. フランス ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━┛

☆☆『スタージュ』制度☆☆

 

フランスは非常にユニークで、インターンシップというよりは徒弟制度に似た
就労制度があります。『スタージュ』(研修・研究などという意味)というもの
で、パン職人から銀行マンなどの、ほぼ全職種において一定の期間を通して
仕事を覚えていくことができる制度です。

 

スタージュ制度は、学生のみならず利用することが出来ます。失業中の人で
あっても、同じ条件で始められるのです。これは高失業率に悩む政府がこの制
度を積極的に支援していることが背景にあり、人材の無駄をなくし、活用して
いこうというメッセージだといえるでしょう。

 

ただし、スタージュの期間中は自らをアピールしていなければ、コピー取りや
皿洗いなどの雑務のみを割り当てられてしまう可能性もあります。明確に自分の
主張ややる気を表明していかなければならない大変さもこの制度にはあります。

 

◆◇◆ 3. これからの新卒採用の行方 ◆◇◆

 

このように世界では新卒採用<中途採用という潮流が一般的です。最近の日本でも
中小企業を中心に、一生の平均転職回数が5.9回に達し、雇用の流動化がますます
進んでいます。つまり、今や高校や大学を出たての新人を一括で採用し、人材育成に
時間とコストをかけるという方法が徐々にマッチしなくなってきているのでしょう。

 

変化の激しいこれからの時代を乗り切るためにも、従来の発想にとらわれず、採用
方法も見直しを行っていく必要があるのではないでしょうか。優秀な人材を
幅広く採用し、企業の活力を向上するために、新卒一括採用から脱却しなければ
ならない時代がもうやってきているのです。

 

【参考】
・厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/

 

・読売新聞
http://job.yomiuri.co.jp/hunt/saizensen/sa_10081602.htm
http://job.yomiuri.co.jp/hunt/saizensen/sa_10070604.htm

 

・中国国際放送局 日本語部
http://japanese.cri.cn/881/2010/07/21/141s161400.htm

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