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Hot HR vol.67 人材のグローバル化はできてますか?

2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)

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5分で分かる最新人事トレンド
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◆◆世界の中でも低い、日本人の英語力◆◆

 

TOEICの試験を実施しているETSの調査による「上場企業における英語スピー
キング・ライティング力に関する調査(2010年1月)」と、7割超の企業が業務で英語を
使用していると答えています。ユニクロや楽天による社内やりとりの英語公用化の
推進が最近物議を醸しましたが、世界を相手にビジネスを広げていくために
英語の重要性はますます高まっていることは確かです。

 

では、実際に日本人の英語力は平均してどうなのでしょうか?
…実は大変残念なデータがあります。
アメリカの大学・大学院に進学する際に必要なTOEFLの結果をアジア各国で平均して
見てみると…、日本はなんと最後から2番目(27位)なのです。(最下位はカンボジア)
先進国でこれだけ低いのは日本ぐらいで、シンガポールは1位、インド5位、中国10位、
韓国12位と大差をつけられています。

 

◆◆広がる社内制度◆◆

 

隣国、韓国では有力企業は新入社員に対してTOEIC820点以上を求めるのが普通です。
韓国最大の企業サムスン電子では、TOEIC900点以上が新入社員に求められており、
既に社員の9割は920点以上を獲得済みと言われています。これもアフター4を勉強などの
時間に投資させる七四制や、地域専門家制度の賜物でしょう。また、昇進と英語は切っても
切り離せない関係になりつつあります。

 

さて、対する日本企業の英語力向上への取り組みはどのようなものがあるでしょうか?

 

┏┓TOEICの社内試験実施
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毎年定期的に社員にTOEICを受けさせる企業はどんどん増えています。
第一生命では社内試験を若手・中堅に実施し、550点未満だった場合、
受験料は自己負担という制度があります。

 

┏┓各種役職への昇進条件に
┗★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
昇進するためにTOEICが○○○点必要と決められている企業も多くあります。
日本IBMでは次長以上が730点、トヨタ自動車では係長以上に600点、
パナソニックは主任以上に450点としています。ただ、先ほどあげたサムスン
等の韓国企業に比べるとレベル差は歴然。ハードルは低めです。

 

┏┓積極的な海外留学派遣
┗★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
若手社員全員を4年以内に海外に出すという制度があるのは伊藤忠商事
です。英語のレベルに関わらず、全社員が一度は海外の学校または職場
に派遣されます。伊藤忠商事は世界人材戦略を掲げており、各国から優秀な
人材を積極的に採用したり、社内イントラを英語表記にするなど徹底した
取り組みがなされています。

 

┏┓社内公用語を英語に
┗★ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
社内イントラなどの表示をはじめ、会議資料や食堂のメニューに至るまで
英語表記にして環境に慣れさせるスタンスをとる企業もあります。楽天のように
全てを英語化というやり方は、「十分な議論ができない」「業務スピードが落ちる」
などとてもチャレンジングでありますが、このインパクトは大いに他の企業の
危機意識を引き出しているのではないでしょうか。

 

様々な取り組みはなされているものの、韓国や中国に比べるとまだまだ求められている
レベルはそう高くはないと感じられます。「英語ができる=仕事ができる」とは限りませんが
英語ができることで世界各地の従業員・お客様とのコミュニケーションがスムーズになりますし
読める資料の量も増えるので情報収集力を高めることもできます。
これまでは、メーカー等の輸出産業を中心に海外とのビジネスがなされてきましたが、今や
メーカーだけでなくサービス業などもグローバルに展開されるようになっています。
「英語が喋れること」はもはや特別なことではなく、これからの時代を生き抜くために必要な
スタンダードとなってきていると言えるでしょう。

 

◆◆今後求められる真の英語力とは◆◆

 

英語は世界公用語であり、ネイティブではない人とのコミュニケーションも英語でとっていること
が殆どだと思います。そこで気になってくるのは相手の発音やアクセント。日本人は完璧を
求めるがゆえに、何かを伝えるという意思以前に上手に話そうとしてしまう傾向にあります。

 

そんなしりごみを一蹴するように、最近ではGlobal-Englishで「Globish グロービッシュ」という
考え方が広まってきています。各国のアクセントやしゃべり方を全部含めて地球語なんだという
意味が込められているようです。
文法に多少間違いがあっても、表現の仕方が多少ずれていても伝えようという強い意志を
もって伝えればコミュニケーションツールとして十分に機能します。要は話の中身なのです。

 

英語は目的ではなくてあくまでもツールであるということを常に念頭において日々の学習に
取り組んでいきましょう。カメラを前に堂々と英語で語る代表的な日本人の動画を
いくつかご紹介します。

 

任天堂 社長 岩田 聡 氏 http://www.youtube.com/watch?v=3nRhaHjRsHA
渡辺 謙 氏 http://www.youtube.com/watch?v=tl_eMBDO3YY&feature=related
中田 英寿 氏 http://www.youtube.com/watch?v=WRbQxHm61-o&feature=related
ソニー創業者 盛田 昭男 氏 http://www.youtube.com/watch?v=yOPXVNynO1U&feature=related

 

◆◆そして、日本人が本当に足りないもの◆◆

 

これまで見てきたように、世界を相手にビジネスの拡大をする上で
今後、英語力は欠かせないスキルといえます。
上手に英語を話そうとするのではなく、グロービッシュに話の内容を伝えること。
でもそれだけでは、実際、海外に出たときにビジネスの場では通用しません。

 

日本企業においても、高い語学レベルの人材を保持している企業は多いのです。
しかしながら、グローバル環境下において必要とされる『マネジメント』について学ぶ機会は、
どれくらいあるのでしょうか。語学が堪能な駐在員を派遣したにも関わらず、現地従業員との
トラブルが絶えないのはなぜでしょうか。

 

日本人に足りないもの...それは、ずばり人対人のマネジメント力の不足に他なりません。
外国企業のホワイトカラーは、実に多くの時間をマネジメントの研修にあてています。
日本はこの点においては、まだまだ遅れをとっているといえそうです。

 

『英語力』と『マネジメント力』。この両輪が揃って、ようやく人と組織がグローバルな環境で
強力なパワーをもって動き出せるのです。

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