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Hot HR vol.63 法改正から3カ月、企業を取り巻く残業事情

2013.12.18

#Hot HRメールマガジン バックナンバー

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5分で分かる最新人事トレンド
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◆◆改正後の労働基準法◆◆

 

長時間労働を防ぎ、労働者の健康維持やワークライフバランスをめざして
今年の4月1日から労働基準法の一部改正が施行されました。
ポイントは以下の通り。

 

┏┓1ヶ月に60時間を越える時間外労働の割増賃金率は50%。
┗①━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
これまで25%だった残業60時間以上の割増賃金率が上がりました。
しかし、これは大企業が対象で中小企業はまた3年後に検討される
ようです。

 

┏┓60時間以上の残業を行った場合、割増賃金を有給休暇に換えられる。
┗②━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
事業場で労使協定を締結すれば、新たに超過分となる25%
(50%-25%)の賃金を休暇にすることができます。残業が
76時間であれば、そのうち16時間が対象となり、16×0.25=4で
4時間分の休暇となる。

 

┏┓月45時間を越える割増賃金を25%以上に引き上げ、残業を減らす企業努力をする。
┗③━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
こちらは、企業の規模にかかわらず適用されます。
ただし、努力義務であるため、強制はされないというところが
ポイントです。

 

┏┓年次有給休暇を時間ごとに取得することができる。
┗④━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
これまで日単位での取得だったのが、労使協定を締結していれば1年に
5日分まで時間単位で有給休暇をとることが可能になります。たとえば4時間ごとに
区切ったら午後出勤を10回したりすることができますよね。こちらも企業規模
に関係なく適用されます。

 

◆◆改正に対する企業のホンネは◆◆

 

コンプライアンスが重視される世の中になり、この法改正はどの企業にも影響を与える
大きな変化だと予想されています。しかし、民間の調査機関、労務行政研究所の昨年末
時点の調査では、新たな割増率を「見直さない」とした企業が47%と最も多く、「見直す」
と明言した企業は10%にとどまり、いまいち意識が浸透していないことがうかがえます。

 

③に対して「見直さない」とした企業のうち41%は「すでに25%超の率で支払っている」
との理由でしたが、57%が「努力義務なので見直さない」と回答しています。

 

また、新制度を導入する企業はまだ限られているようです。労務行政研究所の調査に
よると、時間単位年次有給休暇制度を「設けない」とする企業が48%を占め、「設ける」
の10%、「未定」の42%を上回りました。
チームで仕事をする工場などでは短時間でも人が欠けると作業に支障が出る上、
遅刻や早退との区別がつきにくくなるという懸念があるからです。

 

ワークライフバランスへの意識が高まってきており、時間短縮勤務などフレキシブルな
働き方を推進している企業が増えてきたように思います。しかし、まだまだ多くの企業では
時間単位休暇を受け入れる体制が整っていないのです。

 

◆◆残業削減企業の努力◆◆

 

残業が顕在化してしまっている職場は年々少なくなってきています。
各企業かなりの努力・心がけをして、残業時間を減らし早く帰る文化をつくりあげている
ようです。「NO残業デー」を設定する企業はすっかり増えましたね。
ここで、残業削減に積極的な企業の取り組み事例をご紹介しましょう。

 

⇒職場環境そのものを「営業終了状態」にしてしまう。

 

【高島屋】
終業時間になると利用中のパソコンにメッセージを表示。
一定時間が経過したら強制シャットダウン。

 

【りそな銀行】
19時になるとオフィスの空調が停止。
残業で引き続き使う場合は、部内予算で空調費をまかなう。

 

⇒トップから残業削減のガイドラインを伝え、浸透させる。

 

【新日本石油】
会議資料等を自ら用意するように管理職に求める「自分のことは自分でやる」
運動など、8つの行動ルール「さよなら残業~Action8~」を2007年に策定。

 

また、NO残業を企業の人材強化に活用している企業もあります。
韓国のサムスンでは「七四制」といって、7時出社で4時に退社し、アフター4を語学など
自分を高める勉強や活動に費やすことを奨励する制度があります。

 

ワークライフバランスの先駆者であるファイザーでは、コアタイム時間中でも金曜日は
退社できるという「ウィークエンドフレックス」制度を試験的に導入しています。早くに退社
できることで、語学や資格取得の勉強はもちろんのこと、映画や美術館で見聞を広げたり
2泊3日の旅行に行ったり、役所関係の用事を済ませたり…と大変役立っているそうです。

 

◆◆残業を減らし、効率を上げるためには?◆◆

 

①の時間外労働賃金率改正は、現在、大企業対象となっていますが、猶予を適用されている
中小企業も今から体制を整えていかなければなりません。大企業が残業を減らす分、
仕事のしわ寄せが下請けの企業にくるという意見もあるため、早めに手を打っておいた
ほうが今後のためでしょう。

 

サービス残業がある職場は東京都内で37.6%にものぼります(2009年 労働時間に
対する実態調査 東京都)。この状態が続けば、長時間労働・不払い残業で訴訟が起き
大きな損害になりかねません。先述の取り組み事例を参考に、大企業だけでなく中小
企業も積極的に努力していってほしいと思います。

 

ただし、ここで注意していただきたいのは、社員の残業を減らすことに集中するあまり
サービスや商品のクオリティを下げたり、売上を下げることになってはいけません。
短い時間の中で、これまでと同じ量の仕事を行なうわけですから、社員のモチベーション
と生産性を上げながら、売上を上げていくための仕組みづくりについても同時に考え、
実行していかなかればなりません。そのためにはまず、社員の働き方のマインドを
変えていく必要があります。

 

こうした中、先月末、東京都では各業界が社員に求める能力を具体的に定めた基準書を
作成する際の手引きとなる指針をまとめました。社員を職種ごとにより細かくレベル分けし、
各レベルで求める能力を具体的に示すことで体系的な人材育成を試みるというものです。
これを導入することによって、企業は社員に必要な研修の計画を立てやすくなり、
社員の自己啓発にも参考になるのです。

 

社員育成のための研修等に、十分な時間と費用をなかなかかけにくい中小企業でも、
このようなシステムを積極的に活用することを検討していけると良いでしょう。

 

【参考】
・厚生労働省: 『労働基準法の一部を改正する法律』リーフレット
・誠Biz. ID: 『特集:労働基準法改正!残業時間を削減せよ』
http://bizmakoto.jp/bizid/soumu1004.html
・日本経済新聞: 『ムダな残業洗い出せ 会議コスト計算/分刻みの予定表』
2010年4月20日 夕刊
・日本経済新聞: 『仕事「基準書」作成の手引き/都が指針/中小の人材育成に』
2010年6月30日 朝刊

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