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Hot HR vol.33 -企業文化が変わらなければ残業はなくならない

2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)

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5分で分かる最新人事トレンド
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現在、残業代の削減に取組んでいる企業が増えています。一方で、長時間
労働を好まない若手社員も増えています。今回は、長時間労働の観点から、
働き方について考えてみたいと思います。

 

◆長時間労働にメリットはあるか?◆

 

平成18年版国民生活白書によると、労働時間が長い会社ほど時間的・肉体
的負担を理由として転職を希望する就労者の割合が高くなっています。ま
た、長時間労働が続くと、睡眠や休養/余暇の時間の不足、心身疲労回復
の阻害、過労死、うつ病、自殺など、メンタルの問題も発生してきます。
2007年のWHOの世界の自殺率データをみると、日本の自殺率は世界で9位、
先進国でみるとトップです。
メンタル的な問題が発生すると、

 

・生産性/モチベーションの低下
・残業代や休職手当などマイナスコストの増加
・売上げの低下
などのマイナスのサイクルに陥る可能性が高くなります。

 

◆長時間労働になる理由◆

 

日本は他国と比較し労働時間が長い傾向にあり、1994-2006年の各国
の雇用者1人当たり年間総労働時間(平均)を比較したOECDのデータによ
ると、韓国、チェコに続いて日本は3番目に長いのです。
それではなぜ、長時間労働になるのでしょうか。連合総合生活研究所
「ワークライフバランスに関する認識(2007)」のデータによると、長時
間労働の理由は下記のようになっています。

 

1位 仕事量が多いから 51.0%
2位 突発的な仕事があるから 40.7%
3位 勤務時間外でないとできない仕事があるから 20.0%
4位 仕事を納得できるように仕上げたいから 19.9%
5位 納期にゆとりがないから 16.3%

 

その他には、「皆が残業しており先に帰りづらいから」、「残業手当を生
活の当てにしているから」、「上司の指示など、仕事の仕方に無駄が多い
から」など、仕事以外の理由から残業をしている意見が挙げられています。

 

◆長時間労働を改善するための取り組み方◆

 

では、長時間労働を改善するためには、企業は何をすべきなのでしょうか?
次に5つのポイントをお伝えします。

 

1 「社風・職場風土」の改革・改善
:長時間働くことを良しとする社風や職場風土を払拭すること。
2 仕事の「分析」と適正な「配分」
:仕事を「質」と「量」の面から分析し、スキルギャップを特定し、
人材の最適配置を行う
3 仕事のプロセス/マニュアル化。
:仕事内容、プロセスなどを明らかにし、効率よくこなすためのノウ
ハウを組織全体で共有する。
4 「NO残業デー」や「有給休暇」の積極的推進
:強制的に仕事を切り上げる習慣をつけることで、生産性を向上さ
せる。
5 管理職のマネジメントスキル向上
:仕事を抱え込む、または逆に部下に丸投げすることなどがないよう、
部下に対して適切なマネジメントを行う。

 

具体的な取り組みとしては以下が挙げられます。

 

1 タイムカードを導入して、社員の労働時間の記録を保持・分析する。
2 長時間労働者をリストアップし、毎月社員ごとの時間外、休日労働、
有給休暇消化状況等のデータを確認する。
3 長時間労働者とその上司へのヒアリングを行い、健康状態や仕事の状
況、原因と対策などを直接聞く。
4 時間外労働が一定時間を越えた人は特別健康診断を受けさせ、一定期
間の中で代休・休日を必ずとれるようにする。

 

◆企業文化が変わらなければ残業はなくならない◆

 

長時間労働の改善は、企業文化が変わらない限り難しいと言えます。その
ためには、トップや管理職のマインドチェンジがまず必要です。長時間労
働により、会社の業績が上がるとは限りません。むしろ、集中して短時間
で仕事をしたり、有給を使ってリフレッシュしてモチベーションを上げた
り、無駄なプロセスや時間を削減するなど、仕事の効率性を考えた上で働
くことにより、生産性が上がります。このようなことを考慮した上で、社
員をマネジメントをすることが求められています。

 

2010年4月から1ヶ月につき60時間を越える時間外労働について、割増率
が現行の25%から50%に引き上げられます(中小企業は当分の間猶予さ
れます)。労働時間ではなく、成果・能力・仕事ぶりを基準に評価す
ること、そして同じ価値の役割や仕事には同じ対価を支払うという流
れが定着化していくと思われます。
今の段階から人事制度の見直しや準備を進めていくことをお勧めします。

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