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Hot HR vol.20 – 世代別にみる働く意識と企業の課題

2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)

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5分で分かる最新人事トレンド
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今回は前回に引き続き、2008年版「労働経済分析(労働経済白書)-働く
人の意識と雇用管理の動向-」より「第2章 働く人の意識と就業行動」の
「第2節 世代別にみた意識と就業行動」に着目し、世代別に就労意識と企
業の課題を考察します。

 

◆就職先を選べる若年層が会社を選ぶ基準とは◆

 

現在、社会環境や経済環境など影響により、若年層と経営者層では働くこ
とに関する意識に大きな相違があります。また労働力不足により、若年層
は就職、転職が容易に行える傾向にあります。

 

(財)社会経済生産性本部「働くことの意識調査」より、1987年から10年
ごとに新入社員の“会社の選択理由”の変化をみると、
「自分の能力、個性を生かせるから」
という理由が最も多くなっています。新入社員の会社の選択理由は、個人
の能力や技術、興味に関連する項目が高くなり、

 

“会社を選ぶ”という意識から“職業を選ぶ”

 

という意識に変化してきていることが伺えます。

 

また、若年層においては就職しても早期に退職する傾向がみられます。
離職した理由を、内閣府「青少年の社会的自立に関する意識調査」よりみ
ると、男女とも各年齢階級において
「仕事があわない、またはつまらないから」
とする者の割合が高く、次に
「人間関係がよくないから」
という理由が挙げられています。

 

仕事上の悩みとしては、男女とも「仕事の内容(仕事が面白くない等)」
が多く、男女別にみると、
男性では「賃金が低い」の割合が相対的に高く、
女性については「人間関係(セクハラ・パワハラ等含む)」の割合が高く
なっています。
つまり、女性は仕事内容や待遇よりも、職場の人間関係を重視する傾向が
あると言えます。

 

◆求められる女性活用と意識改革◆

 

深刻な労働力不足が懸念されている日本では、急速に女性活用が高まると
期待されています。しかし今のままで企業は、女性を活かすことはできま
せん。
30代を中心とした子育て世代において、特に女性の就労意識が企業の雇用
情勢に影響を与えています。女性は結婚・出産・育児というイベントにお
いて、自らの就労スタイルを変えざるおえない状況にあります。
調査によると、結婚・出産・育児時に退職した理由は下記の通りです。

 

<「結婚」時に辞めたいと思った又は退職した理由>

 

1位 「仕事と両立する自信がなかった」・・・圧倒的に高い数値
2位 「無理して続けるほどの魅力ある仕事でないと思った」
3位 「配偶者・家族の理解が得られなかった」

 

<「出産・育児」時に辞めたいと思った又は退職した理由>

 

1位 「自分の手で子育てしたかった」
2位 「仕事と両立する自信がなかった」
3位 「子どもを預ける施設、サービスがなかった」

 

この結果から女性が仕事を続けていくためには、配偶者や家族の理解や支
え、職場環境、保育サービスの充実化などが重要であることが分かります。

 

日本は他国に比べて、一般的に就業時間が長く、男性の家事・育児への取
り組みは圧倒的に低い傾向にあります。女性が結婚・出産育児・育児と仕
事の両立は厳しい状況と言えます。

 

厚生労働省の調査によると、2007年の育児休業の取得率は、女性は89.7%、
男性は1.56%であり、女性は14年度までに達成するとしていた目標値を上
回りましたが、男性は目標値を大きく下回っています。

 

今後、企業の女性活用の取り組みとして、女性だけでなく男性による育児
休暇制度の取得を推進するなどの企業努力が必要です。

 

◆働きたい高齢層と人手不足の企業◆

 

少子高齢化が進んでいる現在、高齢者の活用も企業の課題となっておりま
す。(独)労働政策研究・研修機構「『団塊の世代』の就業と生活ビジョ
ン調査」によると、現在、正社員やパートタイマーで働く団塊の世代の人
々は65歳まで勤務したいと考える人が多く、60 歳以降に仕事をする場合、
各就業形態とも「これまでと同様の仕事」を希望する割合が高いという結
果が出ています。
このように定年後も働きたいと考える労働者と、人手不足に悩む企業側と
の意図は一致しています。

 

高年齢者雇用安定法が改正され、企業は65 歳までの雇用機会確保を段階
的に行うことが義務づけられ、高齢層の労働者のノウハウや技術を活用し、
若手の育成/指導を行っているケースも増加していますが、実際に高齢者
が就業を継続するには厳しい状況となっています。その改善のためには、
「定年年齢の延長」「賃金や処遇」「柔軟な就業形態」
など、高齢者の就業継続にあたり企業側の見直しが必要です。

 

◆社員が働きやすい職場作り◆

 

上述のように世代や性別、個人の価値観などに基づき、働く人の就業意識
は多様化しています。また労働人口の減少や少子高齢化などにより、企業
は今後ますます既存社員の引き留めが重要になります。

 

社員の定着率を高めるためには、世代別、または個人の就労意識に合わせ
た柔軟な取り組みが必要です。具体的には

 

「職場の風土や人間関係の改善を図る」
「報酬/福利厚生プランを充実させる」
「公募型人事異動制度を導入する」
「短時間勤務制度や各種休暇制度を導入する」

 

などの施策を個々の企業の状況に基づいて導入することが重要です。
さらに各種人事制度を導入するだけでなく、人事担当者や直属の上司によ
る導入目的の説明や運用上のサポートが欠かせません。日頃から社内のコ
ミュニケーションを促進させ、制度を意味あるものにしていく努力が必要
です。

 

イマジナでは人事規程・給与/報酬/業績評価制度の作成・改定、組織診
断や管理職研修、セクハラ/パワハラ研修など、トータルな人事サポート
を行っています。
まずは現状の組織で取り組むべき課題を明確にし、社員が働きやすい職場
を作るための仕組み作りやその運用を始めてみてはいかがでしょうか。

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