Hot HR vol.12-セクシュアルハラスメントのリスク
2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)
==================================================================
5分で分かる最新人事トレンド
==================================================================
近年セクシュアルハラスメント(以後セクハラ)問題が増加しています。
昨年4月に男女雇用機会均等法が改正され、セクハラ対策として雇用管理上
必要な措置を講ずることが義務付けられました。また男性に対するセクハ
ラも対象となり、企業におけるセクハラ防止対策は必須となっています。
◆過去のセクハラ事件◆
過去のセクハラ事件では、1999年の大阪知事強制わいせつ事件が有名です。
また2002年の岡山セクハラ事件では、賠償金3000万円で、日本のセクハラ
訴訟史上でも最高額となりました。
しかし、セクシュアルハラスメントの先進国かつ訴訟大国であるアメリカ
ではセクハラの訴訟金額が日本に比べて莫大です。特にアメリカにおける
日系企業は標的にされやすい傾向にあります。
米国日系企業のセクハラ訴訟例では下記が有名です。
【1996年の米国三菱自動車セクハラ事件】
およそ39億円という莫大な訴訟金額になりました。この金額は当時の
セクハラの告訴でアメリカの至上最高金額でした。
【2006年の北米トヨタセクハラ事件】
元社長秘書が当時の同社の社長からセクハラ行為を受けたとして、
社長やトヨタなどを相手取り、総額およそ215億円の支払いを求める
訴訟を起こしました。
【2006年、ニューヨクの日本レストラン「MEGU」のセクハラ事件】
ウエートレスをしていた日本人女性が、同店の料理長ら2人からセクハ
ラ行為を受けたとして、同店と親会社のフードスコープ・アメリカを
相手取りおよそ23億4000万円の賠償を求めて提訴しました。
◆セクハラ事件が起こった場合の損失◆
セクハラ訴訟は企業にとって膨大な損失に繋がります。訴訟に費やす金額
と時間、そして何よりも企業イメージが低下してしまいます。長年に渡っ
て築き上げたブランドは一瞬にして崩壊し、信頼を失います。Fortune500
にランキングされている会社がセクハラの訴訟に巻き込まれた場合は、お
よそ6億7千万の損害を受けると推定されています。
訴訟が起こってからでは遅いのです。
事件が起こらないように事前に研修などを行い、全従業員がセクハラにつ
いて正確な知識を身に付けるなど、企業は防止・対策に努めていかなくて
はなりません。
◆何がセクハラ行為になるのか?◆
セクハラは被害者が基準です。同じ発言をしても人によってはセクハラと
みなされてしまいます。相手がイヤと思えばセクハラになってしまうので
す。そのため、職場において相手の意に反する性的な言動には常に気をつ
けなくてはなりません。
「職場」とは、会社内だけではなく従業員が業務を行う場所であれば、取
引先の事務所、打合せをするための飲食店、顧客の自宅など、通常就業す
る場所以外も含まれます。
セクハラの基準は被害者ですが、セクハラに値する性的な発言や行動、そ
して意識の持ち方について事前の教育をすることによって、危険を最小限
に抑えることができます。また性別により任せる職務が異なっていないか
など、現状を把握して、心当たりがある場合にはすぐに対策をとりましょ
う。
◆あなたのセクハラ理解度をチェックしましょう◆
あなたはセクハラに対してどのくらい理解しているでしょうか?
下記の質問に「はい」「いいえ」で答えてみてください。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
はい いいえ
□ □ 1.セクハラには2つの種類があるが、そのうちで多いのは
「対価型」※1である。
□ □ 2.従業員が会社の服装規定に明らかに違反し、性的な監視
を煽るような服装をしている場合には、その従業員はセ
クハラの訴訟を起す権利がない
□ □ 3.セクハラの訴えはまず直属の上司に報告するように従業
員に徹底させなければならない
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
※1「対価型」…セクハラは「対価型」と「環境型」に大きく2つに分類す
ることができます。「対価型」とは職務上の地位や立場を利用して、
労働者に性的な言動を行い、受け入れないとその労働者に解雇、降格、
減給などの不利益を与えること。
<答え>
1.いいえ
2.いいえ
3.いいえ
もし自分がセクハラを受けた場合はどう対処すべきでしょうか?
まずは相手の行為が不愉快だと感じたなら、そのことを相手に伝えるよう
に努力しましょう。伝え難い状況、または伝えても治らないようであれば
相談窓口に行きましょう。