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安さの裏の苦悩<Hot HR ニュース8月号>

2014/08/27(最終更新日:2021/12/10)

安さの裏の苦悩

近年、ハンバーガーや牛丼などの食事を安く・早く・手軽に食べることができるとして、ファストフードが多くの消費者を獲得してきた。今回はこれらファストフードが直面する壁について、取り上げていく。

▼ファストフードビジネスのジレンマ

ファストフードの事業は、客単価が小さいためその中で利益を出し事業を継続させていくために、原材料費や人件費を出来るだけ小さくすることが必要になる。そこで、各企業がコストダウンを突き詰めた結果、立ちはだかった壁が最近の食材問題や労働問題である。これらの問題からファストフード企業には悪いイメージが伴うことが多く、人気も盛り下がっている感は否めない。
企業イメージに関わる諸問題に対して、各企業は食材の改善や従業員に対する賃金のアップなどそれぞれの対策をしてきた。しかし、これはコストアップにつながり、ファストフードのビジネスモデルに大きな打撃を加えることとなっているのだ。

▼売上と利益の不一致

2013年度の外食チェーン店の売上ランキングにおいて、一位「ゼンショー」、二位「日本マクドナルド」とファストフード企業によって占められている。しかし、コストアップの問題から利益を上げることに苦しんでおり、一位のゼンショー社を例にとると、売上高では前年度を上回っているものの、営業利益が落ち込んでいる。有価証券報告書によると、食材や電気代などのエネルギーコストが大きな要因となっているが、就業人員5,331名に対し、パートタイマー等が45,289名となっていることにも着目したい。非正規雇用者へ依存するモデルであり、人員確保の為の賃金アップによる総人件費が増加したことも一因であると考えられる。

※株式会社ココスジャパンなど子会社事業を含む

▼価格以外の競争力が必要に

より低価格で商品を提供することをコストリーダーシップ戦略とよぶ。牛丼を提供する3店舗を例に見ると、2014年8月時点の牛丼の値段はすき家(250円:牛丼並盛り)>吉野家(300円:牛丼並盛り)>松屋(380円:プレミアム牛丼並盛り)となっており、業績でもコストリーダーであるすき家が最も高い業績を上げている。一方、営業利益率についてみるとゼンショー(すき家)が前年度3.5%から1.7%に大きく減少しているのに比べ、吉野家ホールディングス(吉野家)が前年度1.1%から2%、松屋フーズ(松屋)が2.4%から3.0%と好転している。(※セグメント情報が不足していたため、ほかの事業も含んだ連結財務諸表より計算したことに留意が必要ではある)
しかしながら、業界の傾向として原材料の工夫、非正規雇用の割合の増加、安い賃金で雇うことができる外国人労働者の雇用など、コストダウンのために成される施策は、今や特別なことではなくなっており、品質重視、サービス重視など価格以外の差別化が必要になるという観点で上の業績を見たとき、ゼンショー(すき家)のような価格だけの差別化はワークしなくなっているという可能性がある。
また、近年単に欲求を満たすためであった「機能的消費」から品質やブランドにこだわる「記号的消費」に消費者のニーズが移行し、商品やサービスに付加価値を求められてきていることからも、コストリーダーシップ戦略だけではやはり立ち行かなくなることが予測される。

▼付加価値戦略に失敗したすき家

吉野家の牛すき鍋定食が人気を集めた。それを追って、すき家も同じようなメニュー展開をしたが、すき家がとっていた戦略はコストリーダーシップであり、新メニューによって調理などの負担が増えた結果バイトが次々とやめ、人材不足に陥るという結果になってしまったのだ。
吉野家は高付加価値、高サービスを戦略としてとっており、入念な調査のもとこの商品の提供を開始したが、すき屋はこれらの前提条件を見誤ったことから、今のような状態になってしまったと分析できる。また、アルバイトが次々と減少し休業を余儀なくされた店舗が増加した事がきっかけとなり、店舗従業員の過酷な労働環境が露呈する事となった。

 

この事例から学べることは、今後の生き残りのためには、サービスや商品に付加価値を付け、企業ブランディングを進めていくことが必要であり、それは人材の確保と戦力化においても不可欠であるといえる。そもそも、飲食業界は非正規雇用率も高く、勤続年数も短いなど人材の定着率は低い。賃金を上昇させ人材を集めることは、一時的に可能ではあっても、将来も同水準の賃金で雇用できるとも限らない。報酬市場価格の高騰により、大きなリスクを抱えてしまうのは、ゼンショーの例が示す通りである。企業は報酬の高さだけではない付加価値で人材を獲得し、意識づけを行わなければならない。
デフレ期のビジネスモデルが崩壊した状況では報酬だけで差別化を図るには限界がある。企業は社外へのブランディングとともに、社員へそして採用の局面においても、企業の存在価値を提示し、共感をはぐくむ社内へのブランディングに取り組まなければならない。

 

 

 

編集長プロフィール
加藤啓太(かとうけいた) 法政大学キャリアデザイン大学2年生。
1年間大学を休学し、2013年6月からイマジナにてインターンとして活動。2014年4月から復学している。
イマジナでは主に資料作成やHotHRメルマガの記事を作成している。学生としてアジア最貧国の一つである東ティモールの支援を行うNPO法人LoRoSHIPで活動を行っており、「タイス」という現地伝統の織物を生産するコミュニティーの支援活動と交流活動を行う。今年の夏に2度目の東ティモール渡航予定。

 

 

 

編集長プロフィール
加藤啓太(かとうけいた) 法政大学キャリアデザイン大学2年生。
1年間大学を休学し、2013年6月からイマジナにてインターンとして活動。2014年4月から復学している。
イマジナでは主に資料作成やHotHRメルマガの記事を作成している。学生としてアジア最貧国の一つである東ティモールの支援を行うNPO法人LoRoSHIPで活動を行っており、「タイス」という現地伝統の織物を生産するコミュニティーの支援活動と交流活動を行う。今年の夏に2度目の東ティモール渡航予定。

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