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米国発メキシカンファストフードのタコベル(Taco Bell)日本再上陸は成功するか?

2015.02.09

#ブランディング・レビュー

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米国発のメキシコ料理(テキサス風メキシカン)ファストフードチェーンのタコベル(Taco Bell)が日本へ「再進出」する。実はタコベルは1990年代に一度日本に上陸したが、まったくヒットせず数年で撤退したという経緯の中での日本再上陸。今回は存続できるのだろうか。

米国発ファストフードは日本で全般に人気があるように思えるかもしれないが、マクドナルド(1971年日本進出)以外で成功らしい成功を収めているブランドは実はケンタッキー・フライド・チキン(1970年日本進出)くらいである。

 

ウェンディーズは、冷凍素材を使わない、作り置きしない、というマクドナルドには無い「手作り感」という「特別感」を強調したブランディングを要とし、かつ、価格もマクドナルドより高めに設定し1980年に日本に上陸した。しかし業績は大きく伸びることなく日本での経営権の変更を経て2009年に撤退。2010年に再進出したが今回も伸び悩んでいる。

 

バーガーキングは、マクドナルドより「より大きく本格的な本場アメリカの網焼きハンバーガー」いう「特別感」とともに、こちらもマクドナルドより高めの価格設定で1993年に日本上陸。日本での事業母体が西武系列だったこともあり、西武系リゾート、もしくはその周辺に出店することで差別化を図った。ところが思うように売り上げは伸びず2001年に撤退、2007年に仕切り直しで再上陸。現在も地道に営業しつつも大ヒットには至っていない。

 

成功らしい成功に今一歩届かないブランドに対して、マクドナルドとケンタッキー・フライド・チキンが共通に持っている要素がある。それは、日本の食卓で定番メニューであるハンバーグと鳥のから揚げがアメリカ版にアレンジされたファストフードとしてそれぞれ日本進出一番手であり、かつ、「普段使い=特別感のない定番」という本国アメリカにおけるブランディングを日本においても継承・実践しているという点である。

 

対して、ウェンディーズやバーガーキングは本国アメリカにおいては(メニューでは差別化を実践しているが)、価格・ブランディングはあくまで「普段使い」である。それにもかかわらず、日本ではそのブランディングを継承しなかった。

 

ファストフード以外ではどうだろうか。

 

スターバックスは、コーヒーという日本でも馴染み深い「普段使い」の飲み物の米国発チェーンとしては日本進出「一番手」。オシャレでリラックス感のある空間を提供しているが、それは本国アメリカと同様、あくまで「普段使い」であり、価格設定もそれほど高くないというブランディングを日本で実行した結果、非常に広い顧客層の獲得に成功、定番化した。
飲食以外にも似たような現象があてはまる。

 

例えばGAPとアバクロンビー&フィッチ。GAPが米国発の「普段着」ファストファッションブランドの日本進出一番手として1995年に上陸、定番化した。そこへアバクロンビー&フィッチは日本人旅行者の間での人気に乗る形で2009年に日本初出店。オープン時こそ長蛇の列ができたが、その後は今一つ伸び悩んでいる。本国ではGAPより若干価格は高めであるが、あくまで「普段着」としてそのへんのショッピングモールになら必ず出店している庶民的ブランドであるにもかかわらず、日本では銀座の一等地に出店、価格帯もかなり高めに設定し「特別感」を出しすぎてしまった。結局、大多数の消費者は日本上陸一番手、かつ価格も低めで、日本においても「普段使い」ブランディングを保っているGAPに戻った。

これはマクドナルドとバーガーキングの話によく似ている。

 

バーガーキングの日本進出以前にアメリカ旅行に行った人たちは、「マクドナルドよりずっと大きく、網焼きでおいしいバーガーキングのワッパーというハンバーガーがある。日本でも絶対売れる!」と口々に話していた。実は日本人にとって大きめに感じるバーガーキングのワッパーは、アメリカ人にとっては特に大き目ではない。網焼きについても、アメリカでは家庭のグリルで焼くハンバーグはみな網焼きなので珍しくない。その後バーガーキングは日本に進出。「おおきめ、網焼き」という「特別感」を訴求し、価格も高めのブランディングを行なった。ところが実際は日本の消費者には「大きすぎて食べきれない」ことになってしまい、大きいということがマイナスのブランドイメージになってしまったのだ。結局日本上陸一番手、かつ価格も低めであくまで「普段使い」のブランディングを保っているマクドナルドに消費者は戻った。

 

さて、今回再進出のタコベルは一体どうなるか。アメリカではメキシコ料理はあくまで「日常的」なメニューであり、タコベルもあくまで「普段使い」ブランドである。日本においてメキシコ料理はまだまだ馴染みが薄く「普段使い」になることはなかなか難しいであろうが、タコベルの前回日本撤退後に日本ではエスニックブームがあり、メキシコ料理も以前よりは馴染みがある。また、再進出とはいえ、タコベルはアメリカ発メキシカンファストフードとしては日本上陸一番手である。タコベルが本国同様「普段使い」ブランドとして如何に日本の消費者に訴求し市場をプロデュースしていくかが再進出成功のキーポイントになるはずだ。

 

 

筆者プロフィール
野田大介
コンサルタント

 

略歴 
神奈川県生まれ 神奈川県立七里ガ浜高等学校
立教大学 理学部 数学科卒。
The University of Alabama MBA
経営大学院修了

 

14年半の米国在住後帰国。MBA修了後、米国にて建設会社でプロジェクトマネジャー、化粧品会社にて米国支社長、帰国後マーケティングリサーチ会社勤務。

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