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Hot HR vol.156 – 性的マイノリティと多様性受容に求められるもの

2014.06.02

#Hot HRメールマガジン バックナンバー

皆さんはこの4月末から5月上旬に開催された「東京レインボーウィーク」をご存知だろうか。もしご存知なくても、GAPのロゴが7色のレインボーカラーで配色されたものを目にされた方は多くいらっしゃるのではないだろうか。
「東京レインボーウィーク」はLGBTを中心としたセクシュアル・マイノリティの人たちが、より自分らしく前向きに暮らしていくことのできる社会をみんなで応援し、サポートする週間である。昨年よりゴールデンウィークに合わせて開催されている。
LGBTとはセクシュアル・マイノリティ(性的少数者)を示す言葉で、L=レズビアン(女性同性愛者)、G=ゲイ(男性同性愛者)、B=バイセクシュアル(両性愛者)、T=トランスジェンダー(性同一性障害など)の総称である。電通ダイバーシティ・ラボの2012年の調べ(約70,000 人にスクリーニング調査を実施)によると、日本では人口の5.2%存在すると言われている。左利きの人や血液型がAB型の人(いずれも人口約7%といわれる)に近い数字であり、当然、あなたの企業や学校にも一定数がいることになる。
「東京レインボーウィーク」ではゴールデンウィーク11 日間に、LGBT に関連した様々なジャンルで活動するNPO・団体・ネットワークが、自治体・企業・メディア等と連携しながら、気軽に参加できるものから深く学べるものまで、多岐にわたるイベントや企画が開催され、多くの人々が参加し盛況のうちに終了した。
前述のGAPのレインボーロゴも「東京レインボーウィーク」の応援として作成され、このロゴを今後、全世界で展開する予定もあるようである。

 

LGBTをサポートする動きはいま世界中で大きくなってきており、またLGBT向けのマーケットも世界中で注目されるほど大きく成長している。その推計市場規模は、アメリカで約77兆円、イギリスで約7兆円、そして日本でも約6兆円と、世界全体では軽く100兆円を超えるとされており、今、世界のビジネス界でもっとも注目を集めているのもLGBT市場なのである。
日本では、ソフトバンクが家族割引サービスにおいて、住所を共にしていることが証明できれば、夫婦や親子でなくても家族として認めている。この内容が明らかになってからLGBTが参加するSNSで急激にソフトバンクに対するポジティブなイメージが口コミで広がり、iPhoneユーザー拡大のきっかけの一つとなったと言われている。LGBTの間では『CSR的な活動と事業領域、両面でサポートしてくれる、我々に寄り添った企業』として人気が不動のものとなったのである。
またウエディング業界では、2013年に東京ディズニーシーがレズビアンカップルの結婚式をサポートし話題になったのも記憶に新しい。
今後さまざまな業界でLGBTを視野に入れた商品開発が進んでいくのは確実である。

 

一方人材活用の面ではどうだろうか。
外資系金融会社ゴールドマン・サックスでは、2009年からLGBTの学生のための就職説明会を行っている。昨年は、就職活動において自身のセクシュアリティに悩みを抱えてしまう可能性の高いLGBTの学生向けに、「キャリア・メンタリング・セッション」と題した企画も実施している。このほかIBMでも就職活動面でLGBTへの支援が行われている。
また、日本IBMやソニーでは、現従業員のLGBT層に向けての、職場の働きやすさ改善を考える企業イベントも行われている。
しかし、これらの取組みは多くが外資系企業を中心に行われており、日本企業の取組みは世界からみると、明らかに遅れていると言わざるを得ない。
大手広告代理店に勤務の傍ら、特定非営利活動法人グッド・エイジング・エールズを主宰しLGBTのライフスタイルを支援する松中権代表は、「LGBTの理解浸透に、一番のネックとなるのは50代くらいのマネジメント層の男性」だと指摘する。「企業の舵取りをしているこの層は、残念ながらLGBTに対して理解が低い。その点、女性は女性であるだけで弱者だった時代があり、今なおマイノリティであることを拭えない分、多様性 に対する受容度もあるのですが、現状、日本の企業トップはほとんどが男性であり、まだまだ壁は多い」と続ける。

 

過日、HotHR 5/12配信号でも触れたが、これからも日本企業が成長を志向するのであれば、まずやらなければならないことは、これまでの男性中心で作り上げてきてしまった組織とそこに根付く男性社員・男性管理職の意識を変革することである。
大幅な総人口・生産年齢人口の減少を迎える日本では、これまでの組織構成のままでは企業は立ち行かなくなるのは自明の理であり、これまで日本企業ではマイノリティと言われてきた人材を、これからはいかに獲得し、活用していくのかが問われているのである。
前述の松中氏はLGBTサポートに取り組む企業の狙いとメリットとして、「人材流出を避け、優秀な人材を呼び込むこと。また、社員の働き方の満足度を上げて業務効率を上げること」をあげている。また「欧米ではカミングアウトして働いている人のほうが、そうでない人より仕事の効率は上がっているといったデータもある。特に人材流動性の激しい業界において、当事者は働きやすいところに流れるため、企業にとってLGBTに関して鈍感であることは重大なリスクといえる」と指摘している。

 

企業は、性別や国籍といった画一的な組織から脱却し、多様性を受容する新たなマネジメント基軸を持たなければならない。そして私たちは、それが企業カルチャーであると考えている。自らが生み出していきたい社会的な価値や、目指すべきビジョンを同じくする、企業カルチャーを軸とした価値観のフィッティングで組織をまとめ上げることで、多様な人材のマネジメントと、各々が本来持ちうる最大限のパフォーマンスの発揮が実現されるのである。
もはや単一性、単一的な人材で企業が生き残っていける時代は終わったのである。

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