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Hot HR vol.155 – 強い理念が導く継続的な発展

2014.05.26

#Hot HRメールマガジン バックナンバー

今年は4年に一度のFIFAワールドカップがブラジルで開催される。先日も日本代表選手23名の発表があった。選ばれた中には海外のチームで活躍する選手も多く、豊富な経験と優れた実力を持つメンバーから成るチームがどこまで勝ち進むのか期待が高まる。
目指す順位などチームの目標について明言はされていないようだが、何人かの選手は今大会の目標として優勝を口にしている。
日本がワールドカップ本大会に出場するのは5回目となるが、国内でサッカーがまだアマチュアスポーツであり、競技の人気も選手の待遇も低かった1980年代以前には、ワールドカップで優勝を目指すことなどほとんど夢のような話だった。かつてサッカー先進国と大きなレベル差のあった日本が、現在のようにワールドカップの本大会に連続で出場し、上位を目指すことが現実味を帯びてきたのは、プロサッカーリーグであるJリーグの影響が大きいだろう。
Jリーグ(正式名称:日本プロサッカーリーグ)は1993年にプロサッカーリーグとして開幕し、以来、大きく発展してきた。リーグの発展と共に選手の強化と技術レベルの向上が進み、国外の主要リーグで活躍する選手も増え、ワールドカップで高い目標を掲げることもできるようになった。また、トップチームのレベルが上がるだけでなく、それを支える競技人口の増加や選手育成体制の整備も進んでいる。
リーグ開幕当時にバブル経済に後押しされはしたものの、失われた20年と言われる時期においても、Jリーグとこの競技が発展と強化を続けられた背景には、Jリーグが当初から掲げ、貫いてきた強い理念が存在する。

 

Jリーグが掲げる理念とは、以下のようなものである。
「日本サッカーの水準向上およびサッカーの普及促進」
「豊かなスポーツ文化の振興および国民の心身の健全な発達への寄与」
「国際社会における交流および親善への貢献」
この理念で実現しようとしているのは、ヨーロッパ各国に見られる、スポーツが生活の一部となっているスポーツ文化の確立である。例えばドイツでは、それぞれの地域に適切な規模の総合スポーツクラブが存在し、市民が年齢を問わず様々なスポーツに参加し、スポーツ人口が国民の6割を占め、そこから世界で活躍できる選手が多数生まれている。
創設時にこれを手本としたJリーグは、理念を実現する手段として、加盟するクラブに対し、クラブの経営状態が適正であること、ホームタウン(本拠地)となる地域や企業の支援が得られること、育成組織(ユースまたはジュニアユースチーム)の保有義務などの条件を課している。
単に選手をプロ化して、アマチュアスポーツを収益事業に変えるだけではなく、視野を国内のスポーツ文化にまで広げたり、地域に根差した活動や企業からの支援を促すことで、多くの人から受け入れられ、長く存続できることを目指すしくみが加盟の条件に組み込まれているのである。

 

Jリーグを主催する日本サッカー協会と日本プロサッカーリーグはそれぞれ公益財団法人と公益社団法人であるが、リーグの経営を一般の企業と同じように見るならば、ここで行われている事業は前述したようにこれまで大きな成功を収め、継続して成長していると言える。その成功を支えているのは、当初から掲げている「経営理念」や実現の手段の存在であり、そして、理念にコミットし実現に向けた行動をとってきた、リーグ関係者、加盟チーム、所属選手、指導者など「従業員」と言える人達、そして、そこから生まれる「企業文化」なのではないか。

 

Jリーグを中心とする日本のサッカー界は、明確な理念を持ち続け、それを実現するための制度づくりや施策を実行する事で、対外的には弱小国であったアマチュア時代には遥か遠く思えたレベルまで昇る事ができた。約20年で大きな飛躍を遂げた日本のサッカー界は、理念を基本とした運営を続けると同時に、環境の変化や自身の発展の度合いに応じて都度目標や計画の策定も行っている。
日本サッカー協会は、2005年に「JFA2005年宣言」を行い、「JFAのビジョン」と「JFAの約束2015」という中期目標、そして「JFAの約束2050」という長期目標を発表した。
加えて、「JFAの約束2015」を果たすために「アクションプラン2015」を策定。これは2005年からの10年間で実現すべきことを明記したもので、そこには「サッカーを愛する仲間」を増やすことや「日本代表チームが世界でトップ10のチームになる」ための具体的な目標が書かれている。理念や大きな目標を掲げるだけに留まらず、それを達成するためにすぐに着手すべきアクションにまで分解していることは、関わる人達に理念を浸透させ、理念に沿った行動を促すことに繋がるだろう。

 

日本国内には、250年以上存続している世界の企業の内の3分の2、そして100年以上続いている企業が2万社あるといわれる。そして、それらの企業は家訓や社訓など、何らかの形で経営理念を掲げてきた。強い組織として存続していることに、理念に沿った経営を行ってきたことが少なからず寄与しているだろう。
Jリーグは1996年より「Jリーグ百年構想 ~スポーツで、もっと、幸せな国へ。~ 」というスローガンを掲げている。スポーツの世界において、100年とは随分遠い未来を見ているようにも思えるが、それ位の長期的視野を持って大きな理想を実現しようという強い意思がそこに見える。強い理念を長く存続させ、発展を目指すことを宣言し、関わる人たちに共感とコミットメントを求めている点で、企業経営のヒントにも成り得る。
理念経営を得意とし、永続する企業が多く存在するこの国のサッカーやスポーツ文化、そしてそれを取り巻く社会が、100年先にどうなっているのかを想いながら、6月からのワールドカップを観るのが楽しみである。

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