Hot HR vol.142-「理念の大切さ」
2014/03/06(最終更新日:2021/11/12)
5分でわかる最新人事トレンド
「理念の大切さ」
★企業理念とは誰のものか?
御社には企業の理念や信条、守るべき価値観といったものがあるか?と問われれば多くの企業経営者は
「もちろんある」と応えるだろう。しかしそれを誰に対して、どのように理解させ、何をもって浸透しているかを計測しているか?
と問われると「なかなか思うようには進められていない」という返答が多いのも事実である。
経営環境のグローバル化が進み、多様な価値観が共存する現在のビジネス環境において、「企業理念」とは
会社の進むべき方向性を照らしてくれる羅針盤といっても過言ではない。
そして、その羅針盤は従業員だけに使うものではなく、お取引様、お客様、そして地域社会にまでその浸透を図り、
企業価値を高めることができる可能性を秘めたものなのである。
世界的な衣料ブランドメーカーであるリーバイ・ストラウス社はビジネスパートナーを探す際のガイドラインに
次のような一文を設けている。
「リーバイ・ストラウス社は自社の価値観を反映したやり方でビジネスを行う伝統を持っている。多様な文化を持つ国々に
調達先を拡大するにあたっては、我々は、仕事のやり方が我々の価値観と一致するビジネスパートナーや国を選ぶことに
特別の注意を払うべきだ。さもなくば、調達先の我々の決定が、我々の伝統を傷つけ、我々のブランドのイメージを損ない、
我々の事業の成功を脅かす可能性がある。」
―――ビジネスパートナー契約基準及び調達国選定ガイドラインより――
実際調達先や取引相手の不祥事によって自社のブランドイメージを傷つけられ、事業展開のスピードが鈍ったり、
場合によっては大きく後退することを余議なくされた企業は枚挙にいとまがない。同社の場合も1990年代初頭、
一部のサプライヤーの工場における不当労働問題が報道され、ブランドイメージが損なわれる事件が発生している。
こうした経緯を踏まえて構築された同社のガイドラインは「企業の社会的責任を最重要視する」という理念に基づいており、
世界中で「ジーンズといえばリーバイス」と言われる程の成長を支える礎になっている。自社の従業員が自らの理念を
理解するだけでなく、関連するすべてのステークホルダーが理解してこそ、ブランドは大きな推進力となって価値を
高めていけると、同社は気づいたのである。
企業経営において、お客様の満足度向上、国境を越えたアライアンス、CSR活動といったものは不可欠な時代である。
それらすべての根幹をなすのは自社の理念であり、それをスピーディーに広く伝えることができる企業こそが世界に通用する企業になる。