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Hot HR vol.130 -就業規則からCIハンドブックへ

2013.12.18

#Hot HRメールマガジン バックナンバー

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5分で分かる最新人事トレンド
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最近多くのクライアントより就業規則について、その表記や扱いに関してご相談をいただく機会が多くなった。
就業規則はご存知のとおり、10名以上の企業や事業所では作成が法律で義務付けられている。勿論それは労使間の余計なトラブルを防ぐリスクヘッジにとても重要である。
しかし多くの中小企業ではまだまだ就業規則を活かしきれていない。就業規則は作成するだけでなく、従業員に配布したり、提示したりするなど、周知する必要があるにも関わらず、中には作成してはいるものの従業員にその内容を開示せずに、法対策としてのみ考えている企業も存在する。
就業規則をリスクヘッジのみならず、もっと前向きな職場環境づくりに活かすことはできないだろうか。訴訟対策として活用が進むアメリカの事情も見ながら、今回は就業規則を如何に職場づくりに活かすか、人事コンサルティングの立場から考えてみたい。

 

■求められる就業規則とは何か

 

本来就業規則は、経営者側の意見を反映したものであり、社員とのコミュニケーションの優れた道具である。また、就業規則はすべての社員が受け取り、読むことを義務付けられている数少ない文章のひとつであるが、「なぜその企業がそのビジネスをしているのか」「企業の目標・使命は何か」「企業が社員から何を期待しているのか」、また「社員が企業から得られるものは何か」の説明ともなるものである。就業規則は、以下の3つのポイントを抑え作成されるべきものである。

 

① 経営者側の意見を確立する
就業規則は全社員が受け取り、目を通す唯一の文章である。社員に会社生活の基本を伝えるこの絶好の機会を利用しなければ、社員と良い関係を築くうえで、一歩遅れを取っているということになる。経営者側の意図を伝えるこの重要な機会を逃す手はない。
② 社員に会社を売り込む
就業規則は、企業が社員に何を提供できるのかを伝えるツールにも関わらず、大体において、企業は社員であることの特典を社員に伝えるのが下手である。社員にはそれぞれの期待があり、また常に企業を評価しようとしていることを忘れてはならない。
③ 法律に従うこと
就業規則とは労働者の就業上遵守すべき規律及び労働条件に関する具体的細目について労働基準法に基づいて定められた規則であり、就業規則に定める労働条件は、労働基準法に定める基準以上のものとしなければならない。労働基準法を上回る規則は企業が勝手に決められるが、法律に従わなければならない部分が多くある。企業には社員に通達しておかなければならないその企業独自の規則があるだろう。就業規則は、そういった社内取決め事を一か所にまとめて伝えることができる格好の場である。

 

この3つのポイントを抑えた就業規則は、企業にとってリスクヘッジをしつつ、社内モラル向上に役立ち、最終的には時間とコストの節約につながるのである。

 

■多様化する価値観を持つ従業員に対して如何に前向きにルールを伝えるか

 

アメリカでのマネージメント経験がある方はご存じの事と思うが、アメリカではこの就業規則の活用がさらに一歩進んでいる。アメリカはご存じのとおり多民族国家である。ビジネスや文化の中心であるこの地を目指し世界中から人々が集まってくる。その価値観は多様を極め、マネージメントにおいて「暗黙のルール」などと言っていたら即訴訟につながってしまう。
アメリカでは、日本の就業規則にあたるスタッフハンドブックの作成は、法律で義務付けられていない。しかし約87%の企業がスタッフハンドブックを作成している。また、重要なのはこのスタッフハンドブックは、「契約」ではなく、働くための「ガイドブック」であることを何度も謳っていることである。如何に多様な価値観を持つ従業員にそのルールを「前向き」に伝えるか、ということに主眼を置いている。

 

現在のものはさすがに見ることは出来ないが、ディズニーの1940年代のハンドブックがネット上で見ることが出来るので、機会があればぜひご覧いただきたい。もちろんディズニーにも細かなルールは存在する。しかしその伝え方、表現の仕方がいかにもディズニーらしい。ディズニーにとってスタッフは一緒にゲストをお迎えするキャスト(出演者)である。その思いを如何に共有するか。そのハンドブックは全ページイラスト入りで、見ているだけでワクワクしてくる。怪我や熱が出たりしたキャラクターがコミカルに描かれており、そんな際にはどうすればいいのかも、わかりやすく記載されており、まさにディズニーのマインドが凝縮されたスタッフハンドブックである。
ディズニーはアメリカのスタッフハンドブック活用でも先進的な企業であるが、多くの企業で同じように活用は進んでいる。共通するのは、「してはいけないルール」を前向きに組織が望む行動に転嫁して、ビジョンや理念を、多様な背景をもつ人々にも理解できるようわかりやすく伝える、ということである。

 

■就業規則からCIハンドブックへ

 

国内においても就業規則をさらに発展させ、もっと社員とのコミュニケーション、社員への意識づけに活用しようとする動きが多くみられるようになってきた。
先述のとおり就業規則は法律に従うことが求められる。これにはしっかりと対応しなければならない。しかしそこに自社のビジョンや理念をわかりやすく表現できれば、これ以上ない意識共通化のツールになるのである。
例えばクレド(「信条」を意味するラテン語)を作成している企業は数多くある。従業員にビジョンや理念を浸透させ、組織のベクトルをそろえることが、成果達成、パフォーマンス発揮に必須だと、企業経営者たちは気づき始めた。就業規則をもっと活用しようと考えたのである。法律対応はこれまでどおり就業規則として対応するとして、従業員への浸透に向けて、ビジョンや企業理念を、求める行動とともにわかりやすく表現したスタッフハンドブックを作成するのである。私たちはこれを「CIハンドブック」と呼んでいる。すでにいくつかの企業では導入を始めている。

 

就業規則にビジョンや理念、経営者の想いを反映することで、組織のベクトルを合わせ、社員との最強のコミュニケーションツールとして、「CIハンドブック」として昇華させることができるのである。

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