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Hot HR vol.110 -M&Aと人事デューデリジェンス

2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)

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5分で分かる最新人事トレンド
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今回のメルマガでは企業の合併を取り上げる。円高の進行や買収に対する防衛策の一環として、
各企業がM&Aの可能性を探っている中、どうすれば失敗しないか、
下記をご参考にご検討いただきたい。

 

■報酬水準の検討
企業の合併・統合の中で最も注目を集めるのは、やはり双方の報酬水準をどのように調和のとれた
ものにするか、であろう。戦略としては大きく分けて3つある。
①別会社として扱い現状を維持
②いずれかの企業の水準を目安に段階的に統合
③市場の水準等をもとに全く新しい基準へ統合
いずれの戦略を採るかは合併後のビジネスプランや合併前の報酬水準の違い、
市場水準の妥当性等に依存し、単独で決められるものではない。よって、デューデリジェンスの
時から、合併後の方針を決定できるよう、上記の材料集めを行うことが重要となる。

 

■人事業務の検討
後回しにされがちなのが、人事業務をいかに効率よく提供できるか、その体制とプロセス、
人員配置を検討することだろう。合併前は、各々の会社が個別に人事業務を提供していたため、
特にメスを入れなければ、業務を回すこと自体はほぼ造作なく対応可能だ。ただ、それでは
コストメリットが生かせなかったり、会社の方針を正しく具現化できなかったりするため、
業務の見直しは必要となる。プロセスの統合や見直しは、多くの場合リストラの検討を伴うので、
議論としては後回しにされがちである。しかし、合併期における財務・会計上のメリットを
最大限に生かすためにも、これは、できれば早いうちに検討を進めておきたい課題である。
最低でも、今後の人事業務を統合するのか、各社固有のシステムを維持するのかは決定しておきたい。
決断を下す材料として、今後の会社のビジネスプランや現在の人事業務にかかっているコストの把握、
および他社との比較結果などをインプットとして押さえておくのがよい。

 

■企業文化の検討
人事業務以上に検討されていないのが、企業文化である。企業文化は、いわば会社の「性格」を
決めるものであり、社員は望むと望まざるとに関わらず、企業文化を取り入れながら日々の業務を
行っている。社員が、その企業の文化を体現すると言っても過言ではない。
水と油が相入れないように、異なる企業文化を持つ会社の社員同士は相入れないことがままある。
この場合、いくらビジネスやリソースが補完的な合併であっても、シナジー効果がほとんど出せないことも
多いのである。
では、企業文化を事前に確認する方法はあるのだろうか。企業文化は、その企業の人事制度に現れることが多い。
合併前に、相手企業の人事制度の特徴を把握しておこう。給与体系はどんなものか、手当の種類や金額はどうか、
報酬水準と年齢・ポジションとの関係はどうか、評価の基準はどうか、などを調べておくと、会社が大切にしている
理念や社員の働き方を知るヒントになる。例えば、賞与への業績の連動比が低い会社は、少なくとも短期の頑張りに
報いようとする企業文化は持ち合わせていないことになる。
デューデリジェンスは元来難しいものであるうえ、ファイナンスのようにフレームや枠組みは確立されていない。
デューデリの見方を追求することも大切だが、様々な観点からデューデリを行うことで情報の精度を高め、
使える分析結果を定期的にすることが必要である。

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