Hot HR vol.104 -ダイバーシティの利点
2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)
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5分で分かる最新人事トレンド
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ダイバーシティとは、本来多様な民族、人種、性別、行動特性、価値観を持った人々が
ともに働くことで、企業価値の向上を図る活動である。日本では、特に女性の処遇改善の必要性を
論じる際の材料として用いられる。女性の役員・管理職登用もダイバーシティの取り組みの
一環であるし、女性の管理職比率が10%前後(他の先進国は軒並み30%程度)の我が国にとっては、
優先的に取り組む課題だと言える。しかし、ダイバーシティ=女性の処遇改善という捉え方では、
ダイバーシティ本来の意味を見失いかねず、せっかくの企業価値向上の機会を逃すことにも
繋がりかねない。
本日は、各社の事例を踏まえながら、ダイバーシティの意義と取り組みについて考えてみたい。
■ダイバーシティの意義
ダイバーシティの本来の目的は、多様性を取り入れることで企業価値を継続的に高めることである。
女性について言えば、独自の視点から新たな企画や商品を考案し、売上の拡大に繋げることが
主眼に置かれている。女性の管理職を増やすこと自体が目的ではなく、それを通じて新たなサービスを
生み出し、企業のブランド力を高めていくことが重要である。
海外では、GE、GS、P&Gといった大手企業がダイバーシティの考え方を重視し、それぞれのミッションや
ポリシーステートメントに掲載するなど、意識の啓蒙に努めている。これらの企業にとって、
ダイバーシティは達成することが望ましい「目標」ではなく、企業の成長に不可欠な「土台」であると
言えよう。
■ダイバーシティの取り組み
日本においては、均一的な業務に基づいて高い生産性を保つ製造プロセスばかりが注目され、
「異質なものを受け入れる」という考え方自体が根付いていない。企画や発明も、集団の中で生まれるよりも
一人の「カリスマ」によって生み出されるものという認識が強いのではないだろうか。その中で、
ダイバーシティを導入する試みもいくつか始まっている。経済同友会は2020年までに女性の管理職比率を
30%にするという目標を掲げ、業界ごとにマイルストーンを設定して登用を進めていく考えである。
パナソニックは、女性幹部による売上拡大を社内に宣伝し、社員の意識改革を図っている。INAXは、
SNSツールを活用して、産休中の女性社員のモチベーションを維持し、復帰しやすい環境を作りあげている。
海外と比較すると、これらの活動は初期的活動の意味合いが強いが、新たな文化を根付かせる一助になることを
期待している。