Hot HR vol.73 前提は壊され、歴史は繰り返す
2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)
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5分で分かる最新人事トレンド
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◆◆勢いを失った日本のプレゼンス◆◆
今、世界の中の日本のプレゼンスは薄れていると多くの人が認識しています。
最近の話題でいえば、アメリカのオバマ大統領の一般教書演説。
北朝鮮問題や貿易関連をはじめとして韓国や中国の言及があったものの、
その演説に日本という国は一度も出てきませんでした。
経済における競争力や政治力共に、国際的プレゼンスが低くなっていることへの
危機感を感じずにはいられません。
高い技術を誇り世界に日本ブランドを知らしめた製造業も、アジア各国のメーカー
に技術・マーケティング共に迫られている状況です。更にはゲーム業界においても
日本のプレゼンスは低下しているというのだから驚きです
そんな日本は現在暗い空気に包まれていると言えるでしょう。
それを示すデータとしてクレイア・コンサルティング㈱による「閉塞感とチャレンジ意欲
に関する意識調査(上場企業社員対象)」の結果を少しご紹介します。
まず、今の会社や仕事に閉塞感を感じている人が37.1%と約4割にのぼり、
そのうち72.8%が、新しいことに挑戦したり、新しいものを生み出そうとする
気持ちがわきにくいと答えており、47.4%が転職を考えているそうです。
若者の内向き志向、草食化といった言葉がすっかり定着してしまいました。
◆◆昔のようには約束されない現代の社会構造◆◆
上の世代と若者世代の間に価値観のギャップが生まれるののも無理はないのです。
そもそも、多くの会社の重鎮となっている上の世代は右肩上がりの経済成長の中で
働いてきました。
戦後復興のために誰もが一生懸命になって、人口も増えて出来上がった「右肩上がりの
成長」が大前提で、終身雇用と年功序列の制度がうまく作用していました。
立派な企業に就職し、働き続ければ給料が増えるという成功のカタチがそこにありました。
しかしその成功のカタチは、人口が増えて市場が大きくなり、会社が大きくなってこそ
成り立つのものであって現在はその前提が崩壊しています。
今後さらに増えていく年長者だけで甘い蜜を吸うことはできません。
以下、日本の経済成長率の推移をみると、昔と同じ方法にもたれあっていては
立ち行かないのでは…?と感じられると思います。
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┃ 【日本の経済成長率の平均推移】 ┃
┃ ↓1956~1973 9.1% ┃
┃ ↓1974~1990 4.2% ┃
┃ ↓1991~2009 -0.8% ┃
┃ ※内閣府SNAサイトより ┃
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これまでの日本の歴史を見ても、明治維新や戦後など前提が壊された時に国は
一歩一歩発展してきました。行き詰った時には必ずリセットしなければならない。
まさに今の日本はそのリセットボタンを押すタイミングに来ているのではないでしょうか。
歴史は繰り返します。
◆◆リセットボタンを押して変わろうとする日本企業たち◆◆
今後の行き詰まりを懸念して、リセットあるいは新しい試みを打ち出そうとする企業は
増えてきています。スクラップ&ビルド、トライ&エラーの精神で、前提を壊して新しい
基盤をつくります。
会社更生法で復活を目指す日本航空も、最近成果主義への移行を発表した日本郵便も、
上の世代と下の世代との給与格差が経営難の種の1つとして指摘されています。
賃金体系の変更や人員整理は従来の日本企業では避けられてきましたが、
今では会社を良好でフェアな状態に回復させるための策の一つとして捉えられる
ようになってきました。若者がモチベーションをもって活躍してもらうためには、
賃金の不公平を取り払っていかなければなりません。
さて、どうして若者のパワーが必要なのでしょうか?
それは皆をびっくりさせるようなイノベーションを起こすには
若い世代の感性が不可欠だからです。月へ到達したアポロ11号を作った
NASAスタッフ達の平均年齢は28才でした。1961年、ジョン・F・ケネディが
「10年以内に月に人間を送り込む」と宣言し、それを聴いた平均年齢20才の
NASAスタッフ達がとてつもないモチベーションを発揮して、8年後にそれを達成するのです。
今後日本の勢いを取り戻すのに必要なのは、若い世代です。
かつて高度経済成長時代の若者達は、高くはない報酬(将来は高額報酬になると約束されて)
当時の若者達はがむしゃらに働きました。それが今の日本のベースを形作ったのです。
そうしたかつてと同じように、今の若者達が未来の日本を作るためにアクションを起さねばなりません。
ですが今はかつてのように将来の高額報酬を約束することで、高くない報酬で
我慢してもらうことはできない時代になってしまいました。
つまり、リセットボタンを押して仕組みを変化させねばなりません。
彼らが夢と希望に満ちた活躍をするためにも従来の成功パターンだけに固執することから離れましょう。
そして、彼等の力で自国の「自信」を取り戻してみせませんか?