Hot HR vol.54-できてますか?キャリアの棚卸し
2013/12/18(最終更新日:2021/11/12)
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5分で分かる最新人事トレンド
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◆◆社員と会社のキャリア形成に対するギャップ◆◆
皆さんは社員のキャリアに対する意識を把握しているでしょうか。
そもそもキャリアには、
「収入を得るための仕事」~「社会人としての役割を果たすための仕事」~
「自分の生き方を体現するための仕事」という長い道のりがあり、
単なる経歴に留まらない大きな意味があります。
(参考:グロービス・マネジメント・インスティチュート)
個々の自律したビジョンを把握して、会社はそのキャリア形成を支援する
「パートナー」であることが現在求められています。
しかし、キャリアに対する会社の取り組みと個々の満足度には大きく差が
開いているようです。
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「会社でどのようなキャリアパスが描けるか明確ではない」
「異動の基準や評価があいまい」
「どういったスキルが積めるのか」
「目的や目指すものが漠然としている」
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このような声が、2009年11月にパソナキャリアが転職希望者に対して実施した
アンケート調査であがっています。
また、キャリアパスが提示されており、きちんと機能していると感じている方は
たった8.1%。社員と会社のキャリア・パートナー関係はうまく築けていない
のが現状だと言えるでしょう。
◆転職市場で明らかになっている◆
総務省統計局の「労働力調査」によると、転職をする人は毎年300万人以上います。
また、昨今の不況により失業する人も増えたため再就職を試みる
人も多数いるでしょう。そういった転職市場の中、自分のキャリアを具体的に
考えることができていない人には厳しい風当たりとなっています。
社会人経験が長いにも関わらず、自分がこれまでどのようなスキルや能力を
身につけてきたか、今後自分は人生の中でどのような方向にキャリアを進めた
いか等を明確に語れないため、採用側にとっては魅力的に映らず、不採用となる
ケースが多くあるようです。
それは転職者だけに限りません。同じ会社で働き続けている人も、どのような
キャリアを形成していくのかをしっかり考え、会社の支援制度を利用しながら
成長していかなければ、会社の中の自分の存在を見失っていまいます。
歩む道によって人それぞれかもしれませんが、基本的には30代で将来の
キャリアが殆ど見えてしまうといいます。
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20│社会に飛び出し、具体的な仕事や責任・義務を感じながら、
代|その仕事の向き・不向きを考え、模索する。様々なことを吸収する。
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30│それまでに身につけた知識や経験を運用して、社会に自分の居場所を
代|見つける、あるいは一生生計を立てていける仕事を確立させる。
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◆「キャリアの棚卸し」を定期的に◆
今後の社員ひとりひとりの仕事人生を納得いくものにするためには、定期的な
「キャリアの棚卸し」を行うことがカギとなってきます。個々で自律的に行うと
同時に会社でもこのような機会を用意してあげることが必要です。
では、具体的にどのようなことを棚卸しするのでしょうか。ほんの一例をご紹介します。
┏【1】INPUT ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ これまでに仕事を通して学んだ知識や仕事の仕方・内容、自己投資等
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┏【2】OUTPUT━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ これまでに残した実績や携わったプロジェクト等の経験等
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┏【3】KNOWHOW ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ 仕事を通して身につけた専門性やスキル・ノウハウ等
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┏【4】RESOURCE━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
┃ 信頼関係を築いてきた人や自分が仕事に使える資金、情報源等
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これらを定期的に振り返り、次のステップや目標を考えることで着実に前向きな
キャリアを積み重ねていけるはずです。
これまでは「所属する企業」「企業内での地位」「出身学歴」でキャリアが決ま
ってしまう流れが強かったですが、経済環境の変化が激しい現在では
「仕事の種類・職種」「仕事をこなすレベル」「得られる評価や報酬」で
キャリアを形成していく流れが強くなっていくでしょう。
個々の努力はもちろんのこと、会社としても社員に対して仕事内容と目標、
それによってつくスキルや能力を明確にし、キャリアパスの一例を示して
いくことが求められています。人により変わりますが社会人生活は約40年
にも及ぶ長さです。人生の大部分を成している仕事を前向きに捉えて
進んだほうが、人間としても大きく成長でき、会社含め周りの人に良い影響
を与えられるはずです。